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ハイスクールD×D 新訳 更新停止

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第3章
月光校庭のエクスカリバー
  第76話 厄介な奴らだ!

 
前書き
今まで大して特に危なげな苦戦などしていなかった士騎兄妹も苦戦です。 

 
「完成だぁ!」
「ッ!」
バルパーの声を聞き、慌ててそちらを見ると、光が一層激しく輝いていた。
「ハッハハハ!これでついにぃ!」
そして、光の中から現れたのは一本の神々しい剣だった。
あれが四本のエクスカリバーを一本にした聖剣なのか!
そして、聖剣を中心に巨大な魔方陣が拡がり、光が強くなった。
「剣が統合される時に生じる膨大な力を俺が頂く。そう言う取引でな」
「……その力で大地崩壊の術を掛けた…」
「マジか!?マジで俺の町が!?俺達の住む町(ここ)が消えちまうってのかよ!?」
「ハハハ、ここから逃げるがよい。後二十分もしない内にこの町は崩壊する」
「なっ!?」
バルパーが衝撃の事実を口にした。
そんな、後二十分って、サーゼクス様の援軍が間に合わねえじゃねえか!?
「防ぎたかったら、俺を倒すしか無いぞ。どうする?リアス・グレモリー!」
コカビエルが椅子を消し、翼を拡げて臨戦態勢に入った。
「知れた事を!」
部長も全く怯まなかった。
「では第二ラウンドとして追加です」
カリスがそう言って動く死体を大量に展開した。
「そろそろ俺も混ぜてもらうぜ!いい加減欲求不満でしかたねえんだよ!」
今度はベルも参戦しだした。
ナイフを手で弄びながらイヤな笑みを浮かべていた。
「あいつは俺が抑える!」
明日夏が刀を手に駆け出した。
「やりぃ♪俺もお前とやりたかったぜぇ♪腕の借り返させてもらうぜぇ♪」
「ベルさん、なるべく五体満足の状態にしておいてくださいね?良い素体なんですから」
「キヒヒ♪善処しといてやるよぉ♪」
「……明らかにバラバラにする気満々ですね…」
明日夏と斬り合ってるベルにカリスは嘆息していた。
どいつもこいつも余裕綽々だな!
「ハァッ!」
部長が魔力の一撃をコカビエルに放つが、コカビエルは片手で今度は止めてしまう。
「ハッ!」
「フッ」
そこへ朱乃さんが雷で攻撃するが、部長の攻撃同様片手で止めてしまった。
「バカめ!」
そろどころか、二人の攻撃をまとめて部長に打ち返しやがった!?
「部長!?」
朱乃さんが部長の前に出て防御魔方陣を展開した。
ドギャァァァァン!
『キャアァァアァ!?!?』
「部長!?朱乃さん!?」
だが、俺が譲渡していた為に威力がでかかったのか、朱乃さんの防御魔方陣を簡単に破ってしまった!?
「ッ!!朱乃!!」
「……ッ…!?…」
部長はなんとか持ち直したが、朱乃さんが部長を庇った為にダメージがでかかったのか落下しだしていた!?
「朱乃さぁぁぁんっ!!!!」
俺は急いで朱乃さんの下まで駆け出す。
途中で死体共が邪魔しにきたが、千秋が弓で援護してくれた。
「ッ!!」
なんとか朱乃さんを地面に激突する前にキャッチすることができた。
「イッセー君!」
「大丈夫ですか朱乃さん!」
「……ごめんなさいね…せっかくイッセー君が…」
「そんな事はどうだっていいんスよ!」
せっかく俺に力を譲渡してもらったのに無駄にしてしまった事を謝罪しようとしていたが、特に気にしてなかったので朱乃さんの言葉を遮る。
そんな事よりも!
