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扉の向こうの物語 

作者:水無月♪
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水を留めし少年

 
前書き
彼の心は水で満たされていた。
微塵の汚れもなく、美しいとも言えた。
だがこれ以上は美しくなれない、本能では気づいていたが頭ではそれを無意識に否定していた。
強くなるために濁りが必要だ、そう言われたとき彼はどうするのだろう
砂浜に二人で残した名前。
それがある限りあなたは私が守る。
王は水を留める少年に恋をした。 

 
「まだかよ、街は!!」
「知らん」
「ここどこだよ!!」
「知らん」
「いつ着くんだよ!!」
「知らん」

だだっ広い平原、背中から照りつける太陽、綺麗な地平線。

「イフリートさん?」
「ん?」
「こっちであってるのかよ!!」
「知らん」

その時アカネの何かがぷっつりと切れた。

「なんなんだよお前!お前が特になんにも言わないからずーっと真っ直ぐ歩いてきたけどそもそもどっちかもわかってなかったのかよ!?」
「私が知ってるこの世界とは随分変わっている、道など知らん!」

そう言うと、ふところから細長めのタバコを2本取り出し一辺に咥えて吸いだした。

(なんだよ、こうなるとこいつ喋ってくれないんだよなぁ、てか精霊の王がヘビースモーカーで大丈夫か?)

「なあ、アカネ」
「珍しいな、何?」
「今時の雨ってのはあんなに大粒なのか?」
「は?」

振り返ると自分の身長サイズの水の塊がこちらに向かって急接近してくるではないか。
雲なんてそもそもなかったし、あんなところに人影なんてなかった。

てか

「やばいやばいヤバイヤバイ、イフリート!とりあえずあれ蒸発させて!」
「あいよ」
吸っていたタバコを一本水塊に放り投げると、そのまま炎の膜となって包み込み『ジュー』と音を立て消えてしまった。

「ついでにこれもやるよ!」

そう言って残りのタバコを水塊の出処に放つ。たちまち大きな火炎となった。

『ボワッ……ジュー…』

「おい、今なんかに当たったぞ」

見えない何かに当たったタバコは音を立てるとともに消えてしまった。

「おい!出て来いよ『ウンディーネ』」
「げっ、ばれてたの?仕方ないわね、いいわよ、、えいっ」

途端に景色が変わる。
アカネたちのいる平原部分はそのままだが、眼前には活気溢れる街の門が構えていた。
その開いた門の中心には一人の少年と上半身だけの女性が立って(?)いた。

「もう酷いよイフリートちゃん♪ 私が細かい水滴になって、あなた達の視界を歪ませてたの気づいてて…下半身全部蒸発させちゃうんだから♥︎」
「自分で全部説明しといてそれは自業自得ってやつだろ、あのタバコまだ吸えたのに…もったいない」

そう言うとまた新しいものを取り出し吸い始め黙ってしまった。

(あーイフリートのやつ絶対あの人って知らずに撃ったなあれは)

「で、えーっと…」
「アオトだ」
「お、おう、俺は、、アカネ、こっちがイフリートね」

離れた場所でタバコを吸っていたがぶっきらぼうに手を振って見せた。
一応聞いてんだな。

「ウンディーネが仲間がいると言うからどんな奴が主かと思ったがイフリートに頼っているだけじゃないか」

アオトが何を言っているのか一瞬理解ができなかった。
冷たい感覚が喉元を襲う。

「アカネ、君死ぬよ」

殺意なんてものはなく、感情そのものがない、そんな顔だった。
こいつには感情がないのか。
恐怖や不安を感じるよりも疑問が
アカネを支配していた。
動けなかった、動こうとも思えなかった。

「僕は暇じゃないんだ、ずっとイフリートに守っててもらえ」

気づいた時、アオトはすでにその刃を収め雑踏に向かって歩みを進めているところだった。

「アオト?もういいの?」
「あぁ、雑魚には興味はない」
「このままだと私オバケみたいじゃない?ほーら…」
「はいはい、水後であげるから今はちっちゃくなっとけよ…」

10秒もしないうちに二人は完全に見えなくなった。

「おい、イフリート」
「ん?なんだ?」
「俺も強くなれるか?」
「急になんだ、あいつに腹でも立ったか?」
「いいや、あいつの笑顔が見てみたくなった」

心の炎が一層大きく、また大きくなるのをイフリートは優しげに見つめていた。 
 

 
後書き

クロノス「ウンディーネちゃん黒いね」
ウンディーネ「なんのことですかぁ?」
ク「そういうところ」
ウ「へへへ♪」
アオト「ほら、離れるなよ、早く行くぞ」
ウ「は〜い♥︎」

ク「馬鹿ップルが(๑•ૅㅁ•๑)」 
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