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鎧虫戦記-バグレイダース-

作者:
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第8話 チリも積もればゴミとなる

 
前書き
どうも蛹です。
今回で二人のどちらが"鎧人"か分かります!
皆さんはどちらだと思いますか?
‥‥‥え?そんなことよりも早く読みたい? そうですか‥‥。
それでは第8話 始まります!! 
 

 
「このまま俺の出るシーンは一生ないのかと思ったぜ‥‥‥」

隊長は医療室のイスに腰を掛けながら言った。

「すいません、本気で忘れてました‥‥」

アーロンは隊長に深く詫びを入れた。そして5人に紹介をした。

「彼が私たちの隊の隊長、リディ二ークさんです」
「よろしく」

ここでついに隊長の名前が発覚した。

「みんなは俺のことをリディと呼んでるよ」
「いえ、リオさんと呼んでいます」
「何でッ!?」

彼は隊長のはずなのだが、発言力が意外と低い。
前髪で右目が隠れていてかっこいいんだけれど、みんなからよくいじめられている。
なんか いろいろかわいそうな隊長である。

「リディ二ークはここの言葉で“氷河”を意味しています。
 前の氷という意味のリオートから取って、みんなは親しみを込めて
 リオさん と呼んでいます」
「いつも呼んでたのってそういう意味だったの!?」

ここでリオさんの衝撃の事実が判明した。
その時、迅がリオさんの近くに歩いて行った。

「久しぶりだな!リオ!」
「おぉ!迅!てか俺はリオじゃなくてリディだって毎回言ってんだろ!」

  ガシッ!

2人は強く握手をした。

「相変わらず変わんねえなぁ」
「そっちこそ」

感動の再会(?)の途中で申し訳ないが、4人にはこの状況が理解できなかった。
アーロンはこれについての解説をした。

「リオさんは迅さんが旅の途中に出会った友人なんです
そして‥‥‥皆さんもご存知の"鎧人"です」
「!!!」 

4人はそれを聞いて驚いた。クレアとハロルドも知らなかったようだ。

「うそーーー!私とおんなじ!?」

マリーの一言にリオさんは反応した。

「まさか君も? 驚いたな‥‥‥迅、こんな可愛い女の子にまで
 戦わせるなんて少しひどいんじゃないか?」
「かわいいなんて‥‥そーかなぁー えへへへ」

少し照れているマリーを無視して迅は言った。

「彼女は戦えるタイプじゃないから逆にすべきだと思ったのさ。
 じゃないと、襲われた時に大変だからね」
「自分の身は自分で守れってか。厳しいね~ッ」
「それもあるけど彼女も守られてばかりじゃ嫌だろうから
 戦う能力を彼女に与えたのさ」
「これで私もみんなを守ってあげるからね!」
「おうっ!頼もしいなぁ 頑張れよ!」

そしてリオさんは話したいことがあることを思い出した。

「おぉ、言いたいことがあるのを忘れてた。今回伝えたいことは―――」

  ドゴオォォォォォォン!!

突然、基地内に爆音が響いた。 おそらく奴らが来たのだろう。

「おっ、"侵略虫"か?‥‥‥‥なんていいタイミングだ」

リオさんは少しニヤッとして走り始めた。

「みんなついてこい!これからウチの戦闘法を見せてやる!」

みんなはリオさんの後を追って走り出した。



 ー巨大基地 広場ー
基地の中には多くの町が広がっていた。町をこのまま移したのだろうか。
一軒一軒は小さくても、たくさん集まればこんなに大きい。
まったく、チリも積もればなんとやら‥‥‥ってやつだ。

「うわぁぁぁぁぁーーーー!」
「きゃあぁぁぁぁーーーー!」

 ドゴォォォォン!  ドカァァァァン!

基地内に3体の"鎧虫"がうごめいていた。

「何だ"鎧虫"か‥‥‥。まあいい、行ってこい!アーロン!」
「‥‥‥‥‥えっ、私がですか!?」
「みんなにお前の訓練の成果を見せてやれ!」
『またもうこの人は‥‥‥‥』

渋々"鎧虫"の元へ走って行った。

「"鎧人"のリオさんが行かなくて大丈夫なの?」

マリーはアーロンを心配して訊いた。

「大丈夫。アーロンなら余裕さ」


 
"鎧虫"の前に立ちはだかったアーロンはつぶやいた。 

「‥‥‥まったく、この寒さの中どうやってここまで来たんだか」
 

奴らもどこかに隠れているだろうが今はこいつらに集中することにしよう。
大きさは左から6m、4m、7mとなかなかデカい。

「すぅーーーーーーーーーーふぅーーーーーーーーーーーーーー」

アーロンは大きく深呼吸をした。

「よし‥‥‥‥‥‥‥‥行くぞ」



次の瞬間、アーロンは4m鎧虫の足元に現れた。

  バキャッ!

裏拳でそいつを弾き飛ばした。 4m鎧虫はそのまま奴らが開けた穴へ飛んで行った。
残りの2体も殴り飛ばして、3体は寒いロシアの雪山の中に放り出された。

「さて、掃除の時間だ‥‥‥‥」

手袋を外し、袖をまくりながらアーロンはつぶやいた。




3体を殴り飛ばしたアーロンを見た4人は叫んだ。

「えぇ~~~~~~~~~~~~~~!!?」
「まぁ、そう思うわなぁ 普通」

階段の手すりにほお杖をついたままリオさんは言った。
そして、すぐさま走り出した。

「早くしないと終わっちゃうぞ。外に行こう!」

6人は急いで穴から外に出た。
そこには、ゆっくりと"鎧虫"に歩み寄るアーロンがいた。

「あっ!アーロンさんだ!」

マリーの声にアーロンが振り向いた。
その瞬間、6m鎧虫がアーロンに尖った足を振り下ろした。

「あっ!危な――――――」

 バシッッ!

