| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

第四真祖一家が異世界から来るそうですよ?

作者:黒螺
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

YES!ウサギが呼びました!
   第十三話 「愚者のその名はルイオス」

 
前書き
今回から親の七光りの調理が開始されますのでお楽しみください。

 

 


ペルセウスの襲撃から数時間後、古城と雪菜は準備を整え、残りのメンバーも大小の袋を持って『サウザンドアイズ』の門前にたどり着いていた。

「お待ちしておりました。中でオーナーとルイオス様がお待ち・・・・・・え?」

古城達を出迎えたのは前回会った女性店員だった、だが店員は古城と雪菜を思わず見て戸惑いの声を漏らした。

それは二人の雰囲気と服装が以前と全く異なっていたからである。
見た目は黒いスーツに血の様に赤いワイシャツを着ており、その傍には布で包まれた大きなモノが二つ並んでいた・・・・・・・そして以前には感じなかった威圧感と紅く染まった眼で店員を見ていたからだ。


「へぇ~『ペルセウス』のリーダーが・・・・・・ね?」

「ここに居ると言う事はやはり『そういう事』なのでしょう・・・・・・色々と手間が省けて丁度いいじゃあないですか」

二人の会話に何か嫌な予感がするものの案内をしなければならないので先を促すが古城から待ったがかかった。


「あ~悪いんだが案内の前に少し『コレ』の鑑定を頼みたいんだ」


そう言うと古城は包の布を少し緩め中を見せる。


「・・・ッ!?こ、これは!?」

「今回の件での証拠です。まさか傘下のコミュニティの起こした事の証拠は鑑定できない・・・・・・なんて事はありませんよね?」


「そんな事はありませんが・・・・・・」

「ついでに鑑定が終わったら庭に運んでくれないか?」

「それはかまいませんが・・・・・・何をなさるおつもりで?」

「ん?俺等のコミュニティを襲った奴に少しお灸を据えてやるだけだが?」

「・・・・・・分かりました」


話が纏まり古城達は店内に入っていき中庭を抜けて離れの家屋に案内された。
そこには白夜叉と『ペルセウス』のリーダー、ルイオスの姿もあった。

「うわぉウサギじゃん!! 噂には聞いていたけど本当にウサギがいるなんて思わなかった!っか随分エロいな!ねー君ウチのコミュニティに来いよ 三食首輪付きづ毎晩かわいがるぜ?」

ふざけまくったルイオスの態度をまるっきり無視して古城は白夜叉の前に陣取り話を進める。

「改めてご挨拶しよう、白夜叉殿。俺は第四の夜の帝国(ドミニオン)、暁の帝国の統治者・『第四真祖』の暁古城だ」

「「っ!?」」

そう言うと古城はギフトカードを白夜叉に見えるように掲げ、その中にある『第四真祖』と『焔光の宴(主催者権限)』の文字を確認させた。


「今回、此処に来たのは『サウザンドアイズ』傘下のコミュニティが俺達に対して行った振る舞いの謝罪と賠償をしてもらいに来た」


「・・・・・・詳細を話してもらえますかな?」


白夜叉から発言の許可をもらい、古城は今までの経緯を語りだした。不法侵入、数々の暴挙と暴言、そして浅さかな捕獲方法で娘を石化させ古城にも襲いかかってきた事を全て話した。その間、ルイオスは余裕そうに笑みを浮かべるだけだった。


「今回の件の主犯は『サウザンドアイズ』傘下の『ペルセウス』だと調べがついてた。そのリーダーには責任を果たしてもらう為、白夜叉殿に会いに此処まで来たのだが。何故か・・・・・・此処にそのリーダーさんがいるがな」

何故かというところをわざと強調する。だが、ルイオスは動じなく静観するのみ。

「う、うむ。『ペルセウス』の不法侵入に所有物であるヴァンパイアを捕獲する際における数々の暴挙と暴言。そして、無関係な人間ごと捕獲するという浅さかさ。確かに受け取った」


「それでここからが本題だ。こちらの要求はレティシア・ドラグニルの身柄を俺達の所有物にする事。もう一つはサウザントアイズ発行の金貨を三百枚、要求しよう」


古城の要求にここにいる雪菜以外の全員が驚愕の表情を浮かべる。それもそのはず、金貨三百枚など大金の上に既に買取り先が決まっているレティシアを渡せと言うのだから・・・・・・そんなことをすれば『ペルセウス』の信頼は急激に下がり更に金欠状態になってしまう、先程まで余裕そうに詳細を聞いていたルイオスが慌てて異議を唱える。


