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アラガミになった訳だが……どうしよう

作者:アルビス
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夫になった訳だが……どうしよう?
  46話

さて、これは少々マズイぞ……確かに原作の知識は若干おぼろげだが、ツクヨミ後ろにこんなのはいなかった筈だ!!
支部長が創り出したアルダノーヴァは人型の本体である女神型と、人の上半身だけが浮いているような形をしたサポート用の男神型が対になって行動するアラガミだ。
しかし、アルダノーヴァの変異種であるツクヨミにはゲーム中では何故か男神がいなかった。その時は深く考えなかったが……やっぱりいたのか。
女神の攻撃は馬鹿げた出力のレーザーと伸縮可能な両腕にエネルギーを纏わせて鞭のように振るうのが主な攻撃だ。各々火力こそ危険ではあるが大振りで回避、防御はそれほど難しくなく隙を突くのはそう難しくない。
こちらとしては一発でも右腕、両脚の具足の内一つでも当てられればいいので、女神だけならそこまでの苦戦はしないだろう。
そう、女神だけならば。
先ほどから、この男神が厄介すぎるのだ。この男神は攻撃こそ貧相なものだが、こいつの体は硬すぎるのとデカすぎるのだ。
男神の攻撃はその巨大な腕による格闘と口から吐き出す光弾程度で、防ぐ必要性すら感じられないレベルの威力だ。しかし、こいつはいくら殴っても凹みこそすれ、一向に壊れる気配がない。
それにこいつはその体で俺の視界を遮り女神の動きを覆い隠すのだ。女神の攻撃は予備動作の大きさ故に回避は容易いのだが、その予備動作が見えないとなると非常に厄介極まりない。
その上、男神は女神の最も火力のあるレーザーを吸収し、増幅して放つ能力があるようで男神の後ろで女神がレーザーを俺もろとも男神を焼き払おうとしても問題ない。それどころか、そのレーザーの後に更に高出力のレーザーが男神から放たれるのだからな。
流石にここまでの威力で何度も連続で撃たれるとなると、具足の強度は問題ないとして俺の体の方が先に保たなくなるぞ。それにさっきのレーザーで無線が壊れ、ユウとも連絡がつかなくなった。
援護無しでこの状況を乗り切らなきゃならん訳だが……さて、これは多少の無茶でもしなければ乗り切れないか。ただ、確実に男神か女神のどちらかを倒して捕食しなければ、その後がかなり危険な状態になるが仕方ない。
どの道このままではいずれ押し負けるのだから、これ以外手は無いと言えばその通りか……
さて、ここで確認だ。俺のアラガミとしての強さは大きく上げて二つある。
一つは武器である具足だ。武器としての性能も中々のものと自負はあるが、この具足の最大の特徴はその硬度だ。今まで色々な攻撃を受け止めてきたがこの具足が押し負けたことは一度もない。これは本来防御用ではなく、打撃時の攻撃力を上げるためだった。
それを活かす為に爆発によるブースト等様々な機能を追加した訳だ。充分な硬度があるのならば、速度が上がるという事はそのまま威力の上昇に繋がるからな。
もう一つが感覚だ。俺のように至近距離での戦いを主とするのならば、あらゆる感覚を研ぎ澄まさなければならない。そんな事を何だかんだで二十年続けてたからか、普段日常生活を過ごすにあたってある程度制限を設けなくてはならなくなった。理由は簡単、感覚が鋭敏化されすぎて俺の意識と身体の動きにズレが生じるようのなったからだ。
俺の身体が一歩踏み出す間に、意識の中では数歩先に進んでいる。自分の動きを含めてあらゆる存在がスローモーションで動いている、とでも言えば分かりやすいだろう。
そんな状態ではまともに暮らせないので制限を設けたのだ。
俺の強さである具足と感覚、その両者を最高の状態で組み合わせるには何が足りないか?
答えは俺の自身のスピードだ。
それを解決する俺が思いついた現時点での方法は……
