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ソードアート・オンライン 蒼藍の剣閃 The Original Stories

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SAO編 Start my engine in Aincrad
Chapter-8 74層攻略
  Story8-3 度が過ぎる

第3者side


アラームを全くセットしない彼はふっと目を覚ました。


自室の寝室で仰向けのまま天井を仰いでいると、上に持ち上げられた瞼が重みを増し、再び光を遮断しようとする。

顔を振って眠気を振り払うと、寝具から勢いよく起き上がる。

起き上がって最初にしたのは着替えることだった。

とは言っても、メニューから指先一本で全身の装備が切り替わるのだから、ものの数秒で服への着替えは完了する。


ただ、コートは玄関近くのハンガーにかけてある。

「朝飯はーっと」

リビングに設置してあるテーブルに、ご飯・目玉焼きもどき・お茶を用意し、席に着くと手を合わせて食事を取り始める。

「いただきまーす」

箸で目玉焼きもどきを口に運ぶと、味覚再生エンジンが卵の味を再現した。






「ごっそさんでした」

5分で済ませた朝食の皿が空くと手を合わせ、食事の終了を告げる。



ふと、玄関の方を見る。

もう必須アイテムとなった蒼色コート、シンフォニックギアコートと1層から強化を重ねて使い続けてきた片手剣、エターナリィアクセル。
そして、途中から装備しだした剣、スターライトクリエイター。


相棒たちにおはようを告げると、コートを羽織って74層、カームデットに出発した。















◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
















午前8時45分。

男性組は、待ち合わせ時刻よりもかなり早くにこの場所に来て、女性組を待っていた。

「ふぁぁぁ……」

転移門前の石段部分に、腰をかけキリトは大欠伸をしている。

見て解る様にものすごく眠そうだ。


シャオンは30分前、キリトは35分前には到着していて、合流した。

「解散時間はお前も一緒だっただろ?何でそんなに平気なんだ?」

キリトは、眠そうにしながらも、シャオンにそう聞いた。





このSAOには、プレイヤーをサポートする便利な機能があるのだが、残念な事にボタンワンクリックで、即安眠なんて機能は流石に無い。

でも、どういうわけかその逆は存在する。

それが強制起床アラーム。

それは指定した時間になるとプレイヤーを任意の音楽で無理矢理目覚めさせてくれる。

キリトはそれで時間に遅れないように無理矢理に起きたのだろう。
だからこそ、眠そうにしているのだろうと推察出来る。

「んーー……生活リズムの差かな?」

「ぐっっ!!」

その一言は、キリトにクリティカルヒットし、眠気が一気に飛んだ。


















そして、午前9時05分。

待ち合わせの時間を軽くオーバーしていた。

「来ないなー」

だが、転移門から2人が現れる気配は一向に無かった。



2人を待っている間に見かけるのは、勤勉な攻略組であろうメンバー達。
次々ゲートから現れては迷宮区に向かって歩いていっていた。





そして、更にその20分後。


それまでも何度か光っていた転移門内部が再び青く光る。
テレポートの光。



その瞬間

「きゃあああああああ!!!よ、避けてーーっ!!!」

「うわあああああ!!!」

通常ならば転移者はゲート内の地面に出現するはずの所が、地上から1mは有ろうと言う空中に人影が実体化したのだ。

それで、そのままキリトに大激突したのだ。

「な……な……!?」

キリトは、避ける受け止める間もない。
思い切りぶつかり、石畳の地面にもつれながら倒れこんだ。



そのまま石畳でしたたか後頭部を打つキリト。


圏内である為、HPが減る事は無いが、これが圏外であればHPバーが何ドットか削れただろう。



その様子を完全にボケッとして見ていたシャオン。

シャオンの意識が戻った頃には……

「い、いやーーーーっ!!!」

その聞き覚えの有る大声が響き渡った。



その次の瞬間キリトの身体が再びすっ飛んだ。
あの誰かがぶつかって、飛ばされた時よりももっと強い衝撃。


バチーン

そして、乾いた音だけを響かせ、こだまさせていた。

キリトは何が何やら判ってなかったが、座り込んでいる彼女を見て、そして自分の手を見て悟った。


自分が彼女に一体何をしたのかを。

「や、やぁ、おはようアスナ」

だからこそ、キリトは少し怯えた様子だった。

「お前……何したんだ?」

シャオンはキリトとアスナを交互に見た。

アスナは顔を真っ赤にさせて両腕で胸を抱えていた。

「別に何もしてねえ!」

「言わせないで!!!」

アスナとキリトは殆ど同時に声をそろえていた。

「ッッ!!そうだ!急がないと!!」

アスナがそう言ったその時、転移門が再び光り輝いた。








そして中央から新たな人影を出現させた。どうやら、今度の転移者はきちんと両の脚できちんと地面に地をつけている様だ。

そこに現れたのはギルド、ギルド血盟騎士団のユニフォームを着た男。

現れた瞬間、アスナはキリトの後ろへ隠れるように移動した。
キリトとシャオンの表情は強張る。


ゲートから出た男はキリトを見て、そしてシャオンを見て眉間と鼻筋に刻み込まれた皺をいっそう深くした。
ギリギリと音がしそうなほど歯を噛み締めた後、憤懣やるかたないといった様子で口を開いていた。

