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ハイスクールD×D 新訳 更新停止

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第3章
月光校庭のエクスカリバー
  第73話 それぞれの決着

 
前書き
久々の明日夏とちょこっとだけのコカビエルの登場です。 

 
ズババババ!
「キャアアァァァァッ!?!?」
「イヤッホー♪」
ガシッ!
「ぐっ…!?」
「つっかま~えた♪」
「……離しなさいよ…この背信者…!…」
「さ~てぇ♪どうしようかなぁ♪お姉さん良い身体してるからねぇ♪」
「……ぐっ…」
ドゴンッ!
「……え?」
「……何だぁ?」
メキメキ。
「ってぇ!?何ですかぁ!!」
ドゴォォン!
「いきなり何だってんだぁ!!」
「……木を折って倒しただけだ」
「……あ、明日夏…君…」
「おんやおやぁ、あん時の刀使いじゃあ~りませんか~?」
「………」
「何々ぃ、わざわざ斬られに来たのかなぁ?だったら望み通り、そのお姉さん共々仲良くチョンパして…」
カッ!
「ギャァァァッ!?!?目がッ!!目がぁぁぁぁッ!!!!てんめぇ!人が喋ってる時に…っていねえし!?あんにゃろー!!」
「放っておけ」
「あ、ボスぅ」
「それにザコとは言えまだ利用できるだろう。お前はそこに転がっている聖剣でも持ってバルパーの所にでも行っていろ」
「ヘイヘイ。んじゃ、擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)ちゃんゲットだぜ!」


「………ハァ……ハァ……」
「ふふふ」
『………』
「……フッ…なるほど…最高傑作と言うだけはある…」
「それはどうも」
「………逃げる事も叶わないとは……」
「貴方の場合、後が怖そうですから…」
「……ちなみに聞くが、私を殺した後、私の遺体をどうするのだ?…」
「もちろん、実験素体として有効に活用させていただきますよ」
「……フッ…それは御免被りたいな…」
「拒否権はありませんよ」
『グオォォォォォッッ!!!!』
「……チッ…」
シュンッ!
「ふふ、そんなもの…」
ドガァンッ!
「……爆発する聖剣?ですが…」
ドガッ!
「爆発で怯ませる、もしくは爆煙による目眩ましのつもりでしょうが、彼には効きませんよ」
ドガッ!
ドサッ!
「さて、これでおとなしくなってくれたでしょうか…」
ドガァァァンッ!
「ッ!?」
シュー。
「……自爆…ですか」


