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魔法科高校~黒衣の人間主神~

作者:黒鐡
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九校戦編〈上〉
  九校戦三日目(1)×事故前後と治療後の面会

九校戦三日目。男女ピラーズ・ブレイクと男女バトル・ボードの各決勝が行われるこの三日目くらいで、そろそろ無頭竜からの妨害行為が始まると思いながら考えていたけどね。服部は男子第一レース、渡辺先輩が女子第二レース、千代田先輩が女子第一試合で十文字会頭が男子第三試合のようだな。俺は今蒼い翼だけが入れる専用の会議室にいた。しばらくすると蒼太と桜花、結衣、沙紀が来たのだった。

「お呼びでございますか一真様」

「うむ。そろそろ奴らからの妨害が来る可能性が高い、無頭竜の妨害により一高の三連覇をな」

「やはりそうですか、そう言うと思って九校戦の過去データをもらってきました。これは蒼い翼の者からの情報です」

ご苦労と言いながら記録媒体をパソコンに入れると、過去のバトル・ボードのが出てきた。これは去年の決勝リーグの時のようで、渡辺先輩と七高の選手がいた。そして同じタイムだとするならと思ったら未来予知が発動したのか、目だけが金色になった。蒼太達は来たかと思ってそのまま静観した後に、目を閉じてしばらく考えていたが俺は指示を出した。

「恐らく渡辺先輩と七高の生徒をリタイアさせるつもりだろうな、俺は水中にいる。それも水術で水と同化させるから、息するのは問題ない。事故が起こるところで俺は水中で待機しとくから、蒼太は深雪達のところにいてくれ。桜花達は医療班として待機だ」

「分かりました、それでは指示通りに動きます」

敬礼をした後に、行動を開始した後に俺は女子バトル・ボードの会場に行き、渡辺先輩のレース前になると俺は風術で俺を視認しなくなるようにしてからレースの水中に潜った。水と同化する事で、酸素補給せずに長時間水中に居られる事が出来るし真上から見られようとしても光の反射で床と同じ色にしているから問題ない。さて渡辺先輩のレースになるまでは、水の精霊王ガッドと話していた。最近神界に来てないとか召喚してもらえないとか、あとは深夜達ばかりズルいとかだったがこの大会が終われば召喚してやるさと言ってやった。そしてレース始まる直前になってから、蒼太は指示通りに動いてもらい蒼い翼のところには医療班待機として桜花達がいた。ストレッチャーや検査器具を持ってな。

「あれ?一真さんはどうされたのですか」

「一真様は別件で近くにおります、私がここに来たのは何かあった時に落ち着くようにと」

『やはりお兄様は水中にいるんですね?』

『その通りでございます。服装はいつもの戦闘服にサングラスをかけている状態なので、会場内やテレビで見ている人達でも一真様だという事はバレません』

『無頭竜がそろそろ妨害してくるからですか?』

『はい。過去のデータと今を照らし合わせるとそろそろかと』

俺と深雪様での脳量子波で密談をしていたが、やはり深雪様も分かっている様子だった。それに水中には何もいなさそうな感じであるし、監視カメラやレース場付近には蒼い翼関連の人間を立たせてますからね。蒼太がスタートラインへ目を向けると、去年と同じ七高の選手がそこにいた事でやはりと言いたいがどうやって妨害をするかについては起こった後にしか分からない。バンダナで纏めたショートボブの髪を揺らし、摩利さんは既に、スタート姿勢を取っていた。準決勝は一レース三人の二レース。それぞれの勝者が一対一で決勝レースを戦う事になるが、他の二人は緊張で顔を強張らせているが、摩利さんだけは不敵な表情でスタートの合図を待つ。

用意(レディ)

一回目のブザーが鳴ると同時に観客席が静まり返る。二回目のブザーでスタートした三人の選手たち、一真様は水の抵抗を感じないようにして摩利さんの後をつける。先頭はやはり摩利さんだが、予選と違い背後には二番手の選手がピッタリついている。少し遅れて三番手。

「やはり手強い・・・・・!」

「さすがは『海の七高』」

「去年の決勝カードですよね、これ」

激しく波立つ水面は、二人が魔法を撃ち合っている証であり、その後ろを俺である一真がピッタリくっついて来ている。普通ならば先を行く渡辺先輩の方が引き波の相乗効果で有利になるが七高選手は巧みなボード捌きで魔法の不利を補っている。スタンド前の長い蛇行ゾーンを過ぎれば問題はないはずだが、俺の未来予知と直勘は当たるからな。そこからはスクリーンによる観戦となる。蒼太は大型ディスプレイではなく、渡辺先輩を凝視していた。

