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第四真祖一家が異世界から来るそうですよ?

作者:黒螺
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YES!ウサギが呼びました!
  第十二話 「ペルセウスの襲撃」

 
前書き
新年明けましておめでとうございます。

更新が滞ってしまい申し訳ございません、時間を見つけ少しずつ書いていきますので気長に待っていただければ幸いです。 

 



「古城さん!?どうしてそんな大事なことを教えてくださらなかったんですか!?」

レティシアに真祖である事を暴露された古城に黒ウサギが掴みかかっていた。

「おいおい、そこまで驚かなくてもいいだら?」

「く、黒ウサギさん?少し落ち着いてください」

黒ウサギの反応に戸惑う古城と雪菜だがそこへ。

「今の大声は何事なの!?」

「一体何が起こったんですか!?」

バンッ!!と勢良く開けられた扉から飛鳥、耀、零菜、ジンという残りのメンバーが揃って入ってきた。

「あ~」

勢ぞろいした一同を見て思わず、顔に手を置き天を仰ぐ古城であった。


事情を知らなかった飛鳥、耀、ジンに黒ウサギが古城達親子の事を説明した所。


「「「・・・・・・・・・・・・」」」


一同、唖然として言葉が出ないでいた。


「さっきも言ったがそんなに驚く事なのか?」

「だよね~」

そんな反応を見て古城は思わずため息をつく。


「普通に驚かない方がおかしいだろう・・・・・・」


そんな古城に十六夜が溜め息混じりにそう言う、そもそも『真祖』と言えば数多の物語に登場するビックネームである。古城のいた世界では吸血鬼や獣人などの魔族がいるのが当たり前だった為に吸血鬼の存在がフィクションでしかなかった飛鳥達には、それが最近知り合って談笑していた人物だと言われたら・・・・・・かなりの衝撃を受けても不思議でなかった。


「まぁ~いいか・・・・・・それで?レティシアは前に言ってた十六夜の確認のために来たのか?」

「ああ、この機会を逃せばもう確認する事もできなくなるからな」

「あ?なんだ、その確認ってのは?」

怪訝な顔をする十六夜に古城と雪菜は森での事と掻い摘んで説明した。その話に顔色を変えたのは黒ウサギとジンであった。

「そ、そんな・・・・・・」

「箱庭の外ですって!?ヴァンパイアは箱庭の中でしか太陽の光を受けられないのですよ!?そのヴァンパイアを箱庭の外へ連れ出すなんて・・・・・・」

「なる程な・・・・・・仲間が今後、自立した組織としてやっていけると確信したくてここに来たって訳か」

「あのさ~なんでヴァンパイアは箱庭の中でしか太陽の光を受けられないの?」

「あ~それは俺も気になってたんだよな~」

「私達も吸血鬼ですが太陽の光を浴びても怠くなる程度なのですが・・・・・・」

「「・・・・・・え?」」

「おいおい、灰にはならないのかよ」

「んなもんで灰になってたまるか!!」

「でも古城さんなら灰になっても生き返えれますよね?」

「いやいや、わたしもママも時間かければできるよね?」

「そ、そうなの・・・・・・」

「『真祖』と王族は普通のヴァンパイアとは違うんだね・・・・・・」

灰になっても生き返ると言う驚異の生命力に絶句する飛鳥と耀であった。


「そろそろ話を戻そうぜ?要するにレティシアは俺の実力を見たいわけだ」

十六夜がレティシアに問いかけた。

「ああ、私にはもう時間がないのでな、箱庭を出る前に心残りを無くしておきたい」

「だったら・・・・・・その心残りを無くしてやるよ」

十六夜はニヤリと笑みを浮かべる。

「『ノーネーム』が魔王を相手に戦えるのかアンタがその力で試せばいい。どうだ?元・魔王様」

真っ直ぐにレティシアを見て楽しそうに言う十六夜。

「ちょ!?何を言っちゃってるんですか十六夜さん!?」

「・・・・・・ふふふ、ハハハハハ!!なるほど、実にわかりやすいじゃないか!!最初から下手に策を弄さずにそうすればよかったな」

レティシアもまた楽しそうに笑う。

「どうやらレティシアもやる気になったようだぜ?黒ウサギ」

「・・・・・・どうしてこんなことに」

黒ウサギは地面に両手を付きながらわかりやすく落ち込んだ、黒ウサギとしては何とかレティシアを取り戻そうとしていただけに本人が未練を断ち切るうとしている姿が悲しくて仕方が無かった。