「………がっ……ぐぅ…ぐっ……!…」
ベルの攻撃をまともに受けた俺達であったが、なんとか生きていた。
だが、ユウは意識を失い、どちらもまともに動けない状態に陥っていた。
「お、まだ生きてるな。咄嗟に反応したのが項をなしたみてえだな。まあ、ユウちゃんは意識失なっちゃったけどな♪」
ベルが倒れ伏す俺達を交互に見下ろしながら告げる。
「……項をなしただと…?……よく言うぜ……元から今の攻撃で殺す気なんて無かったんだろうが…!」
咄嗟に反応したと言っても所詮は付け焼き刃、どう考えても回避は間に合わず、俺達は殺られていたはずだった。
「あ、分かる」
「……ッ…!!」
そう、こいつは元からさっきの攻撃で俺達を殺すつもりなんて全く無く、わざと殺さない様に攻撃した。
とは言っても、血の力(ブラット・アビリティ)の治癒力があってもまともに動けない重傷を負わされた。
「俺はさ、バラバラに切り裂いて殺すのが一番好きな殺し方なんだよな♪死んだ奴をバラバラにしてもなんも面白くねえし♪つう訳で、まずはお前を殺って、起きたユウちゃんにバラバラにしたお前を見せてショックを受けた所を殺るとすっか♪」
「ッ!……クソッ…!…」
今の俺達にはこの場から逃げれる状態じゃない。
なす術も無く、こいつに殺されるのを待つだけだった。
「あ、そう言えば…」
「……?…」
「ノモア神父で思い出したんだが、他のガキ共、みんな死んだんだってな?」
「ッ!?」
今こいつが言ったガキ共とは、俺やユウ、ベルと同じく拾われた血の悪魔の子供達(ブラット・チルドレン)の子供達の事だ。
「何で知ってんだって顔してんな。そりゃあまあ、あのガキ共も殺すつもりだったんだから調べてて当然だろ?」
「ッ!テメエ…!」
「まあ、俺が殺す前に突如現れたはぐれ悪魔によってノモア神父の代わりに必死に世話してたガキ共は皆殺し、そのはぐれ悪魔を激怒したお前が右腕、右脚を失いながらも討伐、そして、その頃になってようやく救援の教会の戦士(エクソシスト)が遅過ぎる到着、んでお前は十字義肢(リム・クロス)を装着してパワーアップ、元々嫌いだった悪魔がさらに大嫌いなった…てな感じだったな♪」
「………」
こいつの言う通り、突然現れたはぐれ悪魔によって子供達はみんな殺され、俺も右腕、右脚を失う結果となった。
「ちょっと面白い事を教えてやるよ♪」
「……何?」
「実はあの事件…仕組まれた事だったりして♪」
「……なん…だ…と…?…」
「そのはぐれ悪魔は当然現れたんじゃなくて、あの教会に誘い込まれたんだよ。そして、それを仕組んだのは…」
「………ッ…!?…」
「俺達を忌み嫌う一部の教会本部の連中と当時あの教会に赴任していたシスター達さ♪」
「ッッッ!?!?ふざけるなッ!!ッ!?ゴフッ!?」
重傷を負っている状態で興奮したせいか、血を吐いてしまう。
「落ち着け落ち着け」
「……ッ!…」
「って言うか、不審に思わなかったのか?」
「……何?」
「ガキ共だけが全滅して、シスター達だけが一人も欠ける事無く生き残ってたんだぜ?」
「……そんなの…偶然に…」
「考えてもみろ。ガキ共はただのガキじゃねえ、俺達と同じ血の悪魔の子供達(ブラット・チルドレン)だぞ。ぶっちゃけ、シスター達よりも生き残る確率は高かったはずだぜ?なのにガキ共は全滅して、ただの人間で何の力も無いシスター達だけが生き残った」
「………」
その事に関しては俺も疑問には思った。
だが…。
「まだ信じられねえみたいだな?まあ、無理もねえか。お前ら結構慕ってたし、ユウちゃんなんか姉の様に慕ってたからな。だが事実だぜ」
「ッ!!」
「あのシスター共はな表面上はお前らに慕われるような女達だったが、陰じゃ俺達の事をさんざん忌み嫌ってたぜ。まあ、本気で俺達の事を思ってくれてたノモア神父の手前、安っぽい仮面を着けてたが、俺達やノモア神父が寝静まった途端、仮面をとってさんざんな事を言ってたぜ。ちなみに俺は偶然それを聞いちゃった♪ま、元々俺はそう言うのに鼻が利くから特に驚かなかったけどな。会話内容も凄いぜ♪怖い、気持ち悪いは当然、どうやって殺すかなんて議論してたのを聞いた時は笑ったな♪お前らそれでも神に遣えるシスターかよってな♪」
「………」
でたらめだ!
耳を貸すな!
「んで、俺がノモア神父を殺して不満が爆発、同じ思いの本部の連中と協力し、戦えるお前とユウちゃんを教会から引き離し、討伐対象だった強力で危険なはぐれ悪魔を誘導、自分達だけの安全を確保し、子供達をはぐれ悪魔に襲わせ、戻ってきたお前とユウちゃんを戦わせ、二人が死んだところで本部の戦士(エクソシスト)達がはぐれ悪魔を討伐って筋書きだったけど、誤算が生じた。お前がはぐれ悪魔を倒しちゃった上、結果的に十字義肢(クロス・リム)でパワーアップしちゃったからな♪」
「………」
「今回のエクスカリバー奪回任務にお前らがいるのって案外俺達を忌み嫌う連中が死なせるつもり送らせたんじゃねえのか?なんせ俺らのボス滅茶苦茶強いぜ♪俺なんか小指一本で瞬殺かもな♪」
「………」
「あれ?だんまり?」
俺は反論できなかった。
こいつが言っていた事と同じ事を俺も思い至っていた。
でも俺はそれを無理矢理あり得ないと現実から目を逸らしていた。
だが、目の前で同じ事を言われ、それが事実だと思った瞬間、もう何だかやるせなさを感じてしまった。
「反論無しね。じゃ、もう死んじゃえ♪」
奴はそう言うとナイフを手に振りかぶる。
(………姉さん……)
ズバッ!
俺の耳に肉が切り裂かれる音が入ってきた。
「あれ?」
だが切られたのは俺ではなく、ナイフを持ったベルの腕であった。
「……テメェ…」
「………」
そこにいたのは、ユウの持つ十字具(クロス)と同じ鍔の無い刀を握っている士騎明日夏だった。