俺はコカビエルに向けて言い放つ。
「テメエよくも朱乃さんを!絶対に許さねえ!」
「イッセー!今は副部長を!」
「ッ!分かった!朱乃さん!」
「え!?」
確かに千秋が弓で撃退してくれてはいるが、以前周りには動く死体共がいた。
明日夏の言う通り、こんなところにケガした朱乃さんを放っぽとく訳にはいかないので、朱乃さんを抱き抱えて(所謂お姫様抱っこ状態)その場から急いで離れ、死体達がいないアーシアのいる所まで運ぶ。
そこに部長も降りてきた。
二人をアーシアに任せて、俺はここに近付いてくる死体達の相手をしに駆け出す。
こいつら、動きはかなり良いけど、ライニーの情報通り、動きが単調なので、俺でもそれなりに戦えてた。
ふと、俺の視界にバルパーに歩み寄る木場の姿が入った。
「……バルパー・ガリレイ…僕は聖剣計画の生き残り…いや、正確には貴方に殺された身だ」
「?」
「悪魔に転生した事でこうして生き永らえた。僕は死ぬ訳にはいかなかったからね…死んでいった同士の仇を討つ為に!」
木場はそう言い、バルパー目掛けて駆け出す。
「危ない!?祐斗!!」
「マズい!!」
「避けろ木場ァァッ!!」
コカビエルが木場目掛けて光の槍を投げつけようとしていやがった!
慌てて俺と小猫ちゃんは駆け出す。
ドゴォォォォォン!
が、間に合わず、木場の周囲を爆発が包み込み、俺と小猫ちゃんは爆風で吹き飛ばされてしまう。
「木場ッ!?」
慌てて木場の方を見ると、ボロボロだが、なんとか生きている木場がいた。
「直撃は避けたか。フッ、すばしっこいネズミだ」
どうやら自慢の俊足で最悪の事態は避けた様だった。
「チッ!」
「余所見してて良いのか♪」
「ッ!」
舌打ちをする明日夏がベルの言葉を聞いて何かを察したのか、慌ててその場から後ろに跳ぶ。
その瞬間、明日夏のいた所から何かが発生し、明日夏の前髪を少し切り裂いた。
あれがライニーの言っていた黒十字具(ブラック・クロス)って奴か!
「キヒ、やっぱライから聞いてたみたいだなぁ♪良い反応だぜぇ♪」
避けらたにも関わらず、ベルは余裕な態度を崩さない。
「フリード」
「ハイなぁボスゥ!」
出やがったなイカれ神父!
「最後の余興だ。四本の力を得たエクスカリバーでこいつらをまとめて始末してみせろ!」
「ヘヘーイ!」
フリードが四本を一つにしたエクスカリバーを手に取る。
「超素敵仕様になったエクスなカリバーちゃん、確かに配慮しましたでございます!さ~て~、誰からやっちゃいましょうかねぇ?」
フリードが俺と小猫ちゃんを見据える。
「ムヒヒヒ!んじゃ、ちょっくらクソ悪魔とクソビッチ信徒でもチョッパーしますかぁ!」
『ッ!』
俺と小猫ちゃんは身構える。
「ッ!ゼノヴィア!」
俺と小猫ちゃんが身構える中、ゼノヴィアが俺達を飛び越してフリードに斬り掛かった。
「ハァ!」
「ざ~んねん♪」
「ッ!?」
だが、ゼノヴィアが斬る掛かる瞬間、フリードの姿が消えた。
「ご存知、チョッパ屋ラピッドリィちゃんっスよぉ♪」
フリードがゼノヴィアの背後に現れた!
「できたてホヤホヤの超スゲェエクスカリバーちゃんは何でもありありぃ♪」
「ッ!」
「あれぇ!?」
「ダァ!」
「ホガァァァッ!?!?」
フリードが斬り掛かるがゼノヴィアは倒立前転の要領で避けてそのままフリードを蹴りつけた。
「カァァァッ!!こんのクソビッチが!よくもよくもよくも俺様の顔を足蹴にしやがったなぁ!ぜってぇテメエをひん剥いて、素肌をズタズタにしてやるぅ!」
怒ったフリードの剣の刀身が伸びやがった!?
あれってまさかイリナのエクスカリバーの力!
ゼノヴィアは伸びてきた刀身を跳んでかわした。
「ミミックだけじゃねえんだよ!イヤッホー♪」
伸びた刀身が枝分かれしてゼノヴィアを襲うが、ゼノヴィアはなんとか自分の剣で防いだ。
「ナイトメア~♪」
って、フリードが増えやがった!?
