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ギターにキッス

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第二章

「あいつ等が」
「ゴールド=サックスか」
「ああ、連中は何もして来ないかい?」
「言われてみればな」 
 どうかとだ、ジャックは腕を組み真剣な顔になってそのメンバーに答えた。
「それはな」
「連中なら普通にやって来るだろ」
「あの連中ならな」
 それならと言うジャックだった。
「有り得るな」
「リーダーもそう思うな」
「そうだな、それじゃあな」
「俺達がライブ会場の周り固めようか?」
 メンバーはこう彼に言った。
「そうしないか?」
「いや、俺達はな」
 だが、だった。ここでだった。
 ジャックは確かな声でだ、そのメンバーに返した。
「喧嘩をするのは向こうが仕掛けた時だけでな」
「バイクに乗ってる時だけだったな」
「ああ、喧嘩をする時はな」
 ついでに言えば銃も使わない、これも彼等のルールだ。
「ヘルス=エンジェルスの時だけだろ」
「じゃあ若しライブ会場に来たらどうするんだよ」
 そのならず者達がというのだ。
「大変なことになるぜ」
「それはわかってるけれどな」
「まさかライブ滅茶苦茶にされたいのか?」
「馬鹿言うな、そんな筈あるか」
 ジャックはメンバーの言葉にすぐに返した。
「ライブを失敗させたいバンドマンがいるか
「そうだよな、絶対に成功させたいよな」
「ああ、だからだよ」
 それでだというのだ。
「成功はさせるよ」
「連中が来てもか」
「手段はあるさ」
 例えだ、連中が来てもだというのだ。ジャックはここでも確かな顔だ。
「それを見ていてくれるか」
「本当に任せていいのか?」
「ああ、おかしなことはさせないからな」
「まあ連中が喧嘩売って来たらな、バイクに乗ってる時はな」
 その時はというのだ。
「遠慮なくやろうぜ」
「その時はだな」
「ああ、ヘルス=エンジェルスとしてな」
 喧嘩をしようというのだ。
「じゃあいいな」
「わかったぜ、その時はな」
「俺達もやるからな」
「リーダー、喧嘩を楽しもうぜ」
「その時は」
「ライブの時はライブをやるさ」
 ジャックはこうも言った。
「仕事もな」
「リーダーのガソリンスタンドも盛況だしな」
「商売繁盛してるからな」
「そっちも真面目にやってるよな」
「会計も」
「当たり前だろ、働くことはいいことだろうが」
 アメリカではこうした者達は三十になっても四十になってもしている、日本の暴走族の様に高校を卒業して終わりではないのだ。一生のものなのだ。
「働いて食う金とバイク、ガソリンの金を稼いでな」
「そして走る」
「それも俺達のポリシーだったな」
「そうだ、だから働くこともな」
 そっちもだというのだ。
「真剣にやるからな」
「ヘルス=エンジェルスと同じく」
「そっちもか」
「そういうことだよ」
 こう話してだ、そしてだった。 
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