「生きてるか?」
「………何とかね……」
俺は現在、傷付いたイリナに肩を貸しながら森を進んでいた。
応急手当はしたがダメージは深刻な物であった。
「木場とゼノヴィアは?」
皆とはぐれる原因となったあの爆発の中でイリナが木場とゼノヴィアと一緒に逃げていったのを確認したはずだが、近くに二人の姿が無かったのを気になった俺はイリナに聞く。
「……あの後、私達はコカビエルと遭遇したの…」
「………」
「……あいつの強さは桁違いだったは…敵わないって悟って直ぐに逃げたんだけど…」
「お前だけ逃げ遅れ、さらに追っていたフリードと遭遇して返り討ちにあったと?」
「………」
イリナは黙ってしまう。
「……私のエクスカリバーは…?」
「置いてきた。近くに強い気配を感じたんで回収してる余裕は無かった」
「……たぶん、コカビエルの物だと思うわ…」
「……だろうな」
気配だけでとんでもないバケモノだって言うのが分かった。
あれは想像以上だ。
もし戦う事になったら俺達は勝てるのか?
アアァァァァァァァァッ!!!!!
「……何…!?」
「悲鳴?」
遠くの方から男の物と思える悲鳴が聞こえてきた。
少なくとも木場やライニーの声じゃない。
俺は近くの茂みにイリナを座らせる。
「……お前はここで待ってろ。様子を見てくる」
「………気を…付けて……」
「ああ」
俺はその場から悲鳴が聞こえた方へ向けて駆け出す。


そんな具合で悲鳴が聞こえてきた場所まで来ると、ライニーと神田がやられかけている現場に遭遇した。
そして、隙を伺っているとライニーが殺られそうになったので飛び出し、敵の腕を切り飛ばし、現在に至る。
「あーりゃりゃ、腕斬られちまったな」
目の前の男は特に気にした素振りを見せず、飛ばされた腕の下へ歩いていく。
俺はそんな奴を警戒しながらライニーを担ぎ、神田の下に行く。
神田の近くにライニーを降ろし、神田の様子を確認する。
ケガは酷いが気を失っているだけのようだった。
「あーいってー」
奴はそう言いながら腕を拾い、切られた袖口を取り払って切断面同士をくっつけ合わせた。
「な!?」
切断された腕が何事も無かった様な状態になり、平然と動かされていた。
(何だあれは…)
「さてと、お前名前は?」
「……士騎…明日夏…」
「うん、覚えた。じゃ、殺すか♪」
そう言った瞬間、奴は醜悪な笑みを浮かべ、尋常じゃない殺気放ち出した。
「………」
俺は無言で雷刃(ライトニングスラッシュ)を鞘に納める。
シュッ!
そして俺は手持ちのバーストファングを全て奴に投擲する。
「あ、やべ」
カリス・パトゥーリアが奴らと協力関係である為かバーストファングの事を知っているようだ。
奴はすぐさまナイフを数本投擲し、バーストファングに当てる。
ドガガガァァァン!!!!
その瞬間、バーストファングは他の奴を巻き沿いその場で大爆発が発生する。
だがむしろ狙いはそれだった。
「……Voltekker!!」
爆発と同時に雷刃(ライトニングスラッシュ)の発動コマンドを呟き、身体に電気を流し込み、身体能力を劇的に強化し、二人をまとめて担ぎ、その場から駆け出す。


「ケホ。あーけむぅ。つかはえーなぁ。追い付くのは無理かな?まあいっか。好物はは好きなタイミングで食っちまう派だし。じいさん所にエクスカリバーでも持ってくか。あ、そう言やぁ、欲求不満でクロト切り刻んちまったけど…ま、いっか♪」


