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オズのムシノスケ

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第一幕その二

「楽ですね」
「そうでしょ、飲むだけだからね」
「お薬を飲むだけで何でも頭に入るのなら」
 カルロスは腕を組んで言うのでした。
「最高ですね」
「カルロス勉強好きじゃないからね」
「あまりね」
 神宝とジョージが笑って彼に言います。
「だから余計にだよね」
「そうしたお薬があると有り難いよね」
「こっちの世界でもないから」
 かなり切実に言うカルロスでした。
「そうしたものがあればね、僕も」
「勉強せずに済む」
「そういうことだね」
「特に算数がね」
 この科目がというのです。
「すぐに済むからね」
「あはは、算数だね」
「カルロスはそれが一番嫌いなんだ」
「嫌いも嫌いね」
 何よりも、という口調のカルロスでした。
「本当にね」
「好きじゃないんだ」
「そこまで」
「僕達も飲んだら勉強になるのかな」
 そのベンキョー錠をです。
「どうなのかな」
「なるんじゃないの?実際に」
「そうじゃないの?」
 二人は笑いながらカルロスに言います。
「そこも」
「ちゃんとね」
「ううん、どうかしらね」
 ドロシーは三人のお話を聞いてそれで言って来ました。
「それはムシノスケ教授に聞いてみて」
「ああ、あの人に」
「お聞きすればいいんですね」
「うん、そうすればね」
 それでだというのです。
「いいわよ」
「じゃあお聞きしてみます」
 実際にとです、カルロスはドロシーのお話を聞いて言いました。
 そのうえで、です。ドロシーにそのムシノスケのことをあらためて聞きました。
「あの、それでなんですけれど」
「ムシノスケさんのことね」
「あの人今は何処におられるんですか?」
「王立大学よ」
 そこにいるというのです、教授は。
「今はそこにいるわ」
「エメラルドの都じゃないんですね」
「そう、今はね」
 エメラルドの都にいる時もありますが今は、というのです。
「あちらにおられるわ」
「そうですか」
「あそこですか」
「そう、だからね」
「ベンキョー錠のことを聞くのなら」
「王立大学に行きましょう」
 そこにだというのです。
「是非ね」
「あれっ、ドロシーさん今」 
 恵梨香はドロシーの今の言葉を聞いてふと気付いて言いました。
「行きましょうって仰いましたけれど」
「ええ、そうよ」
 ドロシーもにこりとしてそうだと答えます。
「そう言ったわよ」
「じゃあ今回も」
「貴方達が行くのならね」
 その時はというのです。
「私も行きたいわ」
「それが旅行になるからですね」
「そう、私はやっぱりね」
「宮殿にいるよりもですね」
「旅行が好きだから」
 生粋の旅人だからです、ドロシーは。 
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