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遊戯王GX 〜プロデュエリストの歩き方〜

作者:ざびー
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エピソード23 〜兄の呪縛〜

 
前書き
最近、この二次創作を書いてて思ったこと。サイバー流とのデュエル多くね⁉︎二十三話までに約十五回、デュエルしたのですが、そのうち六回って……。いい加減にしろよな、サイバー流!!

今回はデュエルパートはございません。それでもよろしいという方はどうぞo(_ _)o ペコッ♪






 

 
何やら外が騒がしので、出て行ってみたらブルー寮の門の前で水浸しになって叫んでいる人が居た。

もしかしなくても、十代だよなぁ……。

「お!紫苑じゃん!なぁ、聞いてくれよー」

予想は見事的中し、つい昨日会い、デュエルをした遊城 十代だった。

「その前に状況説明しろよ。なんでお前が水浸しになって騒い出るんだよ。お前じゃなかったら警察呼んでいたぞ」

十代が水浸しになるまでの経緯を聞き、呆れる紫苑。

長いので要約すると……

昨日のデュエルで翔がパワーボンドを使わなかったのは、あいつの兄である丸藤 亮と何かあったと十代がない脳を使って推測する。

だが、彼の事を全く知らない十代は「人を知るにはまずデュエルだ!」とデュエル脳全開の発想をし、丸藤 亮にデュエルを申し込むべく、決闘志願書を書く

だが、クロノス教諭に見つかり「カルボナーラチーズ⁉︎ドロップアウトボーイが丸藤 亮とデュエルなんて1000年早いノーね!」と言われ、書類を破られる

こうなったら、強行突破だ!

ブルー生徒に門前払いをくらい、ついでに水を浴びせられる

腹が立ったので文句を言っていた←※今ここ


「ちょっと待てよ⁉︎ところどころ、酷くねぇ⁉︎」

「事実だろ。それに強行突破してみろ、不法進入で一生デュエルできなくなるぞ。もうちょい考えろよ」

「酷え!………あ、そうだ紫苑。お前がカイザーに頼んでくれよ」

「ヤダ。帰れ」

デュエルの仲介とかめんどい。それにただでさえ、校長に睨まれているのだから、サイバー流と事を起こしたくない

「もう用はなさそうだな。じゃあ、帰るわ」

俺もやることあるんだよ!!昨日のデュエル分析やっててやりたい事できなかったしな

「え?お、おい!……。本当に帰ってったよ」

十代の呼びかけを無視し、さっさと自分の寮へと戻って行く紫苑。十代は紫苑が居なくなった事により諦めたのか、とぼとぼとレッド寮へと帰っていく。


ーーー数時間後

ぷるぷるぷる♪と紫苑のPDAに着信が入る。十代からだ

また、あいつか……。居留守を使ってもめげずにかけてきそうだな。

「……またお前かよ。いい加減、諦めろ」

〔いきなりそれは酷くねぇ⁉︎って、違う違う!今はそれどころじゃないんだ!〕

何が違うんだが……。電話越しだが十代の息切れが聴こえてくるのでデュエルの仲介ではなさそうだ。

〔翔が!翔が!〕

「とりあえず、落ち着け。翔がどうしたんだよ。」

〔翔が居なくなっちまったんだよ!!!〕

この世の終わりだ!みたいに電話越しで叫ぶ十代。煩くて、耳が痛いのでやめて頂きたい

「あっそう。だから、どうした?」

〔その反応はあんまりだろ⁉︎〕

十代はともかく翔とは十代を通して知ったくらいだから大して親しいわけではない。だから、あいつが失踪したところでなんとも思わない。むしろ、嫌いな部類に入るので消えてもらってけっこう。

〔一緒に探してくれ!〕

「ヤダ。めんどい」

コンマ一秒で拒否る紫苑。十代はその速さに驚いているのが電話越しから伝わってくる

〔なぁ、いいじゃん。こういうのは人手が多い方がいいのに〕

「頑張れ。お前1人でもできる」

〔いいじゃんかよ〜!紫苑のケチ〕

「おまえ、諦める気ないだろ。」

〔バレタカ。〕

昔のRPGよろしく無限ループに陥るのが目に見えているので諦めて"はい"を選択する紫苑

くそ、こんど面倒事に巻き込んだら邪神使ってでもあいつを動けなくしてやる!

