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インフィニット・ストラトス ―蒼炎の大鴉―

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新たなコアと親友と

夏休みに入り、俺はリハビリをしながら日々を過ごしていた。

午前中は勉強、午後はISの稼働が日課になりつつある。

ただ、俺も高1だ。やっぱり遊んだりはしている。

土曜日は簪とデートに行ったりするし、他に空いている日に普通の高校に通っている友人と遊びに出たりもしている。

坂上兼次もその1人だ。

兼次は小学校の時からの親友であり、最も仲がいい。父さんとも馬が合うらしく、たまに会社に来ては父さんと色々話していたりもしていた。勉強はかなり出来る方で、運動神経は俺より上だ。

今は某進学校に通っている。学年では2番らしい。


そして、夏休み中に我らがレイヴン社は2個目のコアの作成に成功した。

それも俺のものと同じ男にも扱えるものだった。

この時、テストパイロットを誰が務めるのかという議論があったのだが、俺や父さん、一部の技術者の推薦や本人の希望もあり、兼次がテストパイロットに就任した。

そしてそのコアにはレイヴン社の最新鋭機[ν]が組み込まれた。

ビームライフル、バズーカ、腕部固定式の実体シールドに6基のフィンファンネル、専用ビームサーベルといった充実した装備、大推力のスラスターによる高機動、強固な装甲を併せ持つ優秀な機体だ。

さらにこの機体にはヘビーウェポンシステムと呼ばれる追加装備があり、使用時には全ての性能が強化される。ただし、使用時にはパイロットの負担が増える。

そしてこの機体の最大の特長はフィンファンネルの制御能力を大幅に強化する[サイコフレーム]の搭載だ。

その機体を兼次は使いこなしていた。

HWS起動時の戦闘では、ナイトロを発動した俺のデルタカイと互角に渡り合うほどだ。

機体性能の高さもあるのだろうが、それ以上に兼次の戦闘センスがかなり優秀だったのだ。

今日も俺と兼次はデータ取りのために模擬戦(といってもかなり実戦に近いが)をしていた。

兼次は6基のフィンファンネルを巧みに操りながらも、動き回りながらビームライフルを当ててくる。

俺も最高速度で飛び回り、銃撃を浴びせていく。

一進一退の攻防、どちらが負けてもおかしくない。

そして、俺のビームライフルが最後に当たり、決着がつく。そのときのデルタカイのシールドエネルギーはたったの10。逆に一発食らってたら負けていた。

「流石は和也だな。性能で劣る機体で俺に勝つなんてさ」

「機動性だけはこっちが上だがな。それにしても、お前も強いな。まだその機体に乗って10日でここまでやる…。普通はできることじゃない」

「なんかさ、この機体と波長が合うんだよ。凄い一体感を感じるんだ」

「それはよかったな。そういえばさ、お前もIS学園にくるのか?」

「その予定だ。ISを動かす上で、あそこ以上の場所はないからな。それに最近、ファントムタスクの動きが活発化しているらしい。イギリスの新型が強奪されたって話もある。もしかしたら、お前や例の弟を狙って学園に襲撃してくるかもしれない。そういう時に、戦力は多い方がいいだろ?」

「イギリスの新型というと、サイレント・ゼフィルスか?」

「ああ。犯人は強奪したゼフィルスで駆けつけた部隊をあっという間に戦闘不能にしたとのことだ」

「初めて乗った機体でそれほどやるとは、かなりの手練れだな…」

「そうだな。だから俺がお前の護衛も兼ねて転入することにした」

「そうか。すまんな」

「いいさ。俺とお前の仲だろ。それに俺も彼女欲しいし」

「全く、変わらんな。お互いさ」

「まぁな」


俺と兼次はこの夏休みで、確実な実力を付けた。もはや、俺や兼次を倒せるのは織斑千冬や第二回モンド・グロッソ優勝者の彼女くらいだろうと言えるほどに。さらに兼次はνをセカンドシフトさせ[Hi-ν]へと昇華させていた。

機体の状態も万全。パーツ単位でオーバーホールをして、新品も同然の状態となった。


そして夏休みも残り数日となった。一部の学生は溜まりに溜まった夏休みの課題(笑)に頭をかかえているころだろうか。ちなみに俺と兼次、簪は8月上旬には全て終わらせた。本来的は7月中に終わらせる予定だったが、意識が戻ったのは7月末。解けても書き込むのは物理的に不可能な量だった。

夏休み最後の土曜日になる。今日は花火大会があったので、夏休みの最後の思い出作りに簪と一緒に行くことにした。


午前中に勉強を済ませ、昼食をとる。

待ち合わせの時間は14:00。まだ余裕はあった。

財布に10000ほど入れて、ズボンのポケットに突っ込んで家を出た。

待ち合わせ場所の公園に着いたときの時刻は13:35。少し早かったか。

ベンチに座って待っていると、浴衣姿の簪が来る。凄い似合っている。時刻は13:50

「…待たせた…?」

「いや、さして待ってない。つい3分前に来たところだ」

嘘だが、こう言った方が簪も気を遣わなくてすむ。

「それじゃあ行こうか」

「…あっ…」

簪の手を握り、花火大会のある川沿いに向かう。

ここから大体200mと近いところにある。

花火大会はまだだというのに既に多数の屋台が出ている。

まいどお馴染みの射的がある。3発200円か。

「おもしろそうだな。やってみるか」

「…うん…」

「おっちゃん、2人分お願いします」

「おう、兄ちゃん。その子は彼女かい?」

「そうですよ。羨ましいですか?」

「羨ましくないと言えば嘘になるが、俺もこれで嫁さんいるからなあ」

「ハハハ。ではこれで」

財布から400円を出し、おっちゃんに渡す。

「2挺使うかい?」

「はい」

おっちゃんはコルクの弾6発と鉄砲2挺を渡してくれた。

「これが簪の分な」

鉄砲1挺とコルク弾3発を簪に渡した。

そして俺は鉄砲に弾を装填し、あるものに狙いを定める。

「まさか、こんなところでガンメタライールを見つけるとはな。落とさせてもらうぞ」

コトブキヤ製のアーマードコアVIシリーズの限定品の1つであるガンメタライールを見つけた。結構希少なもので、俺は持ってない。

箱の上端に1発当てる。多少動くも、落ちなかった。

もう1発

1発目と同じ場所に当てると、今度は落ちた。

「っしゃあぁぁ」

一方で簪はでかいぬいぐるみを狙っていたが、なかなか落ちない。

「簪、手伝ってやる。合わせろ」

「…うん…」

簪がぬいぐるみの頭に当てる。ぬいぐるみはぐらつく。そこに俺が最後の1発を当てた。

ぬいぐるみはバランスを崩し、落ちた。

「兄ちゃんら、なかなかやるな。これじゃあ大赤字だよ」

おっちゃんはプラモとぬいぐるみをそれぞれ袋に入れて渡してくれる。

「俺に撃たせたのが運の尽きですよ」

それを受け取り、射的屋をあとにした。

それからたこ焼きを食べたり、金魚すくいをしたりと楽しんでいるうちに時間が過ぎて行き、花火の打上の時間になった。

川原に適当に腰掛け、花火を眺める。

そういえば花火って炎色反応を利用しているんだよな。

「なあ簪」

「…何…?」

「夏休みの間、あんまり付き合ってやれなくてごめんな」

「…毎週デートに連れていってくれただけで十分…」

「そうか…」

俺は簪をそっと抱き寄せる。

「しばらく、こうしてていいか?」

「…うん…好きにして…」

その日は最後の花火までずっとこうしていた。

夏休みの忘れられない思い出が1つ出来た。 
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