「ふ、ふざけんな!!そんな要求、通るはずがないだろ!!」


「そ、そうじゃな、流石に強欲すぎやせんか?」


「これは『ペルセウス』が起こした問題だろ?しかも今回は『サウザンドアイズ』が傘下のコミュニティの手綱も持てないなんて言う『信用』が第一の商業コミュニティとしては致命的なんじゃないのか?まぁ~今回は何故かペルセウスのリーダーが此処にいるからな・・・・・・直接責任を果たしてもらうとしようか?『サウザンドアイズ』にはその立会人になってもらうっていう手もあるわけだしな」

白夜叉は一瞬、古城の言葉を考察している素振りを見せると古城の狙いを察したのか面白そうに笑みを浮かべた。

「まぁ~金貨は後日に払ってもらうとして・・・・・・レティシアはこの場で貰い受けるとしよう」

「しょ、証拠は!?ウチのコミュニティがそれをやったという証拠を出せ!そもそも、あの吸血鬼が逃げ出した原因はお前達や白夜叉だろ!!実は盗んだんじゃないのか!?」

ルイオスの往生際の悪さと暴言に黒ウサギと飛鳥が激昂しそうになるが雪菜が制し、おとなしくさせた。
そもそも古城が証拠も無しにそんな要求をするわけがないのだが・・・・・・ここからルイオスは『ノーネーム』を見下し零菜を傷つけた分の利子をたっぷりと返えされる事となる。

古城は十六夜達が持ってきた大小袋を白夜叉の前に置いた。


「これは?」

「襲撃してきた連中の所持品と御旗に石化させるギフト・・・・・・確かゴーゴンの威光だったか?さて『ペルセウス』のリーダーさん、反論があれば聞くが?」

古城が嫌味っぽく笑みを浮かべるが、ルイオスは顔面を蒼白にさせ古城を気にする余裕はなさそうだった。
古城の証拠を認めたくないのかルイオスは声を荒げ反論する。


「レ、レプリカだ!見せかけだけの作り物だ!!もしくは吸血鬼が逃げ出した時に盗んだんじゃないのか!?」

「往生際が悪いな・・・・・・白夜叉殿、此処の店員さんを呼んでもらえないか?」

「ん?別にかまわんが?お~いおらぬか?」

白夜叉が声を上げるとすぐに襖が開き女性店員が顔を出す。

「どうかされましたか?オーナー」

「うむ、おんしに古城殿が用があるそうなんじゃが?」

「アレの鑑定結果を聞きたくて呼んでもらったんだ」

「鑑定とな?」

「はい、古城様が今回持ち頂いた石像はゴーゴンの威光によって石化させられたものでした。石像は中庭に運んであります」

「ッ・・・・・・・!?」

「ああ、急に鑑定を頼んで悪かったな」

「いえ、仕事ですので」

「それじゃ~襲撃してきた当人に話を聴くとしようか」


そう言うと古城は立ち上がり襖を開け目の前の中庭へと向かう、そのには二体の石像が置かれていた。
その一体は零菜でもう一体はペルセウスの騎士だった、古城は石像に触れながら眷獣を呼び出した。


「疾く在れ(きやがれ)、十一番目の眷獣、水精の白鋼(サダルメリク・アルバス)!!」


古城の顕現させた新たな眷獣の姿はヘビの下半身と髪を持つウンディーネだった。その能力は傷を治す回復能力なのだが、本質はむしろ時間遡行というべき代物だったりする。
古城はその時間遡行を使い石像を『石化する前の状態』に戻したのであった。


「こ、ここは!?それにル、ルイオス様!?」

「あ・・・・・・れ?古城君??」

「とりあえず無事みたいだな、話しが終わるまで雪菜の所に行っててくれ」

「うん、わかった」

零菜が雪菜のそばに行くのを確認しつつ古城は騎士に問い掛ける。


「さて、此処には白夜叉殿もいるから嘘をつかない事だな・・・・・・あんたはそこに居るルイオスの命令でノーネームを襲ったって事で間違いないよな?」

「そ、その通りだ」

「くッ!?」

押し黙るルイオスだが必死に反論材料を考える素振りをし、未だ認めようとしないが・・・・・・古城は更に追い打ちをかける。


「そうか・・・・・・なんなら『サウザンドアイズ』のリーダーから取り立てに行ってもいいんだぜ?傘下の『ペルセウス』が起こした事の責任をコミュニティのリーダーが取ってくださいってな」

