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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第十四話 今度はメイドさん、本当に色々な人が来るその十

「どう考えてもね」
「そうなるわよ」
「言っておくけれど私高校生だから」
 そのメイド服での言葉だからあまり説得力はないと思った、僕も。
「こうした格好だけれどね」
「じゃあ何でメイドの格好なのよ」
「私働いてもいたのよ」
 ダエさんにあっさりと返し続ける。
「フィリピンでね」
「高校に通いながら?」
「そう、日本風で言うとアルバイトしてたの」
「お金なくて学費稼ぐとか?」
「高校に通うお金はあるわ、家にもね」
 それはあるというのだ。
「うちのお店結構羽振りのいい散髪屋さんだから」
「それで何でアルバイトしてたのよ」
「遊ぶお金が欲しいからよ」
 実にダイレクトな返事だった。
「それで日本から進出してきてたメイド喫茶で働いてたの」
「それだけ?」
「そう、それだけよ」 
 これまた実にあっさりとした返事だった。
「お金が欲しければ自分で全うに働いて稼げ。うちの家訓なのよ」
「メイドも結構危なくない?」
 ラブポーンさんはこうメイドの娘に問うた。
「セクハラとか」
「そういう奴はお店からお兄さんが出て来てね」
 随分と物騒な話になった、ここで。
「後は。わかるわよね」
「強制退去ね」
「それに従わない場合はノックアウトよ」
 そうなるというのだ。
「だから大丈夫よ」
「いいお店ね」
「店長さんが日本から出張してきたいい人でね」
「そうしたことをわかってくれてたのね」
「フェミニストだったわ」
「それはいいわね、やっぱり勤め先の店長さんはいい人に限るわね」
 ダエさんも女の子の話に納得している顔で頷く。
「そのことはね」
「ええ、お金払いもいいし」
「いいお店だったのね」
「清潔さには厳しかったけれどね」
 僕はその話を聞いてやっぱり日本人だと思った、日本人の清潔さは世界でも有名だけれどその話からも伺えた。
「毎日お店の隅から隅まで、店長さんが自分からお掃除してたわ」
「余計にいい店長さんじゃない」
「謙虚だったしね、それでその店長さん見て日本に興味を持って」
「留学してきたのね」
「留学の資格とか手に入れてね」
 そして、というのだ。
「ここに来たのよ」
「そうだったのね」
「それでお店が八条グループの系列だったこともあって」
 八条グループはメイド喫茶も経営している、ただ風俗産業はしていない。そうした話はうちの親父が全部受け持っている。
「ここに入ったのよ」
「そうなのね、じゃああんたの名前だけれど」
「そうそう、まだ名乗ってなかったわね」
「フィリピン人でメイドさんのアルバイトしてたことはわかったわ」 
「それはよね」
「けれど他のことはわかってないから」
 それで、とだ。ダエさんは女の子に言うのだった。
「教えてくれる?」
「テレサ=ハナザワ=ドミンゴよ」
「ハナザワ?」
「何かご先祖様、スペインの人が付け加えた姓名よ」
 随分日本的な名前だと思った、横で聞いていて。
「ドミンゴでいいわよ」
「ドミンゴね」
「もっと言えばテレサでいいから」
 下の名前で、というのだ。
「宜しくね」
「ええ、じゃあテレサっていうわね」
「どうぞ」
「私の名前はね」
 ここでダエさんも名乗ってだった、他の娘も名乗った。勿論僕も畑中さん達もだ。そこまで話してそうしてだった。 
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