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ブラウンじいさまのお話

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第四章

 そのお話を聞いてです、子供はこう言いました。
「ううん、じいさまも最初は一羽だったんだ」
「そうじゃよ」
 その通りとです、じいさまは笑顔で答えました。
「意外かのう」
「じいさまはずっとじいさまだと思ってたよ」
「ほっほっほ、それは違うのじゃ」
「じいさまにも若い時があったんだね」
「そうじゃ、それでじゃ」
「独身だった時もあるんだね」
「それどころじゃ」
 じいさまは子供にこのこともお話しました。
「わしも御前さんみたいな頃があったぞ」
「僕みたいなって?」
「子供だった時もあるぞ」
「えっ、そうなんだ」
「卵から産まれたばかりでな」
 その時からお話するのでした。
「飛べなくて巣の中にだけいたな」
「そうした時もあったんだ」
「そうじゃよ、わしもな」
「じいさま凄い飛ぶの上手でお年寄りなのに」
「歳は取っておるがじゃ」
 それでもというのです。
「わしもそんな時があったのじゃ」
「子供の時がなんだ」
「飛ぶこともじゃ」
「飛べなかった時もあったんだね」
「そうじゃ、皆同じじゃよ」
「ううん、信じられないよ」
「御前さんも長生きすればわかるぞ」
 今のじいさまの様にです。
「今以上に飛べる様になって結婚してな」
「歳を取って」
「そうしていけばわかるからのう」
「じいさまみたいになれば」
「そうじゃ、まあ時々頭にくる栗鼠が来ることもあるがじゃ」
 それでもというのです。
「生きていれば色々とわかってくる」
「まずは生きることなんだね」
「そういうことじゃ。御前さんも長生きする様にな」
「うん、わかったよじいさま」
 子供はじいさまの言葉に明るく頷いて答えました。
「僕じいさまみたいに長生きしてね」
「そしてじゃな」
「色々なことを知るよ」
「そうするのじゃ。まずは生きることじゃ」
 全てはそれからだというのです。
「生きていれば何でも出来るからのう」
「そういうことなんだね」
 子供もじいさまの言葉に頷きます、そうしたお話をしてでした。
 子供はじいさまにです、こうも言いました。
「それでビリーさんは今は」
「おいおい、御前さんもいつも会ってるぞ」
「ということは」
「そうじゃ、ばあさんじゃよ」
 その梟だというのです。
「わしといつも一緒におるな」
「ああ、ばあさんがなんだ」
「そうじゃ、ビリーさんじゃよ」
 まさにというのです。
「ずっと一緒にいるのじゃよ」
「今もなんだね」
「そうじゃ、あの時からじゃ」
「そうだったんだ、ビリーさんはばあさんだったんだ」
「そうじゃ、このこともわかったな」
「よくね、何か凄い話だね」
「凄くないぞ、誰でもそうなるからのう」
 やはり長く生きていればです、じいさまはここでも子供に言うのでした。
「御前さんもな」
「やっぱり長生きしていたら」
「そうじゃ、では身体に気をつけて危ないことからは逃れてな」
「長生きしていけばいいんだね」
「全てはそういうことじゃ」
 じいさまは子供にお話するのでした、子供はそのお話を聞いてこれからのことを考えるのでした。自分もじいさまみたいに長生きしようと。


ブラウンじいさまのお話   完


                             2014・5・15 
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