「っな!?」


古城の言葉に再度絶句するルイオス。そもそもゴーゴンの威光によって石化した石像が存在した事は『サウザンドアイズ』の鑑定で間違いなく証明され、襲撃者の所持品と御旗にゴーゴンの威光などの証拠品は白夜叉の手元にあり、その経緯を説明すれば当然『ペルセウス』は『サウザンドアイズ』から要求を受けるように命令され、その後は追放される事になるだろう。
そうなれば『ペルセウス』は後ろ盾は消える上に活動が不可能になる可能性が高くなる。ルイオスの最善の道は古城の要求を全て呑み損害を最小限にするしかないのである。


「そうと決まれば、白夜叉殿。今から『サウザンドアイズ』のリーダーの下まで案内してもらえないだろうか?」

「うむ・・・・・・仕方がないのう、夜分じゃがコミュニティの『信用』に関わる話じゃしな、でわ早速」

「わ、分かった!・・・・・・お前達の要求は全て呑む・・・・・・!」

悔しそうに古城を睨みつけながら要求を呑むことを認めるルイオス。


「そうか・・・・・・なら白夜叉殿、こいつに契約書を書かせたいんだが何か紙と書く物はないか?」

「良かろう。口約束では破られる可能性があるかもしれんしのう」


満面の笑みを浮かべながら了承してくれた白夜叉は柏手を打ち、紙とペンがルイオスの眼前に発現される。ルイオスは屈辱に表情を歪めながらペンを手に持ち、契約書を書いていく。書き終わった契約書に細工していないか白夜叉と共に確認する。


「・・・・・・おかしな所はないし、これで契約成立だな、さて次は・・・・・・ウチで預かっている百人以上の捕虜をどうするか決めようか?」

「ち、ちょと待て!!契約が成立したんならそいつらも返すのが筋だろうが!!」

「おいおい、この契約はあくまで謝罪と賠償であって捕虜については別問題に決まってるだろ?」

「な、な!?」

「さてどうする?百人以上もいる部下を見捨てるか保釈金で手を打つか・・・・・・決めるのはあんただぜ?」

もしここでルイオスが部下を見捨てようものなやただでさえ古城の契約で大金を失い、ヴァンパイアの取引が中止されて信頼を大きく損なったあげくコミュニティの残るメンバーまで離散し、コミュニティが消滅するのは時間の問題となってしまうだらう。故にレイオスはここで古城と取引するしかないのであった。

「く、クソォォォォォ!!いくらだ!?いくら出せばいい!?」

「一人頭、金貨五枚としても人数多いし・・・・・・全員で金貨五百枚でどうだ?」

「こ、この野郎!!足元見やがって!!」

「嫌なら見捨ててもいいんだぜ?」

「分かった・・・・・・金貨五百枚・・・・・・払おう・・・・・・」

「期限は一週間後までで支払いはサウザントアイズの白夜叉を通してれよ」

そう言いながら古城は立ち上がり、この場を後にするためルイオスに背を向ける。
古城の交渉という名の脅迫を呆然と見ていた雪菜を除く残りのメンバーも慌てて立ち上がり、家屋から出て行くのであった。







~おまけ~

「しっかし古城はどこであんなエグい交渉術を学んだんだよ?」

「ん?あれはウチの国の外省担当の真似しただけだぞ?」

「あ~ラ・フォリアさんか~それなら納得かな~」

「そ、その方もあそこまで容赦ないのですか!?」

「そうですね・・・・・・大体はあんな感じになりますね」

「そ、そうなの・・・・・・」

「まぁ~古城君のお嫁さんになるんならアレくらいできないと大変だもんね」

「「「「え!?」」」」

「そこら辺の詳しい話はまた今度な」

そう言いながらワイワイと本拠地へと帰っていくのであった。




 
 

 
後書き
ご意見ご感想をお待ちしています。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