「ハァハァ」
やっぱりこいつの負担はキツいな。
この騒動が終わったら、しばらくこいつの慣れに鍛練の時間を全部回すか?
「………」
「……だんまりだな?」
「……話…聞いてたんだろ…?」
「……まあな」
飛び出すタイミングを計っている間、こいつと奴(おそらくあいつがベルって奴だろう)の話を聞いてしまっていた。
まさかこいつとあいつ、それと神田があの血の悪魔の子供達(ブラット・チルドレン)と呼ばれている存在だったとはな。
「……で、バケモノを救った感想どうだ…?」
「ずいぶん自虐的だな?」
「……何だかいろいろやるせなくなってな」
心を許した人達が実は自分達を忌み嫌い、殺そうとしていたと言う事実が思いのほか来るものがあったのだろう。
ぶっちゃければ信頼していた人達が自分達を裏切ったみたいな物だからな。
「……で?」
「ん?」
「……どうなんだ?さっきの質問の答えは?」
「……………ハァ。ぶっちゃけ、お前らが血の悪魔の子供達(ブラット・チルドレン)だろうと何だろうと正直どうでもいい」
「……そう言えば、親友が悪魔だったな…」
「それに関しても、あいつが悪魔だろうと何だろうとどうでもいい。あいつはあいつだ。イッセーだから一緒にいるんだよ。千秋も鶇も燕もな」
「………」
「それに…」
「?」
「あいつもそんな事なんかどうでもいいって言うだろうしな」
「……仮に異能の存在を全く知らないただの人間でもか?」
「さすがに驚きはするだろうが、あいつはそんな物で人を判断しねえよ」
「……あの三人もそうだが、お前らずいぶんあいつの事を信頼してるんだな?」
「今のあの三人があるのはイッセーがいたおかげだからな」
「?」
「鶇と燕。あの二人もお前らほどじゃないが似たような境遇でな。周りの奴らはどいつもこいつも二人を忌み嫌うか我関せずだ。かくいう俺もな」
「……そうなのか?」
「あの頃の俺は厄介事になるような事には関わらないようにしてたからな。家族やイッセーに要らぬ被害を被らないようにな。要は他人だから関係無いってやつさ」
「……薄情だが、ま、妥当な判断じゃないのか?自分から関係の無い厄介事に首突っ込むなんてバカのする事だ」
「……あいつはそのバカに分類される奴何だよ。昔から…」
「……それは苦労しそうだな…」
「まあな。だが、そんなバカなあいつにあいつらは惹かれた。だからこそ、そんなあいつを侮辱したお前に激しく怒りを覚えたのさ。むろん俺もな」
「……それは悪かったな」
「ま、本人があんまり気にしてねえし、千秋がいろいろかましてくれたからな俺は気にしてねえよ。あいつらは分からねえけど」
「……ふん。お前もずいぶんあいつに感化されたんじゃねえのか?」
「ふっ、否定はしねえよ。存外悪くもねえし」
「……そうかよ」
「ま、あいつの魅力は深く付き合わねえと分からねえよ」
「……だとしたら一生分かる事は無いだろうな。悪魔と深く付き合うとか冗談じゃねえ」
「そうか。それは残念だな」
なんて事を話していると、俺達はイリナの下に到着した。
イリナは気を失っていた。
「確かお前らは治癒力が高いんだよな。どれぐらいで動けるようになる?」
「……当分掛かるな…」
「……そうか。動けるようになったら二人を連れてイッセーの所に行け。アーシアが治療してくれるはずだ」
「……お前はどうするんだ?」
「残りの奴らを探す」
「……そうかよ。なら…」
その後、借りを返すと言ってベルって奴の戦闘スタイル、奴の持つ黒十字具(ブラック・クロス)、そして能力とも言える体質の事などを聞かされた。
奴の高速自己治癒能力はかなり厄介だな。
致命傷を負っても死ぬ前に治るとなると、奴を倒すには即死攻撃しか無いと言う事になる。
しかもそれを簡単にやらせないほどの強者ときたか。
それを聞いた後、イリナ同様二人の応急手当をし、残りの奴らを探しにその場から発つ。 
 

 
後書き
とりあえず、ライニーとユウナはイリナ同様退場です。 
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