「あれは!」

小さな異常に即座に反応したのは、蒼太だったが深雪達も分かったようだった。

「オーバースピード!?」

観客たちの誰かがそう言った時に、蒼太は風の精霊加護により七高の会話を聞いていた。それを通信機で聞く。

『何で!?速度が落ちないっ、この先はカーブなのに』

やはりデバイスに細工をされていたような会話だったのを、聞き逃ししなかった蒼太。

「そのままだとフェンスに突っ込むぞ!」

ボードは水を掴んでいないようだから、飛ぶような感じで七高選手はどんどん加速していく。前に誰もいなければの話だが、渡辺先輩は減速を終えて次の加速を始めたばかりであった。背後から迫る気配に気付くと、咄嗟にボードの加速をキャンセルし、水平方向の回転加速に切り替える。水路壁から波を利用し、魔法と体さばきの複合でボードを半転させる。

「凄い!魔法と体さばきでボードを半転させた!」

暴走状態となった七高選手を受け止めるために、新たに二つの魔法をマルチキャスト。突っ込んで来るボードを弾き飛ばす為の移動魔法と、相手を受け止める衝撃で自分がフェンスへ飛ばされないようにする為の加重系・慣性中和魔法。そのままだったら事故を回避できたはず。ここで魔法が発動できたらの話だが、俺や蒼太のようにサーフィン上級者だが渡辺先輩は上級者ではない。ただ優れた魔法・体術複合能力により無理に行った体勢変更は、突如浮力が失われたような感じとなり渡辺先輩はボードが沈み込むと同時に七高選手が来たので慣性中和魔法が発動する前に渡辺先輩と衝突した。それは交通事故と同じような威力で、フェンスに激突した渡辺先輩と七高選手を守った形で倒れ込む二人だった。その瞬間に水中から空中に浮かぶ者が現れた事で、悲鳴と歓声でいっぱいとなった。

「一真様、全て見てました。あとはお任せします」

『俺は渡辺先輩を治療するから、蒼太達は待機していろ』

「了解しました」

レース中断の旗が振られた時には、真っ黒な服装で目元が分からないくらいのサングラスをかけていた者はフェンスに行き、待機していた医療班を呼んだ。

「蒼太さんは行かなくていいの?」

「大丈夫ですよ、一真様の予想通りの展開となりました」

そう言いながらだったが、少し時間を遡るとしようか。俺は渡辺先輩と七高選手を追っていたが、予想通り七高選手がオーバースピードにより止まらない状況となったが俺はやはりデバイスに細工でもしてあったと考えた。そして受け止めようとした渡辺先輩のボード真下から、水の精霊による悪意の塊が突如出現してボードを掴み水面が揺れさせる妨害をした後回収しようとしたが遅かった。で、事故が起きて二人はフェンスに激突した瞬間に俺は水中から風術で空中にと上がった。

「ちっ、やはりこの場面で事故か」

既にレースは中止となった後に、二人の元へ向かうと俺は待機させていた医療班を呼ぶ。そして七高選手は軽傷で済んだが、問題は渡辺先輩だな。

「七高選手は軽傷だが、問題はこっちだ。ふむ・・・・肋骨が折れている、ストレッチャーは?」

「既に持ってきております」

そう言った後に大会委員の中に蒼い翼と軍関係者がいるので、ストレッチャーに渡辺先輩を念力で運ぶ。静かに運んだ後に、ストレッチャーで移動させてから裾野基地の病院に運んだ。そして着ていたスーツを脱がしたのは、桜花達で医療服を着させてから俺の出番だ。今の俺の服装は制服の上着を脱いで白衣を着てい状態、周辺スタッフは全て俺の元部下と部下なので治療しても問題ない。

「回復魔法で肋骨を治すのもいいが、本戦で深雪をミラージ・バットに出場させるためだ。とりあえず頭部をCTスキャンしてっと」

俺は手を渡辺先輩の頭部を光で頭部全体にスキャンをかけてみたが、頭部には何も問題ない。俺らはデータをここにいる皆が分かるようにして、大型ディスプレイにCTスキャンをしたデータと肋骨のレントゲンも俺の手だけでやった。

「このデータを見ると分かるが、頭部損傷はないに等しい。肋骨を折れているから、普通なら魔法で定着させるが俺の回復魔法でヒビの状態に戻す。あとはバイタルチェックと点滴をしておいてくれ。それと軽傷部分も包帯やらで巻いてくれ」

