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魔法科高校~黒衣の人間主神~

作者:黒鐡
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九校戦編〈上〉
  九校戦三日目(2)×事故後の解析結果と本戦ミラージ・バット出場決定

「どうぞお入りください。・・・・お兄様、五十里先輩と千代田先輩がお見えになりました」

深雪の声に俺は幹比古と話していたら、ドアの方を向くと二人の男女がいたので立ち上がった。

「わざわざすいません」

「いいよ、気にしないで。手伝うって言ったのは僕の方だし、作業中の端末を持ってこさせる訳にもいかないしね」

そう言ったら、五十里先輩は気安げに手を振った。

「千代田先輩の方は、優勝おめでとうございます」

「ありがと、摩利さんがあんな事に巻き込まれちゃったからね、その分、あたし達が頑張らないと」

グッと拳を握ってみせる花音は、熱血という言葉に似合っていそうな感じではある。

「それで、何か分かったの?それとそこに人は」

「吉田と柴田です、吉田は精霊魔法を得意とする魔法師で柴田は霊子光に対して特に鋭敏な感受性を有してます。それと二人が来る前に結果は出ました、無論検証をした結果と俺が水中にいたのでね」

「あの時に水中にいたのは織斑君だったの!」

「俺は事故直前に心霊現象ともなるのを確認した後に空中に出たので、俺は何もしてませんしもし何かあれば無効化をしてますがそれだと全員の魔法をキャンセルする事になりますから」

俺のパソコンには、二分割されていてビデオ映像とシミュレーション映像の二つの映像を出してあるが、パソコンは現代の魔工師が使うようなもんではないので調査結果を五十里先輩と千代田先輩に見せた。そして二つの画面が同時に動かしてから、再生されて水面変化の影響が出る数字も出ていた。水面が陥没した瞬間に項目名がアンノーンとなった事でゼロが声を出して言ったのだった。

『これを見れば分かると思いますが、九校戦では外部からの魔法干渉による不正防止するために対抗魔法に優れた魔法師を大会委員として各競技場に配置しております。それと監視カメラを大量に設置されておりますので、五十里先輩の予想は遥か上空からのダウンバーストを作り出し高圧の空気塊を叩き付ける事で水面を陥没させたのではと思いになっています。一真様が水中で見たというのであれば、水面を陥没させたのは水中にいる何者かだと結論が出ています』

ゼロが結論結果を元に、水中工作員がいたとしか考えられないと言うが現代魔法ではあり得ないと言う五十里先輩だったが、俺と幹比古の考えでは精霊によるものだと結論を出した。俺の解析は完璧であり、五十里先輩のスキルではこれ以上の事はできない。

「俺が使う精霊術式と吉田が使う精霊魔法は、一見同じに見えますが両方とも違うのです。吉田のは『精霊は術者の思念の強さに応じて力を貸す』だが、俺のは『術者のイメージしたのをそのまま術者の力となる』だからなのか、考え方も違うのでこうやって話合っていたのですが。吉田、五十里先輩に俺達の結論を言ってみろ」

「了解だよ、僕が使う精霊魔法だと数時間単位で特定条件に従って水面陥没するという遅延発動魔法は可能と見れます。第二レースの開始時間を第一の発動条件、水面上を人間が接近する事を第二の条件として、水の精霊に波あるいは渦を起こすよう命じる事で達成できます。精霊じゃなくて式神でも可能です。準備期間にもよりますが、今すぐやれと言われても無理です。半月くらい準備期間をもらって、会場に忍び込む手筈を整えてもらえば、可能だけど前日に会場に忍び込む事は必要ありません。地脈と地形が理解していれば、地脈を通して精霊を送り込む事ができます。ただしそんな術の掛け方ではほとんど意味がない威力が出る事はありません。何時間も前から仕掛けたとすると、精々侵入者を驚かせる程度の猫騙しレベルにしかならないと一真と結論をしたところです」

「じゃあ精霊魔法ではないとすると、一体何が原因だって言うの?」

千代田先輩はそう言うので、ゼロに俺が水中で何が起きたかの映像をここにいる者たちに見せたが事故直前に渡辺先輩のボードを水中に引きずり出そうとして陥没した時のを見せた後にこの映像を見た美月は、その時はメガネをかけていたがこの映像を見るとSBが何らかの活動をしていたと言った。その後に去年のタイムを合わせるとシミュレーションで見ると、本来ならここで減速をする時なのに加速をしたところで停めた。

「これを見ると分かるが、本来なら減速するところをここで更に加速している」

「明らかに不自然だね」

「そうね。こんな単純なミスをする魔法師が、九校戦の選手に選ばれる訳ないか」

五十里と千代田のコメントを聞いている間に再生速度を通常に戻した。

「恐らく七高選手のデバイスに細工をしてあったと考えるべきです。コース減速が必要になるのはこのコーナとなるが、減速の起動式を加速の起動式とすり替えられた場合、間違いなく事故をここで起こす。去年の決勝カードのタイムと事故前のを照らし合せばここで優勝候補を一度で潰す事が出来る」