ものすごく物騒な事を考えている紫苑。とりあえず、念のためにデッキだけでも持っていこうと思い、取りに行く

あ、そうだ。ついでにアレも持ってくか。

そう思うと二つデッキケースを腰にぶら下げ部屋を出て行く

「え⁉︎紫苑、どこ行くの?晩御飯は〜?」

あ、忘れてた……。





十代との合流地点であるレッド寮前まで来ると日は水平線に沈もうとしているのに二つの人影があった。

一人は十代で確定だな。もう一人は……まえ、まえ……。

思い出した!と手のひらをポンと打つ

「そうだ!前田 デスコアラ!」

「違うんだな!前田 隼なんだな!」

コアラは意外と気にしていたようで声を荒げて、訂正される

「え?デスコアラじゃないの?」

ここぞとばかりに可愛らしく首をコテンと傾げる。ポゥと頬が赤くなるのがまるわかりの隼。だが、首を縦に振りかけていたが急に首をブンブンと横に振り、正気に戻る

「お色気には、だ、騙されないんだな!僕は前田 隼なんだな!」

隼という名前にこだわりがあるのか、ただ単にコアラが嫌なのか必死になって訂正する

やばい、この人面白い!

「紫苑、ここに来た趣旨が変わってるぞ。それに隼も見た目コアラなんだから諦めろよな〜」

「十代、お前もか⁉︎なんだな!」

ジュリアス・シーザーのあの台詞を用いてくる隼

「さて、茶番はここまでにしてさっさと探すぞ」

「あんたが元凶なんだな!」

ん?なのことかな?


そして、流れに身を任せ、翔探しになったのだが結果的に言うと翔は割とすぐに見つかった。十代の相棒の羽クリボーが現れ場所を教えてくれたのだ。隼は一般人には感じる事すらできないはずの精霊の声が聞こえたようで何度も首を傾げていた。

やっぱ、デスコアラみたいだからか?

そんなことを考えているうちに翔が簡素なイカダに乗り、島を出ようとする。十代が止めようとイカダに飛び乗るが、呆気なくイカダは分裂し二人とも海へ落ち、溺れる。

「おい、ここめちゃくちゃ浅いぞ……。」

腕を海に入れ、深さを確かめるとちょうど肘あたりまでしかない。アホだろ……。

十代が何故逃げだそうとしたのか問い詰めると翔は急に泣き言を言い始める。

「うぅ……僕には兄貴のパートナーなんて務まらないっす。別の人と組んで欲しいっす」

「つべこべ言うんじゃねぇ!俺は決めたんだよ!パートナーはお前だ!」

……。何だろう、青春ドラマを見ているようだ。そして、翔の情けなさに嫌気がさしてくる。一体何があいつの自信を無くさせるのか

「不甲斐ないな、翔」

そして、青春ドラマに新たな俳優が……。

いつの間にか、丸藤 亮と明日香が後ろに立っていた

「に、兄さん⁉︎どうしてここに……」

「カイザー亮……あいつが翔の兄貴か」

月一試験の時に見ただろ……。なんて言えない

「逃げ出すのか?だが、それもいいだろう」

「うぅ…………」

翔は兄のその言葉に何も言い返せず、イカダを再び組み、出て行こうとする。

「そこは、船を待てよ。本土までどれだけ距離あると思ってんの?」

「あぁ⁉︎もう!雰囲気が台無しっすよ!せっかくシリアスを保ったまま行こうとしていたのにぃ!逆に帰り辛いじゃないっすか!」

正論を述べたら、逆ギレされた。これだから、最近の若いのは……

プンプンと怒りながら、その場を立ち去ろうとする

「おい、止めないのか?本当に行っちまうぞ!」

「仕方ないだろ。」
まだ青春ドラマが続いてるよ。いい加減にしろよな。

翔の不甲斐なさ、亮の薄情さ、十代の熱血漢に嫌気がさす紫苑

「ほんっとうに最低だな」

「「なっ⁉︎」」

紫苑の一言がその場の空気を凍てつかせる

「あ、あなた。この学園最強の男に何言ってるのよ!」

明日香が激しく反論してくる

「最強ね……。確か、俺はその最強に勝ったはずだが?」

「た、確かに紫苑は強いけど、アレはたまたま手札がよかっただけじゃない」

へぇ、そんなこと言うんだ。違うと思っていたけど、実は明日香も肩書きとかだけで人を判断する輩なのか?