「さてと、ゲームのルールはどうする?」

「わざわざ手間暇をかける必要もない。双方が共に一撃ずつ撃ち合いそして受け合う」

「地に足を着けて立っていた者の勝ちって事か・・・・・・シンプルでいいじゃねえか。ここじゃ狭いから表にでようぜ」

笑みを交わし二人は窓から中庭へ同時に飛び出して行った。

「あっ!!十六夜君待ちなさい!!」

「飛鳥ちゃんわたしも行くよ~」

「・・・・・・零菜も行くなら私も」

「はぁ~俺等も行くか」

「そうですね」

そう言いながら中庭に向かって走りだす三人娘を見て後に続く古城と雪菜であった。

ついた中庭では十六夜は地に、レティシアは翼を生やして天に、それぞれが位置していた。

「へえ?箱庭の吸血鬼は翼が生えてるのか?」

「ん?翼で飛んでいるわけではないがな。・・・・・・制空権を支配されるのは不満か?」

「いいや、ルールにはそんなのなかったしな」

飄々と肩を竦める十六夜。立ち位置だけを見ると十六夜が不利だろう。そう、立ち位置だけならばだが。
その十六夜の様子を見て、レティシアは微笑と共に黒い翼を広げ、ギフトカードを取り出した。金と紅のコントラストで彩られたギフトカードを見た黒ウサギは蒼白になって叫ぶ。