「確かに理屈は通っているけど・・・・CADに細工何て出来るのかい?もし細工したとしたら、一体何時?」

「七高の技術スタッフに裏切り者が紛れ込んでいるとか?」

五十里と千代田の質問に俺は否定を表すように、頭を横に振った。

「七高の技術スタッフに聞いたところ、そんな事をした覚えはないと言っています。それにそろそろ俺が呼んだ客が来るはずだ」

そこでノックされたので、深雪が開けると静かに入ってきたのは老師と呼ばれる久島閣下と護衛者の結衣と沙紀だった。そして沙紀の手に持っているのはデバイスだったけどね。

「なぜこんなところに九島閣下がいるの?」

「俺が呼んどいた。烈、お前の意見を聞きたい」

名前呼び捨てにお前と言ったので、終始慌てていたが烈は沙紀が持っていたデバイスを渡したのだった。

「若人諸君、落ち着きなされ。私は一真様の盟友であるから別に呼び捨てされようが、お前と言われても怒る事はせんよ。それよりこれは確かに異物が紛れ込んでいると私も思う。それに一真様は水中に精霊らしきものを確認されたのであれば、辻褄が合うのは間違いないだろう。このデバイスは七高選手が使っていた物を借りてきた物だが、私が現役だった頃、東シナ海諸島部戦域で広東軍の魔法師が使っておった電子金蚕だ」

「俺が代わりに説明しよう、電子金蚕は有線回線を通して電子機器に侵入し高度技術兵器を無力化するSB魔法だ。プログラムそれ自体を改竄するのではなく、出力される電気信号に干渉してこれを改竄する性質を持つ為、OSの種類やアンチウイルスプログラムの有無に関わらず、電子機器の動作を狂わせる遅延発動術式。烈がまだ軍にいた頃はこれの正体に随分と苦しんだようだがな」

「まあな、それにしても私を動かすとは相変わらずとも言おうか。七高のデバイスを見せろと言われても一蹴されてしまうが、大会委員の中に裏切り者がいると私は思うがね。それも工作員が、まあそいつの尻尾が現れるまでは私も動かないようにしておこう」

そう言った後に列は、デバイスを持ってから立ち去ったが俺も大会委員に工作員がいるのは間違いないと確証した。その後競技用デバイスをどのようにして細工したかまでは分からなかったが、必ず大会委員に引き渡される時があると言いながらも今回の事件で確証を得たのは無頭竜の妨害だと俺は思った。手口までは分からないが、恐らく一高にちょっかいを出してくるだろう。その後解散されたが、このデータを持って俺は高級士官用の部屋にいる元部下達とCBメンバーとして紛れ込ませている大会委員の連中と密談をした。

第一高校、三日目の成績は男女ピラーズ・ブレイクで優勝、男子バトル・ボード二位、女子バトル・ボード三位。第三高校が男女ピラーズ・ブレイクで二位、男女バトル・ボードで優勝という好成績を収めた為、両校のポイントは前日よりむしろ接近してきたようだ。大会始まる前に、渡辺先輩が新人戦のポイントは総合順位に影響しないだろうと言っていたが、予想を大きく外れた。明日からの新人戦に備えて、担当選手が使用するデバイスチェックと自分が使うデバイスを同時にチェックしていたら端末から会長に呼ばれた。ミーティングルームに来ると扉の前で深雪と合流した、俺の今の格好はブルゾン姿であったけど。

「深雪も呼ばれたのか?」

「ええ、お兄様もですか?」

「たぶんミラージ・バットについてだと思うな、行くぞ」

「はい」

「失礼します」

あまり考えないで、入室をしたらそこには会長に会頭に市原先輩とまだ寝ているはずの渡辺先輩もいたのだった。俺の準備は既に終わっているから、あとは明日に備えるだけだが、俺は主治医として一応質問した。

「渡辺先輩、身体はもう大丈夫何ですか?」

「その必要はないが、一真君が主治医だと分かっていても私は寝ている訳にもいかないのでね」

そう言いながら椅子に座った後に、大事な相談があるから俺達が来たような感じだった。そんで市原先輩が言う事は理解している、今日の成績についてだ。一高の今日のポイントはプラスマイナスでほぼ計算通りではあるが、予想以上に三高がポイントを伸ばしている為に当校の見込みより差が詰まっている。まだ十分なリードを保っているが、新人戦で優勝できないまでも大差をつけられなければ、最後のモノリス・コードに勝利する事で総合優勝を果たせる事までは俺も思った通りとなった。

「今回は織斑君も新人戦で選手として出てもらいますが、まだ大会委員からのハンデが知られてない以上は優勝する事以外は変わりありません。もし三高に大差をつけられるようであれば、本戦ミラージ・バットの成績次第で逆転を許してしまう可能性があります。本戦のポイントは新人戦の二倍。私達作戦スタッフは、新人戦をある程度犠牲にしても本戦ミラージ・バットに戦力を注ぎ込むという結論に致しました。もちろん織斑君が新人戦で優勝果たした時でも変わりはありません」

「なるほど、つまり深雪を本戦ミラージ・バットに出場するようにという事ですか。渡辺先輩の代役として、それにミラージ・バットに補欠はいないし空中を飛び回るミラージ・バットにぶっつけ本番で出場しろというのは、いくら本校代表選手でも酷な話だ。それで深雪が一番優勝できると思ったからですか?」

「まあその通りだけど、お願いできるかしら?深雪さん」

「優勝する事は、新人戦と本戦では違いはありますが大丈夫です。エンジニアはお兄様がやってくれるなら、優勝は間違いないです!」

こうして本戦ミラージ・バットに出場する事になった深雪だったが、飛行魔法についても策の一つとして考えておいた方が良さそうだ。それに明日からは俺も出場するしどんなハンデがあったとしても、絶対に優勝してみせるさ。予選は女子の方でやるかもしれんが、決勝は男子とでやるそうだからな。明日が楽しみだ。 
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