『夢幻の聖剣(エクスカリバー・ナイトメア)の力っス!ババンバンバンバン♪』
「……幻術か」
「そしてトランスペアレンシー!」
今度は刀身が透明になりやがった!
『ソイヤ!ソイヤソイヤソイヤ!!』
複数のフリードが一斉にゼノヴィアに斬り掛かる。
「ッ!?」
「ゼノヴィアでも手も足もでねえのかよ!?」
ゼノヴィアは完全に防戦一方になっていた。
「イヤッハー!」
「ッ!」
ドガッ!
「ホゲッ!?」
俺達も黙って見ている訳にはいかねえからな、前みたいに小猫ちゃんに投げてもらってそのまま蹴り飛ばしてやったぜ!
「チィ、やりやがったなコンチクショーがぁ!」
「俺達の事を忘れんじゃねえよ!」


「……統合した剣の能力を全て使える様だな…ッ!」
「余所見してて良いのかよ♪」
「チッ!」
進んでこいつの相手を買って出たが、思いの外苦戦を強いられていた。
フリードの方も四本のエクスカリバーの能力でかなりキツそうだ。
……もっとも、こいつも厄介なんだがな。
ライニーの情報が無ければ、おそらく今頃殺られていただろう。
……もっとも、こいつ自身、初めから殺す気で来てる訳じゃないんだがな。
どちらかと言うと、抵抗力を奪う様な戦い方だ。
舐められた物だが、余裕があるのは事実だ。
「ッ!」
ズバッ!
「チッ!」
斬り掛かってきた死人の兵士(デッド・ソルジャー)の首を切り落とし、俺は思わず舌を鳴らす。
俺達が攻めあぐねている原因の一つにこの動く死体、死人の兵士(デッド・ソルジャー)がいた。
一体一体の戦闘力は何回か倍加したイッセーでもそれほど苦戦しない程大したことは無い。
が、いかんせん数が多く、横槍を入れてくるせいでむしろ厄介な存在になっていた。
ましてやフリードやベル、コカビエルと戦いながらとなれば尚更だ。
クソ、せめてこの動く死体達がどうにかなればもう少し攻めに徹せれるんだがな…。
「ッ!?千秋!」
「………」
千秋が死体達の間を走り抜け、カリスの眼前に迫ろうとしていた。
奴を倒せばこの死人達が動くのを止めると判断しての行動だろう。
「ハァァッ!!」
風で速度と威力を上げた回し蹴りがカリス目掛けて繰り出される。
だが、俺達は驚愕に襲われる事になる。
「フフ」
「ッ!?」
「なっ!?」
確実に命中すると思った千秋の蹴りを奴は紙一重で、しかも難なく避けたのだ。
「フッ…!」
ドゴッ!
「かはっ!?」
「千秋!?」
カリスの拳が難なく千秋の腹を捉えた。
「ッ!」
ドガッ!
「ぐっ!」
続けざまの裏拳をなんとか腹の痛みに耐えて防御(ガード)したが、非常にマズい状況だ…。
ドゴォッ!
「うっ!?」
「ッ!?」
クソ、膝蹴りをもろに腹に!
千秋は腹を押さえながら膝を着いてしまう。
「ごほっげほっ…!?」
「敵の眼前でそんなに悠長にしてていいんですか?」
「ッ!?」
千秋は繰り出された回し蹴りをなんとか避け、後ろに跳んで距離を取る。
「ッ!?千秋!!」
「ッ!?」
距離を取った千秋を背後から五人程の死人達が襲い掛かろうとしていた。
「クソ!」
「オイオイ、俺を無視かよ♪」
「ッ!」
「ほいっと♪」
「しまっ…」
千秋に気をとられていた所に地面から発生した斬撃をなんとか回避したが、その後に足を払われて仰向けに倒れ、相手にマウントポジションを取られてしまう。
ガキィィン!