アーロンはこちらを向いたまま鎧虫の足を片手で掴んだ。
 
「離れていてください」

アーロンはマリーに向かってほほ笑んだ。
アーロンは腕に渾身の力を振り絞り‥‥。

「うおぉぉらあああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

思いっきり投げ飛ばした。
鎧虫はそのまま20mぐらい宙を舞って、落下した。

「ふぅーーーーーーーッ‥‥‥‥マリーさん、大丈夫ですか?」
「あ‥‥‥う‥‥‥うん‥‥‥‥‥」
「それは良かった」

そしてまた、アーロンは"鎧虫"の元へゆっくりと歩み寄って行った。

「ギ‥‥‥ギィィィィィィィィィ!!」

今度は3体同時に襲いかかって来た。しかしアーロンは落ち着いていた。

「そろそろ使うかな‥‥‥」

アーロンの両腕が少し輝き始めた。

「ま‥‥まさか、あれは!?」


 ドォォン!!

アーロンは突っ込んできた"鎧虫"の1体を受け止めた。
後ろの2体は前の1体ごと止めたようだ。


「‥‥‥アーロンは"鎧人"じゃない。」

リオさんの言葉に4人は注目した。

「だが人間でもない」

4人はその言葉を理解できなかった。

「じゃあ一体アーロンさんは何なの?」

マリーはリオさんに質問した。
リオさんは目をつぶり、静かに答えた。

「昔、オレがこの山の中で"種"を見つけたときに
 それをここの科学者たちが研究したのさ。」

リオさんは目をつぶったまま続けた。

「その"種"は寒さの影響によるものか、外の皮(?)の硬さが鋼鉄レベルにまで
 下がっていたんだ(それでも十分硬いけど破壊できないことはない)
 そこで"種"を一時的に分解して中を調べてみた結果 これの
 クローンを作成できることが分かったんだ」

リオさんが話している間もアーロンは戦っている。

 メキッ  ブチブチィーッ

今のは4m鎧虫の片目をえぐり取った音だ。

「できたクローンの実験の被験者がアーロンなのさ」

 ドンッ!  バキバキバキィーッ!

アーロンの放った正拳突きが6m鎧虫の"鎧骨格"を破壊した。

「だが"クローン種"は未完成で、アーロンは中途半端な"鎧人"になってしまったんだ。
 身体能力は"侵略虫"と張り合えるレベルだが、変身できる部位は両腕だけしかない」

 ドンドンドンッ! 

7m鎧虫に三連突きを叩き込んだ。

「アーロンは甲虫の能力なので、腕はとてつもなく硬いが
 身体は普通の人間なのですぐに重傷を負わされてしまうんだ」

 ドガッ!

6m鎧虫が振り回した足がアーロンの横腹に当たった。

「ガハッ!‥‥‥クッ‥‥‥やるな」
『外のこの寒さじゃ動きが鈍ってくる‥‥‥そろそろ限界か‥‥‥?』 

リオさんが走り出そうとしたその時、誰かが先に走り出した。

「なっ‥‥マリー!!」

マリーは吹雪で荒れている中 戦っているアーロンの元へ駆け寄った。

「マリーさん!来ちゃいけない!」

アーロンはマリーに向かって叫んだ。

 ブンッ!

7m鎧虫がマリーに足を振り下ろした。
マリーは右手を7m鎧虫の前に突き出した。

「うああぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

マリーの右手だけが光を放ちつつ"鎧人"に変身した。
右手の口器を7m鎧虫に向かって横に振った。

 ヒュン

空気を切る音がした。

 ズバッ

何かの斬れる音がした。

 ズンッッ!
 
7m鎧虫が横から真っ二つになって地面に崩れた。
4m鎧虫と6m鎧虫も何かに斬られて崩れてしまった。

「まさか‥‥‥‥‥アスラ?」

迅はこの様子を見てつぶやいた。
たしかに、彼の"日本刀"なら可能だろう。
しかし、アスラは今治療マシーンに入っているので
来るはずがない。治療を始めてまだ10分程しかたっていないからだ。
ということは‥‥‥‥‥‥‥。

「やっぱり‥‥‥‥私の能力なの?」

マリーは自分の手の平を見ながら言った。 そして気付いた。

「さっ、寒ぅ~~~~~~い!!」

自分は七分袖、半ズボンだということを。

「死んじゃう~~~~~~~~!!」
「大丈夫ですか!‥‥‥‥イテテ‥‥‥‥」

2人を中に連れていくために4人は駆け寄って行った。

『まさか、もう"超技術"まで‥‥‥‥』

リオさんは心の中でつぶやいた。
 
 

 
後書き
正解は2人共でした!
リオさんは"鎧人"、アーロンは"半鎧人《ハーフガイト》"です。
今、付けました。"半鎧人"。いいネーミングでしょ?
そして、次の話で"超技術"について解説します!

次回 第9話 科学と技術っていまいち違いが分かんないよね?  お楽しみに! 
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