「レ、レティシア様!?そのギフトカードは」

「下がれ黒ウサギ。力試しとはいえ、コレが決闘である事に変わりない」


ギフトカードが輝き、封印されていたギフトが権限する。
光の粒子が収束して外殻を作り、突然爆ぜた様に長柄の武具が現れる。

「互いにランスを一打投擲する・・・・・・受け手は止められねば敗北。悪いが先手は譲ってもらうぞ」

「好きにしな」

そしてゲームが始まった。

「ふっ!!」

レティシアは呼吸を整え、翼を大きく広げる。全身をしならせた反動で打ち出すと、その衝撃で空気中に視認できるほど巨大な波紋が広がった。

「ハァァァァァア!!」

怒号とともに放たれた槍は瞬く間に摩擦で熱を帯び、一直線に十六夜に落下していき流星の如く大気を揺らして舞い落ちる槍の先端を前に、十六夜は牙を剥いて笑い、そして

「カッ・・・・・・しゃらくせえ!!」

殴りつけた

「「「「・・・・・・はぁ!?!?」」」」

素っ頓狂な声を上げる古城一家以外の一同を横目に古城達は殴り返したランスの軌道を見て焦り始めていた。

「あのままじゃ直撃します!!」

「眷獣じゃ間に合わない・・・・・・零菜!!」

「槍の黄金(ハスタ・アウルム)!!」

槍は十六夜の拳によって鉄塊と化し、散弾銃のように第三宇宙速度という馬鹿げた速度で、無数の凶器となってレティシアへと向けられたのだ。

「間に合え!!」

零菜は飛び上がり、レティシアの鼻先まで迫った鉄塊を『槍の黄金(ハスタ・アウルム)』で粉砕した。零菜はそのまま怪我を免れたレティシアを抱きとめ、着地する。


「はぁ~何とか間に合ったよ~」

「お二人とも御無事ですか!?」

着地した零菜に黒ウサギは駆け寄るとレティシアの落としたギフトカードを見つけ拾ってみて書かれている中身に、震える声でレティシアに向き直った。

「ギフトネーム・『純潔の吸血姫』・・・・・・やっぱり、ギフトネームが変わっている。鬼種は残っているものの、神格が残っていない」

「・・・・・・」

さっと目を背けるレティシア。

「ん~話があるんなら屋敷に入らない?」

中庭から屋敷に戻ろうとする黒ウサギ達三人に異変が起きたのはその時だった。顔を上げると、同時に東方から褐色の光が三人に射し込み、レティシアはハッとして叫ぶ。

「あの光・・・・・・ゴーゴンの威光!?まずい、見つかった!」

焦燥の混じった声とともに、レティシアは光から庇うように二人の前に立ち塞がるが零菜がそれより早くレティシアを庇った。

「ゴーゴンの首を掲げた旗印・・・・・・!?だ、駄目です!避けてください零菜さん!!」

「零菜!!」

褐色の光を全身に受けた零菜は瞬く間に石像と化した。

「なっ!?」

驚愕する一同、その時、光の差し込んだ方角から、翼の生えた空駆ける靴を装着した騎士風の男達が百人以上の大群で押し寄せてきた。

「いたぞ!吸血鬼は石化させ」

「何!? 石になってない!?」

「あの女が庇ったようだ、どうする!?」

「邪魔するならノーネームも切り捨て、吸血鬼を回収しろ!!」

その言葉を聞いた十六夜と飛鳥は不機嫌そうに前に出た。

「おいおい生まれて初めておまけに扱われたぜ」

「そうね 喜ぶべきか叩き潰すべきか 黒ウサギとジン君はどちらがいいと思う?」

「と とりあえず本拠へ・・・・・・」

「交渉相手は箱庭外とはいえ一国規模のコミュニティ もし奪われでもしたら・・・・・・」

「箱庭の外ですって!?と言う事は『ペルセウス』がヴァンパイア族に対して、その様な事を平然と行おうと言うのですか!?」

「我らの首領が決めた交渉、部外者は黙っていろ」

「こ この・・・・・・!!これだけ無遠慮に無礼を働いておきながら非礼をわびる一言もないのですか!?それでよく双女神の旗を掲げていられるものですね!!」

「ふん こんな下層に本拠を構えるコミュニティに礼を尽くしてはそれこそ我らの旗に傷が付くわ、身の程をしれ『名無し』風ぜッ・・・・・・!?!?」


ギィシ



その瞬間、空気か軋んだ・・・・・・あまりの暴言に黒ウサギの堪忍袋も限界だった・・・・・・だがそれ以上に怒りが爆発している者がいた。


暁古城である。

彼は娘を攻撃して石像にし、あまつさえ血族でわないとは言え同族のレティシアに対する扱いに怒りを覚えたのである。

「てめぇら、ウチの娘に何しやがる!!」

故に爆発した怒りの魔力は容赦なく騎士達に浴びせられた、その膨大な魔力にパニックを起こした騎士達が古城に次々と襲いかかってきた。


「あ、あの男を撃ち殺せ!!!」

「させません!!」

次々に降ってくる矢を雪菜が雪霞狼で打ち落としていく。

「そっちがその気なら相手になってやるぜ!疾く在れ(きやがれ)!!九番目の眷獣、双角の深緋(アルナスル・ミニウム)!!」

「ヒィィィィィーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!」

古城の腕から出た鮮血が閃光とともに巨大な獣の姿へと形を成した。緋色の双角獣(バイコーン)の眷獣が顕現しその衝撃で降ってくる矢の尽くを吹き飛ばす。
陽炎のようなその姿の緋色の双角獣(バイコーン)の肉体は凄まじい振動の塊であり、頭部に突き出した二本の角が音叉のように共鳴して凶悪な高周波振動を撒き散らす、かなり傍迷惑な存在なのである。

「な、なんだアレは!?」

一方の騎士達は古城の眷獣に更なるパニックになる・・・・・・それもその筈、元来の箱庭では古城の眷獣の様な絶大な力を持つモノは星の主権を所持していて星霊・神霊や召喚し従えるくらいしかなく、そんな上層の修羅神仏が行う様な事を最下層の名無しのコミュニティが平然と行使してくればパニックになるのは仕方がないとも言える。

双角の深緋(アルナスル・ミニウム)によつて空から次々と地面に叩き落とされる騎士達は古城にゴーゴンの威光を使い動きを止めようとするが・・・・・・それが自分達の逃走の最後のチャンスを潰す事となってしまう。

「古城さん!さっきの光がまた来ます!」

霊視によりいち早くその事に気づいた雪菜は古城に声を掛ける。

「分かった・・・・・・疾く在れ(きやがれ)!!一番目の眷獣、神羊の金剛(メサルティム・アダマス)!!」

古城の鮮血が、閃光とともに巨大な獣の姿へと形を成し、新たな眷獣が顕現する。その姿は金剛石の肉体を持つ途方もなく巨大な大角羊(ビックホーン)だった。あらゆる攻撃を反射する能力を持ち、数千数万もの結晶を操ることで盾や散弾のように撒き散らすなど攻防一体の能力を持っていた。そんな金剛石の神羊にゴーゴンの威光のような石化の閃光を浴びるとどうなるか・・・・・・答えは火を見るより明らかであった。


「くらえ!!」

リーダー格らしい騎士がゴーゴンの威光を使い古城に石化の閃光が迫るが、神羊の金剛(メサルティム・アダマス)の鳴き声と共に数千数万もの結晶が舞い上がり、ゴーゴンの威光を跳ね返した。しかもただ跳ね返すだけでなく舞い上がった結晶に次々と当たり乱反射し、それによりいくつにも分裂したゴーゴンの威光は押し寄せてきた百人以上の騎士を丸ごと飲み込んだ・・・・・・後に残ったのは百体以上の騎士の格好をした石像であった。






「『ペルセウス』は『サウザンドアイズ』の傘下なんですよ!?そんな所に手を出したらどうなることか分かってるんですか!?」

「おいおい、先に手を出してきたのは向うだぜ?正当防衛ってことで何とでもなるさ」

「だ、だとしても!」

「それにな黒ウサギ・・・・・・俺と雪菜はまだ相手を許したわけじゃないぜ?・・・・・・だろ?雪菜」

「ええ・・・・・・相手がこのような他人を巻き込んでも構わない様な手段で働いてきた事ですし・・・・・・少しお灸を据えてやりましょう」

「・・・・・・え?」

古城の反撃の凄まじさに唖然としていたメンバーはその言葉を聞いていてゾクリと背筋に悪寒が走っていた。そして一同はこう思った、『あぁペルセウスは終わったかもしれない』と・・・・・・ペルセウスのリーダーは怒らせてはいけない存在を怒らせてしまったんだと・・・・・・


「詳しい話を聞きに行くのは白夜叉の所で良さそうだし・・・・・・準備が出来たら行くとするか」

「そうですね・・・・・・では皆さんにも手伝ってもらって早く行きましょうか」

まるで夕食の献立を決めるような気軽さで会話する夫妻に飛鳥、耀、ジンはガクガクブルブルと震えだし、飛鳥は十六夜に耀は黒ウサギにジンはレティシアに抱きついていたという。



この事件から『ノーネーム』にをいて暁夫妻を怒らせてわいけないと言う暗黙のルールが出来上がった。






 
 

 
後書き

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