八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第十四話 今度はメイドさん、本当に色々な人が来るその九
「まずはです」
「お風呂に入って身体を奇麗にして」
「そして服も着替えられて」
そのうえで、というのだ。
「行かれて下さい」
「わかりました、それじゃあ」
僕は畑中さんの言葉に頷いてだ、そうしてだった。
お風呂に入って着替えて完全に奇麗になった、そのうえで晩御飯の時間を待った。そして晩御飯の合図のベルが鳴ったので食堂に行くとだった。
皆もういた、まずは小夜子さんが言った。
「新しい方が来られたそうで」
「さっき挨拶したじゃない」
イタワットさんは目を瞬かせてその小夜子さんに言った。
「私でしょ」
「いえ、それが」
「あれっ、ひょっとして」
「はい、どうやら今日は」
「私以外にもなのね」
「入居者の方が来られた様です」
小夜子さんはこうイタワットさんに話した。
「そして今日からです」
「このアパートの入居者になるんだ」
「その様です」
「さっき執事さん、畑中さんも言ってたけれど」
ここでイタワットさんも気付いた、このことに。
「そういうことだったのね」
「はい、入居者の方はです」
今日入るその人はだ。
「イタワットさんとです」
「もう一人いたのね」
「そしてその方とです」
「今から一緒に晩御飯を食べるのね」
「そうなる様です」
「じゃあどんな娘かしらね」
イタワットさんは関心をこちらに向けて述べた。
「これから会う娘は」
「とてもいい方です」
微笑んでだ、畑中さんが言って来た。
「安心されて下さい」
「そうなのね」
「はい、ではこれから」
その人が来ると言ってだ、そのうえでだった。
僕達はその人が来るのを待った、そして来たのは。
その人を見てだ、まずはダエさんが目を丸くさせて言った。
「えっ、ちょっと」
「そうよね」
イタワットさんがそのダエさんに応える。
「これはね」
「想像していなかったわ」
ダエさんは驚いた顔のままこうも言った。
「本当にね」
「そうね、けれどね」
「考えれてみればね」
「これもありよね」
「ええ、そうよ」
これがダエさんの言葉だった。
「フィリピンだからね」
「そうなるわね」
「それ先入観でしょ」
少し癖のあるけれど流暢な日本語でだ、その娘が言ってきた。
背は一六〇位で黒と白のメイド服に身を包んでいる、目は大きく睫毛が長い、そして少し垂れ目になっている。
口元は小さく肩までの黒髪で端の方は巻いている。褐色の肌でその黒い瞳と髪の毛によく合っている。スタイルは普通位だろうか。
その人がだ、奇麗な女の子らしい声で言ってきた。
「フィリピン人イコールメイドっていうのは」
「いや、実際にね」
「そうよね」
その娘にだ、ダエさんとイタワットさんは言い返した。
「あんたメイドだし」
「それでフィリピン人よね」
「それだったらね」
「もう先入観の問題じゃないでしょ」
つまり見てのままだというのだ。
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