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日向の兎

作者:アルビス
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1部
  19話

数日後、建築グループを狙った再不斬が護衛の忍に返り討ちにあったようだ。
「グループ側の忍はうずまき ナルト、うちは サスケ、春野 サクラ、はたけ カカシ…………これは妙な因果だな」
「だね、確かにナルト君とサスケ君の相手をしてたんだっけ?」
「ああ、それにしても再不斬も不運だな。よりにもよって写輪眼のカカシが相手とはな」
「僕も聞いたことがあります、他国でも有名になるほどの忍でガイ先生のライバルだと!」
ふむ……カカシの身体能力などは一切把握出来ていないが、少なくともガイ先生よりは劣っているだろう。先生の身体能力は才能などではどうにもならない、単純に体術以外を殆ど放棄した上で弛まぬ鍛錬によってのみ得られるものだからな。
となると忍術などなんだろうが、その通り名から察するに……眼の動体視力による観察、及びそれによってコピーした術のレパートリー、その上で対応した術を選ぶ判断能力が強みなのだろうか?
「先生、一つよろしいですか?」
「なんだ?」
「はたけカカシとは忍としてどのような忍なのですか?」
「カカシか?そうだな……忍としてのスタイルはお前の体術関連の技術や能力をそっくりそのまま忍術、幻術方面へ移し替えたようなものだな?」
「私の?」
「ああ、写輪眼がどういう物かは知っているな?あいつが術をコピーするだけでなく、今までの覚えてきた膨大な術の印のパターンから相手の術を途中までコピーした段階で全容を把握し、相手より一歩早く印を結ぶ事ができる」
……なるほど、術の撃ち合いになれば勝ち目は無いということか。その為に彼は印を結ぶ速度に力を注いだのだろう。
ただ単に写輪眼を持っているだけであれば相手の印を確認してから結ぶ事となりどう足掻いても一歩遅れるが、それを単純に印を結ぶ速度を上げることで縮める。
そして、相手の手の内を悉く相殺し、相手にこれ以上術を覚えられる訳にはいかないと思わせる事で短期決戦に追い込み。その上で大技を放つ印を今までの相手の術のパターン、今までの膨大な印のパターンから先読みし、相手より素早く印を結び相手の術で相手を潰す。
……術の知識を吸えるだけ吸って、確実に相手を仕留めるいい手段だ。
「ですが、何故うちはではない者が写輪眼をそこまで扱えるのですか?」
「いや、カカシは余程の事がない限り写輪眼は使わない。あいつの眼は戦友から移植した物らしいが、チャクラの負担が異常に大きいようで同格かそれ以上の相手にしか使うことがない……いや、できない」
「つまり、リーや先生の八門遁甲のようなリスクの大きな切り札という事ですか?」
「ああ、そうだ」
……となると、再不斬程の忍を護衛対象を守りながら撃退したとなると、恐らく今回の戦いで眼を使ったのだろう。
結果、再不斬と術の撃ち合いをしつつの写輪眼、チャクラを根こそぎ使ったのだろうな。
ならば完全回復には数日は要するだろうし、再不斬もまた傷を癒すのに同じような時間が必要か。
その間は私達も主だった活動は無い。となれば、今やるべきは鍛錬以外無いな。
「先生、私達に何か新しい術か技術をご教授願えないでしょうか?」
「……ああ、そうか。いいだろう、リー達も構わないか?」
どうやら先生も理解したようだ、次の戦いではカカシ班、再不斬のどちらかが死ぬ。それはどちらも私達にとって好ましくない。
カカシ班は私情と里の戦力的に失う訳にはいかず、再不斬はガトーの生殺与奪を握る為にも生きていてもわねばならない。となれば、私達はその二つの戦力が潰れる寸前で戦いを中断させる必要がある。
その為には弱っている所を不意打ちするとはいえはカカシ、再不斬を瞬時に制するだけの力が必要となるのだ。カカシだけならば手の内を知っている先生一人で十分だが、そこに再不斬が絡んでくるとすれば弱っている再不斬を抑えるのは私達四人の仕事だ。
結果としての四人で上忍を刹那の間でも圧倒できるようにならなければならないので、私達は可能な限り戦力を増強しなければならない。
「お前達は下忍としての身体能力は十分過ぎるほどだが、その上の動きをするために必要な技術がある」
「なんですか?」
「チャクラによる一時的な身体能力の強化だ」
「あの、僕は忍術が……」
「心配するな、リー。これに関しては忍術の素養はそれ程関係がない、いや、寧ろお前こそが学ぶべき技術だ」
「僕が、ですか?」
「ああ、やること自体は八門遁甲による肉体活性に近しいものだが体内門を開くことはなく、通常のチャクラを使用する箇所に集中させるだけだ。例えば高速で動く場合は両足に、攻撃時は拳に、防御時には防御箇所にチャクラを纏わせて機能を上げるなどだな」
「それって私もやるんですか?」
「当然だ。テンテン、お前は忍具を扱うから身体能力はそれ程必要ではないという訳ではないぞ?それにこれは一人前の忍にとって基礎技術に当たるものだからな」
「ですよね……はぁ、こういうの苦手なんだけどな」
「私達も学ぶべき技術だぞ、ネジ?」
「分かっています。チャクラをコントロールすることは柔拳に置いて重要な要素ですし、威力を調整するにあたって重要な技術ですからね」
「分かっているなら結構、では私の練習相手は君だ」
「えっ!?」
「ネジ、頑張ってくださいね!!」
「ご愁傷さま……これの修行が終わった時生きて会えるのを祈っておくから」
「おい、リー、テンテン、全部俺に押し付けるつもりか!?」