「ぐっ…!」
「キヒヒ♪」
追撃のナイフを雷刃(ライトニングスラッシュ)とマジックキラーで防ぐ。
千秋の方に視線を向ければ、千秋はマジックブレイカーでなんとか対処していた。
「イヒヒ、カリスの奴、結構やるだろ♪実は俺とフリードが二人掛かりでも勝てなかった奴なんだぜぇ♪もっとも、フリードはエクスカリバーを持ってなかったし、俺も斬花を使ってなかったがなぁ♪」
「ッ…!」
「ホラホラホラホラァ!どしたどしたどしたどしたァ!」
奴のナイフが俺の刀(ブレード)とナイフを押し退き始めた。
血の悪魔の子供達(ブラッド・チルドレン)の筋力と体重を乗せられる体勢な為、この状態での力勝負では相手の方に分があった。
「オラオラオラオラァ!」
「………目の前で……」
「あん?」
「……ギャアギャアと…!」
ドゴッ!
「ぐほっ!?」
俺の小声を聞き取ろうと顔を近付けた所にヘッドバット食らわせてやった。
「……うる…せぇッ!!」
怯んだ隙に足で後方に押し退けてやった。
すぐさま俺は起き上がり、奴の方を向く。
「イテテ、なかなかの石頭だなぁ。ちょっと頭がグラつくぜ…」
目の前のベルの言葉を無視してチラッと千秋の方を見ると、さっきのダメージが抜けてないのか、押され気味だった。
フリード、ベル、そしてカリス、いい加減三人の内誰かを何とかしねえと完全にジリ貧な上、町崩壊にまで間に合わねえぞ!
「キヒヒ、段々焦り出してきたなぁ?そりゃそうか。早くしねえとこの町がアレだからなぁ♪」
「チッ…」
「ホラホラ、焦ってたら仕損じるぜぇ♪ほら、リラックスリラッ…」
グキッ!
「ッ!?」
突然、目の前でベルの首が嫌な音を鳴らしてねじ曲げられた!?
「あり…」
ドサ。
ベルも何が起きたのか理解していない様子で、そのまま倒れ伏した。
「……燕…」
そして、倒れ伏したベルの背後にいたのは燕であった。
「自分から相手を買って出ていった割には随分苦戦してたみたいね?」
「……ほっとけ…」
倒れ付したベルはピクリとも動かなくなっていた。
おそらく燕によって首の骨を折られたのだろう。
いくら再生能力並の治癒能力があろうと、首の骨を折られればさすがに即死だろう。
千秋の方を見ると、いつの間にか鶇が乱入していて、怪力で死人達を蹴散らしていた。
二人のこの神出鬼没な不意討ちは部長とライザーの婚約パーティー乱入の時に見た時も思ったが、どんな格上の相手の一撃よりも非常に恐ろしいものだ。
いきなり近くに現れたと思った瞬間にすでに殺られた、末恐ろしいものだ…。
普段はイッセーの事になると慌てふためくこいつも、戦闘になればここまで頼もしくもあり、また恐ろしい存在だ。
「……とりあえず、厄介な奴をようやく一人だ。次は奴をやる」
俺はカリスに視線を向ける。
「俺が相手をする。お前は今みたいに隙を突いて不意討ちを頼む」
「いいけど、あいつは相当なやり手よ。一度私達のやり方を見たから、警戒されてこいつより奇襲力は大分落ちるわよ?」
「それだけでも十分な効果がある。他の事に意識が割かれれば、多少は戦闘力は低下するはずだからな」
「そうね、分かったわ。姉さんや千秋には?」
「周りの死人達の相手を頼むって伝えてくれ」
「分かったわ」
俺と燕は頷き合うと同時に動きだそうとした。
ゴキッ!
その瞬間、奇妙な音が俺の耳に入った。
……何だ、今の音は…?
身体中から嫌な汗が溢れ出て、さらに悪寒が襲った。
俺は思わず倒れ付したベルがいる場所へ視線を移した。
「ッ!?燕ェェェッ!!」
「?」
俺は目に入った驚愕な光景を見て思わ燕の名を叫んでしまう。
俺の叫びに怪訝そうな表情をした燕は俺の視線に誘導されるかの様に振り替える。
「キヒ♪」
ズバァッ!
「っ!?」
「ッ!?」
首の骨を折られ息絶えたと思われていたベルが醜悪な笑みを浮かべて立ち上がっており、そして、そのベルになす術も無く、燕はナイフによる一閃で胸を切り裂かれた。  
 

 
後書き
次回は原作三巻の目玉、木場の覚醒です。 
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