『了解です!』

治療室の外では、会長達が到着したが俺を見るや入って来ようとするので俺は会長を見て入って来ないように指示を桜花達に出した。

「今は治療中だ、関係ない者は外でお待ちを。俺は医師免許持ってますから」

「そう・・・・治療が終わったら言ってね」

そう言った後に、俺は包帯やら撒いたりバイタルチェックをしてから治療は完了となったので、とりあえず病室まで搬送。一応肋骨にヒビが入っているので治療室のベッドから病室のベッドに移動させたのは念力で浮かしてから布団を敷いたのだった。その後点滴をしているので、俺はチェック後に病室の外にいる会長のところに行った。

「会長、治療は終わりました。肋骨が折れていたのですが、俺の力でヒビまで回復させました。頭部に損傷はないんであとは意識が回復を待つだけです。それまでは会長が側に居て下さい。全治一週間で、一日寝ていれば問題はありませんが、その間は激しい運動はしない方をおススメします。俺の仕事はこれで終わりではないですからな、渡辺先輩がなぜああなったのか調査します。それと七高選手をかばってくれたおかげでそっちの方は軽傷です」

「そう。ありがとう一真君。でもあなたはいったい何者?」

「今の俺は医師免許を持つ軍医でもありますが、渡辺先輩が意識回復したら聞いてみてください。あの時第三者の介入があったかを」

「第三者の介入?あの事故はただの事故じゃないって事?」

「そうしか考えられないですから、大会委員の中には蒼い翼の者もいますからそいつからビデオを借りて水面の波動解析をするんで、これで失礼します。ここには桜花を置いていきますんで何かあれば言ってください。では」

そう言った後に桜花に後を頼むと言った後に白衣と医師免許をしまってから、学生服に着替えてから俺の部屋に向かった。調査報告を聞いた後に、俺も水中内で精霊の悪意でボードを水中に引きずり込もうとしていた事を話してからビデオを借りて水面波動解析を行っていたら、桜花からで意識が回復したそうだ。渡辺先輩の覚醒は速くはなかったが、意識に靄がかかった状態で今の現状が今一把握していないところに、真由美の声で完全覚醒した摩利だった。

「摩利、気が付いた?私が誰だか分かる?」

摩利は自分が今どんな状態か、今一よく分かっていなかった。自分の顔を上からのぞき込んでいるからだ。質問の意味を理解しても、なぜそんな事を訪ねてくるか理解できてなかったので問い返したけど。

「真由美、何を言っている?そんな事は訊くまでも・・・・・っ」

自分のセリフ途中で、突然の痛みに襲われた事で現在状況を知ったのだった。

「ここは病院か・・・・」

「ええ、裾野基地の病院よ。良かった・・・・意識に異常は無いようね」

「あたしはどのくらい気を失っていたんだ?」

後頭部から伝わってくる鈍痛が、自分は眠っていたのではなく受け身を取れなくて気絶したのだと摩利に教えた。

「お昼を回ったところよ。あっ、まだ起きちゃダメ。主治医の先生が今日一日は寝たらある程度は回復すると言ってたから」

ベッドの上に身体を起こそうとした摩利を、真由美は素早く先回りしてベッドに押し戻す。強い力ではなく軽くだったが、主治医からの指示と摩利の方ではいつもより身体の自由が利かなかったからだ。

「肋骨が折れていたそうだけど、主治医の力で肋骨骨折からヒビまで回復させたようよ。本来なら魔法で繋いでいて、定着してないという事も魔法による治療は応急処置だと言う事を」

「定着するまでは仮に治っているだけで、決して瞬時に健康状態を取り戻すものじゃないくらい理解しているが今何て言った?骨折からヒビまで回復だと?」

「ええ、ホントなら定着のはずがヒビまで回復したのよ。もちろん肋骨以外にも軽傷部分もあったから、主治医からは全治一週間。一日寝ていれば日常動作に支障はないけど、念のため十日間は激しい運動は控えるようにと言ってたから禁止」

「おい、それじゃあ!?」

「ミラージ・バットも棄権ね。仕方ないわ」

「そうか・・・・」

摩利はため息をついて目を閉じた、摩利が気絶している間どうなったかを真由美に聞くと七高は危険走行で失格し決勝は三高と九高となった。三位決定戦は一高と二高で小早川が随分と気合を入れていたと言う。七高の選手を庇ったお陰で軽傷だった。男子は服部が決勝進出で男子ピラーズ・ブレイクは十文字が決勝リーグ進出となり、女子の方も千代田が決勝リーグ進出で、摩利だけが計算違いだったようだ。