明日香を、そして、亮を見る目つきが鋭くなる

「まぁ、確かに先輩に対して、さっきの言葉使いは失礼でした、謝ります」

「あぁ、別に構わない」

「そ、そう……紫苑もわかった「だが、それと今は別だ」えぇ⁉︎ど、どういうことよ!」

言い終わる前に遮り、明日香の怒りのボルテージを上昇させる

「俺が言いたい事に関して、強者、先輩云々は関係ない。あんた、それでも兄か?別に兄弟の関係に口出しするつもりはないが、あんたの言動は幾らなんでも冷た過ぎやしないか?」

「な、何⁉︎」

「翔の悩みに気づかずに何もしないでそれでも本当に兄か?少しくらいは手を貸してやったり、励ましたりとかしてもいいんじゃないか?まぁ、その様子じゃあ翔が何に悩んでいるかすらわからないだろうな。義兄である十代のがよっぽど翔の事を理解してるぞ」

一気にまくし立て周りを唖然とさせる。そんな中で真っ先に口を開いたのが……

「兄さんをバカにするなぁ!紫苑さんに僕の何がわかる!兄さんの何がわかる!」

「まだ居たのか……」

紫苑の言葉に激昂し、いつもは大人しい翔が珍しく声を荒げる

お前はそこまで兄に固執するのか……

諦めた様子でハァと大きくため息を吐く

「翔、お前がそこまで兄にこだわる理由は丸藤 亮という人物がお前にとって、最も尊敬し、何よりも強い……強者の象徴なんだろ?だから、その象徴を穢されたくないから怒るんだろ?」

「くっ…………違う!僕は兄さんを尊敬していて!ッハ⁉︎」

言っている途中で何かに気づく。おそらく、途中で結論が俺の言った事に辿りついたのだろう。

「違わない、だろ?だから、兄の言うことにはなんでも従い、兄の言葉が呪縛となり、自分を結果的に苦しめる。昨日のデュエルがいい例だろ。パワー・ボンドを使うかどうかで悩んだりして


滑稽を通り越して、呆れるよ。」

その言葉がトドメとなり翔は沈黙してしまう。

さて、これからどうしようか。この殺伐とした雰囲気を乗り切るのは中々骨が折れるぞ。

やっぱり、面倒事に巻き込まれたかとため息を吐く。そして、翔を一瞥し、自分の考えを纏める。

翔は内気で自信のない性格が災いし、何事もうまくいかない。そして、兄は全てにおいて完璧でカイザーと呼ばれるほどの実力者。二人の実力の差が開くにつれて、亮の弟である事が重荷になる。そして、そこから救われる為に生まれたのが兄への異常なまでの尊敬と執着。
確かに兄が凄ければ、それを自慢すればすごいと評され、一時的な優越感に浸れる。だが、結局すごいのは自分ではなく兄。その事は変わらない事実であり、自分の不甲斐なさをより際立たせるのとになり、自信を無くし、何事もうまくいかなくなる。まさに負のスパイラルである。
そんな連鎖の中から抜け出すにはやはり兄への執着を断ち切り、自身の力で何かを成し遂げなければならない。

俺が翔に何を言ったとしても伝わらないだろうな。できる事と言えば…………

「丸藤先輩、デュエルしてください
























………………翔と」


「「「ええええ⁉︎」」」

「ぼ、僕っすか⁉︎」

十代、明日香、隼は驚きのあまり声を上げ、翔は激しく困惑し、亮は予想外だったようで大きく目を見開いている。

「いいだろう、翔。かかってこい。そして、俺にお前の悩みをぶつけてみろ」

案外、あっさりと承諾してくれた。それでも、兄とデュエルすることに未だ戸惑っている弟。

「ぼ、僕なんかがやっても勝てっこないっす!」

「勝敗はお前が決めることじゃない。それじゃあ、いつまで経っても同じままだぞ。それにさ、誰がそのまま戦わせるなんて言った?ほら、デッキ貸せ」

翔から強引にデッキを渡してもらうと手持ちのカードと入れ替えていく。

一応翔のデュエルを観ておいてよかったと思う紫苑だった。

「これでだいたいの弱点は補強した。後は全力でぶつかってこい。」

お前ならできるさと言って、ぽんと背中を叩き送り出す。

このデュエルで自信をつけてくれればと一抹の望みをこのデュエルにかける紫苑
 
 

 
後書き
翔君は序盤、陰気でネガティブで嫌な奴ですが、遊戯王GXの中で最も伸び代のあるキャラクターなんですね。実際に、レッド→イエロー→ブルーと順当に昇級できたわけですし。

さて、次回は兄VS弟!!どちらが勝つのか!十代と亮のデュエル?知りませんねw

では、次回もよろしくお願いします!o(_ _)o ペコッ♪ 
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