「アスナ様。勝手なことをされては困ります!」

ヒステリックな調子を帯びた甲高い声を響かせていたクラディール。


「さあ!アスナ様、ギルド本部まで戻りましょう!」

「嫌よ!今日は活動日じゃないわよ!大体、アンタなんで朝から家の前に張り込んでいるのよ!」

どうやら、突然家の前に現れて驚いたアスナは慌てて逃げてきたようだ。

「こんな事もあろうかと私は一ヶ月ほど前からずっとセルムブルクで早朝より監視の任務についておりました」


うわぁ…………ストーカーだコイツ

とシャオンが考えるのに0.1秒もかからなかった。



得意気なクラディールの返事に唖然とせずにいられない。
そして切れ気味な様子のアスナ。

「家にまでってのは、団長の指示じゃないわよね……」

表情は喜怒哀楽の内の怒の感情、それが全面に出ていた。

「私はアスナ様の護衛です!それには当然ご自宅の監視も」

クラディールは、憤怒を表しながらそう言うが、アスナはそれ以上だった。

「自宅の監視なんて含まれないわよ!!!ばかぁぁっ!!!」

「ふぅ……聞き分けの無い事をおっしゃらないでください。本部に戻りますよ」

クラディールはそのまま、キリトとシャオンを無視しながらアスナの方へと手を伸ばす。

だが、その手は掴む事は出来なかった。

何故なら、黙って見過ごすわけの無い二人がいたからだ。

「悪いな、今日はアンタらの副団長達は貸切なんだ。アスナの安全はオレが責任を持つよ。別に今日はBoss戦をしようってわけじゃない。本部にはアンタ1人でいってくれ」

「無条件で同意するよ。

あんたがやってることはもはやストーカーだ。
個人的な気持ちだけで護衛やってんじゃねーよ」

彼らはアスナの目を見たからだった。

助けて、と言っている様な目を見た。
それを見た以上は放っておけない。



その行動、それを見たクラディールは軋むように歯軋りをし、その表情はシステムによる誇張を差し引いたとしてもどこか常軌を逸した何かを感じさせるものがあった。

「ふざけるな!貴様らの様な雑魚プレイヤーに お2人の護衛が勤まるかぁ!!私は栄光ある血盟騎士団だぞ!」

「お前に栄光も何もあるかよ!!

もう一度言っとくぞ!!ストーカー野郎が私情はさんで護衛務めてんじゃねぇ!!」

シャオンはこれまでのキリトとアスナを見て、そう怒鳴っていた。

アスナの隣が務まるのは、ホントにキリトしかいないと実感していたからだ。

「そ、そこまでデカイ口を叩くからには、貴様、それを証明する覚悟があるんだろうな……」

顔面蒼白になったクラディールは震える手でウインドウを呼び出すと、素早く操作した。
すると、シャオンの目の前にウインドウが現れた。

その内容は、クラディールから1vs1デュエルを申し込まれました。受諾しますか?

と言うメッセージ。


シャオンはそれを確認すると、アスナに視線を向けた。

アスナは無言で、それでも固く頷く。

「いいのか?ギルドで問題にならないか?」

小声で聞いたシャオンに同じく小さく、だが、きっぱりとした口調で答える。

「大丈夫。団長には私から報告する」

「任せたぜ、シャオン」

「言われなくても分かってる」

シャオンはそう返すとクラディールからのデュエルを受託。

ウインドウが『クラディールとの1vs1デュエルを受託しました』と変化し頭上に60秒のカウントダウンが開始された。

この数字が0になった瞬間、2人の間では街区でも保護が消滅し、勝敗が決するまで剣を打ち合うことになる。

クラディールは、アスナの首肯をどう解釈したのだろうか。

「ご覧ください!貴女方には私以外に護衛が勤まるものなどいない事を証明いたしますぞ!」

それは、狂気を押し殺したような表情だ。

その場にはシャオンとクラディールのみ。


それを確認したシャオンは愛剣エターナリィアクセルを引き抜く。
クラディールも芝居がかった仕草で腰から大振りの両手剣を引き抜いた。















Story8-3 END 
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