「身体中のオラクル細胞を負担を無視しての活性化によって意識と身体の動きのスピードを一致させる」
その状態になれば普段の数倍のエネルギーを得られるので、凄まじい速度での変化などあらゆる行動が高速化する。ざっと普段の十倍以上の速度で動けるので、その間であれば相手が如何なるアラガミでも圧倒できるだろう。
当然、その効果相応のリスクもある。その状態になれば身体のオラクル細胞は凄まじい速度で活性化し死滅していく。
つまり、解除する時間を誤れば最悪俺の身体が崩壊して死ぬ。それに例え短時間であれ身体中のオラクル細胞に過負荷をかけるだけあって、終了後の俺の身体は早急にオラクル細胞の補充が必要になるわけだ。要はドーピングの類だ。
本来は一対一で使うべき手段だが、今回の相手は片方をどうにか出来ればある程度なんとかなるということもあり使わせてもらおう。
「さて、男神には退場願おうか」
その言葉と共に感覚の制限を解除し、オラクル細胞の活性化開始した。
その時、世界のあらゆるものが止まっているかのように感じた。その中では俺一人が普通の動けているというのは妙な感覚だが、そんな感覚に浸っている間にも俺の身体には凄まじい負担がかかっているのだ。一気に終わらせなければ。
右腕の具足から杭を出現させ、男神の額に突き立てる。
先程までは凹ませる程度でしか無かったが杭と強化された身体能力により、随分と容易く男神の金属おような皮膚を貫通し突き刺さった。それでも男神は俺の目から見れば痛みに苦しむ事はなく、少し前に俺が立っていた場所を見ている。
そのまま杭を具足から離し男神の額に突き刺したまま、両脚に出現させた杭を更に突き立てる。その段階でようやく最初の杭の痛みに気付いたようだが、その悶える動きですら遅い。
計三本の杭が男神に突き立ったのを確認し、その杭に一発ずつ蹴りを叩き込み男神から離れる。そして、安全な距離まで離れたのを確認して強化を解く。
解いた直後撃ち込んだ杭が爆発し、男神の体は半分ほど消し飛んだ。
先程の三本の杭には強化された気体の圧縮能力によって、杭の中にプラズマ化……までとはいかないもののそれに近い状態まで圧縮した気体を封じ込めていた。
俺の強化状態によって強化された杭ならば耐えられたそれも、強化が解ければ耐え切れる筈もなく気体を抑えきれなくなった杭もろとも男神を内側から吹き飛ばしたのだ。
これで男神は処理できたが……たった三秒で身体中がシャレにならない位痛いぞ。正直立っているのですら辛いし、なんとか構えているので精一杯だ。
マズイな……副作用のダメージを少々読み違えた。片方だけなら副作用ありでも……なんて考えたが、ここまでダメージが酷いというのは想定外だ。
幸い男神がいとも簡単に死んだ事で女神も若干動揺しているようだが……できれば身体の修復がある程度済むまでそうしておいてほしいのだが、そうもいかんだろう。近くに散らばっている男神のオラクル細胞を肉片からなら触れずとも吸収できるが、腕などの大きな破片となるとやはり直接触れなければ喰えない。
俺の考えとしては女神の隙を突いて男神の半分位を喰う予定だったのだが、副作用のダメージのお陰で隙を突くどころか動くことすらできないのだからどうしようもないぞ。
そうこう考えている内に女神の方がこちらに再び敵意を向けはじめた。いよいよピンチか?などと考えていると女神が妙な行動をとった。
突然上にレーザーを放ってそのまま上に逃げるように飛んでいったのだ。一体何があったのだろう?っと考える間も無く理由は分かった。後ろからもはや暴力と言ってもいいような視線が俺に送られているのがよく分かる。
「こんな所で何してるのかな、マキナ?」
……まだツクヨミ相手の方が楽だったな、などと考えながら生きて明日の朝日を拝める事を祈るばかりだった。























 
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