修行はまず足のチャクラで木に足を吸着させて、足のみでの木登りから始まった。私とネジは柔拳で、リーは八門遁甲の修行で、テンテンは時空間忍術の修行で、この程度のチャクラコントロールは問題なくこなせるようになっている。
……が、次の水面歩行は私のみ失敗という結果になった。私は水の動きを把握して、それに合わせた形でチャクラをコントロールしようとするのだがどうやっても処理が追いつかない。
結果として動きさえしなければ波紋一つ立てずに水面に立つことが出来るのだが、一歩でも動けばそのまま沈んでしまう。
テンテン曰く、「役に立ちそうだけど全く役に立たない技術ね」
ネジ曰く、「ある意味で平常運転で安心しました」
リー曰く、「こんな事もありますよ!」
……君達、助言くらいくれてもいいんじゃないか?
習得できない事はないだろうが、中々に時間が掛かる事が目に見えているので、一時的な妥協の案として私の足元の水を弁財天の舞で動かして移動するという事になった。
一応、この水面歩行に関してはチャクラコントロールの問題ではなく私の性分故という事もあり、取り敢えず次の修行に移ることとなった。
身体の一部にチャクラを流す肉体の活性化の修行だが、テンテンの場合は忍具にチャクラを流すことで切れ味や投擲後の微調整を可能とする事が目的となっているので別の場所でやることになる。
次に柔拳を扱うので打撃の威力上昇ではなく機動力を上げる為に私とネジは主に脚部の強化を主に、リーは逆に脚部に関しては重りの鍛錬で十分な威力と速度を持っているので両腕の打撃力向上を主にする事となった。
「さて、それでは速さ比べとなれば鬼事が最適だろう。十数えてやる、ネジは私に捕まらないよう全力を尽くせ」
「……ヒジリ様が鬼ですか。リー、万が一の時は頼むぞ」
「骨は拾いますよ、ネジ」
「早くしろ。十、九、八、七……」
ネジは両脚にチャクラを込めて全力で駆け出した。五つを数える頃には通常の目では捉えられない程の距離まで行ったようだな。
そして、十を数え終えると私は靴を脱ぎ、リーに持っておいてもらう事にした。
「靴を脱ぐんですか?あの、僕は危ないと思うのですけど……」
「いや、一回おきに靴を壊す訳にはいかんだろう?」
「え?」
日向には八卦空掌という技がある。それはチャクラを掌から高速で撃ち出し空気諸共に相手にぶつける技で、拳法でありながら遠距離攻撃という変わり種だ。
何故この話をするかと言えば、今から私はそれを足でやるからだ。加えて回天の応用で、空気抵抗を減らすために正面にチャクラを膜状に放出する。
するとどうなるか…………全く曲がれない代わりに一足でネジに追い付けるのだ。
「えっ!?ひ、ヒジリ様、えぶしっ!?」
「すまん、止まれなかったので君をブレーキ代わりに君の体を…………ああ、もう聞こえてないか」
…………止まれないというのは色々と致命的だな。取り敢えず、気絶したネジを起こしてから試行錯誤せねばな。
 
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