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ヒキガエルのジャクソンさんのお話

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第二章

「蛇!?」
「狐じゃないかな」
「いや、アナグマかも」
「鼬かも知れないよ」
 こうした天敵達ではないかとです、皆疑いました。ですが。
 出て来たのは人間です、しかも。
 まだ小さな子供でした、その子供達を見て蛙達はまた言いました。
「うわ、蛇よりも酷いかもね」
「人間だよ、しかも子供だよ」
「これはまずいよ」
「捕まったらそれこそ」
「逃げよう」
「うん、湖の中に入ろう」
「それにね」
 皆で湖の方を見ます、そこにはです。
 今は水鳥達もいません、それでなのでした。
 皆あらためてです、こう言いました。
「うん、水鳥もいないし」
「逃げても大丈夫だね」
「あそこに行けばね」
「人間の子供は湖の中まで来ないし」
「安全だよ」
「じゃあ逃げよう」
「あっちの方にね」
 こうお話してでした、すぐにです。
 皆湖の方に逃げようとします、しかしここで。
 何とです、これまでいなかった筈の水鳥がでした。
 鴨達が湖の方に何羽も来てです、泳ぎはじめました。蛙達はその鴨達を見て物凄く嫌なお顔になりました。
 そして、です。今度はこう言い合うのでした。
「あそこに行ったら」
「鴨の御飯にされるよ」
「鴨って虫以外にも食べるからね」
「それこそ僕達もね」
「美味しく食べようとするから」
「だからね」
「ここはどうしよう」
 あらためて話す彼等でした、そしてです。
 ジャクソンさんがです、皆にこう言いました。
「こうなれば仕方ない」
「仕方ない?」
「っていうと?」
「うむ、ここに隠れよう」
 湖の奥の方に行かずに、というのです。
「あそこに行けば食われてしまう、しかしな」
「ここにいればなんだ」
「隠れていれば」
「うむ、子供に見付からないとな」
 人間の子供にです、見れば二人の男の子です。
「助かるからな」
「そういえばここは」
 アーサーさんも言います、今自分達あいる周りを見回して。
「水草も長くて多いから」
「隠れるには充分じゃな」
「うん、水草の間に入って」
 そしてというのです。
「お水の中に身体を隠していればね」
「やり過ごせるぞ」
「それじゃあそうしようか」
「鴨も人間がいれば」
 その子供達がです。
「近寄って来ぬしな」
「人間って水鳥にも悪さするからね」
「かえってそれも好都合かもな」
「それじゃあだね」
「皆ここは隠れよう」
 アーサーさんにも他の皆にも言った言葉です。
「そうしてやり過ごそう」
「うん、じゃあね」
「皆隠れよう」
「この草と草の間に」
「そうしてお水の中に入って」
「そのうえで」
 こうしてでした、皆でなのです。
 水草と水草の間、それもお水の中に入ってでした。隠れました。そのうえで人間の子供達をやり過ごすことにしたのです。 
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