「仕方がないわ。摩利、貴女の判断は間違っていなかったの。あそこで貴女が加速を止めなければ、間一髪で衝突は回避できたでしょう。決勝にも進めたと思う。でも七高の選手は大怪我をして、多分、魔法師生命を絶たれていたと思うわ。それほど危険な突っ込み方だった。これは主治医である一真君も同意見ね」

「・・・・おい、そこで何故アイツの名前が出てくるんだ?主治医はここの病院のなのだろう」

「事故が起こった後に貴女をタンカーで運んで、治療をしたのが彼だから」

「なに?」

「もちろん、一真君一人に任せた訳じゃないけど。驚いた?」

にんまりと笑った真由美から、苦虫を噛み潰した表情で摩利は顔を背けた。自分がホッとしている事を自覚できるだけに、真由美の笑顔が忌々しかった。

「さすがに女の子の着替えまでは女性スタッフで着替えさせたけど、そこからは一真君は軍医であるからなのか周辺スタッフ達も皆指示通りに動いていたわ。事故後に駆けつけて、肋骨が折れている事をすぐに理解してからエレメンツの一つで摩利を浮かして担架で寝かせてから運んだのよ。そして治療が終わった後に自分は医師免許を持っているからと言ってから、摩利の状態と今後についてを私に話してから事故後を調べると言って行ってしまったわ」

「・・・・医師免許まで持っているとは、ホントにアイツは規格外な奴だな。それより肋骨骨折をヒビまで回復させたのは治癒魔法ではないんだな?」

軍医やカウンセラーの免許に車の運転にいろんな資格を持っているからなのか、たまに一真の事を呆れていた摩利と真由美だった。それに脳のも損傷がないし、その場でレントゲンとCTスキャンで頭部を見ていたと言ったらホントに何者なんだ?とな。

「ところで摩利・・・・あの時、第三者から魔法による妨害を受けなかった?」

「・・・・どういう事だ?」

「七高選手を受け止める直前に摩利が態勢を崩したのは、第三者による不正な魔法で水面に干渉させた所為じゃないか?という事よ。それと詳細な事を知っている人がいるからちょっと待ってて」

そう言うと真由美は立ち上がり、病室の外に行くとすぐに戻ってきた真由美だったが知らない女性と一緒だったので摩利は疑問符を浮かべた。

「失礼します、私の名は桜花。CBメンバーであなたの怪我を治した治療スタッフの一人でございます、あなたにはこれを見てほしいのです」

そう言うとタブレットを起動させたが、ここは医療機器とか置いていないから大丈夫な部屋だと言ってから事故が起こる直前のをカメラで撮っていた映像を摩利に見せる桜花。そしてボードが沈み込む直前に足元から不自然な揺らぎを感じたと言っていてその後の事故後の映像となっていた。すると水中から空中に浮かぶ者については真由美も摩利も知らなかった人物。

「事故後に水中から上空に上がった者は、我らの上司です。そして貴女を治療したのも、上空に飛んでいる者でもあります。魔法によるものか、不正干渉かは摩利さんには分からないと思いましたので一真さんが事故前から水中にいました。事故直後に水面の動きは不自然だったと考えられます。七高と九高の選手も使用してないという事だと残りは第三者による魔法か水中にいる何者かの仕業だと一真様が言ってました」

「レース前から水中に潜んでいた何て、それだったら回避できたんじゃないのか?」

「それだと摩利さんたちの魔法を全て無効化しちゃうから、水中に潜んでいたそうよ。摩利さんを治療した後に、大会委員会の中にいる蒼い翼の者からビデオを借りて水面の波動解析をすると言ってました。でも一真様は自然現象以外の力が働いていたともう分かっているそうです」

「選手が使用していた魔法影響も考えてから、それ以外の力が働いていたのかも検証してみると言っていたわ。五十里君も今日の試合が終わったから、手伝うと言ってたけど五十里君が織斑君の部屋に行ったらもう結果は出ていると思う」

「この九校戦は一高の順位問題だけでは済まないと一真様も考えておられます。学校全体に関わる問題となりますので、真由美さんもそろそろ戻った方がよろしいでしょうし私もこの後の事をここの看護師に任せるので」

そう言った真由美と桜花は、病室を出て行った。一人になった摩利は天井を見つめていたが、何者なんだと考えていた。一方摩利が目覚めた時には、俺の部屋に深雪と蒼太と幹比古と美月が集まっていた。あの時の事故についてを詳しく纏めた結果、一つの可能性が出てきたからだ。そしてたら丁度ノックしてきたので深雪に行かせた。 
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