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ソードアート・オンライン~狩人と黒の剣士~

作者:村雲恭夜
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死神と滅殺者

ユリエールの話によると、シンカーがいるダンジョンは、ここ一層の地下にあると言う。俺の知ってるダンジョンでは無いようだ。
因みに、キバオウ一派がそこを独占しようとしたが60層相当のレベルがあるらしく、命からがら逃げ帰った様だ。あいつ、第一層の攻略会議から嫌いだったんだよな。死ねば良かったのに。
「現在、シンカーはこのダンジョンの奥に居るようで、レベル的には一対一なら倒せなくも無いですが、連戦はとても………失礼ですが、皆さんは………」
現在、俺のレベルはシステム抜きで100、ミザールは90だし、アスナは87、キリトが96だ。茅場や俺を除き、実質レベルが突出してるのはやはりと言うべきか、キリトである。
「ああ、まぁ、60層位なら………」
「何とかなると思います」
「……それと、もう一つだけ気掛かりな事があるんです。先遣隊に参加したプレイヤーから聞き出したんですが、ダンジョンの奥で………巨大なモンスター、ボス級の奴を見たと………」
「…………60層ボスって何だっけ?」
「石の鎧武者。ライトがラスト持っていった奴」
またまた補足だが、60層ボスラストアタックボーナスは、片手・大剣兼用の武器、名をブラスト・ロギアだった。………俺はこんなもの、ラストアタックに設定した覚えが無いので、恐らく茅場さんであろう。
「……なら平気だ」
「そうですか、良かった!」
すると、ユリエールが微笑んだ。
「そうかぁ………。皆さんはずっとボス戦を経験してらしているんですね……。すみません、貴重な時間を割いて頂いて」
「いえ、今は休暇中ですから」
アスナが慌てて手を振ると、ようやく黒鉄宮にたどり着いた。さて、ちゃちゃっとクリアして帰るかね。




















「ぬぉおおお!りゃあああああ!!」
「はぁあああ!ぜりゃああああ!!」
久々に二刀を装備したキリトと久々にジンオウXと真・王牙刀【天威】を装備した俺は、貯まったエネルギーをぶつけるかのようにモンスター達をほふり続けていた。後ろの女性剣士三人は、呆れる様な顔で見ていた。
それを見て俺は前衛を離れる。
「な……何だかすみません。任せっぱなしで………」
「気にしないで下さい。好きでやってるだけですし。まぁ、ただキリトの奴は病気なんでやらせときゃ良いんですよ」
「何だよ、酷いなぁ」
すると、ちょうどキリトがこちらに戻って来た。
「なら、俺一人でやっても良いぞ?」
「も、もうちょっと」
それを聞くと、キリトを除く全員が笑った。


























ダンジョンに入って暫く水中型だったモンスターが、階段を降りると、徐々にオバケ系に変わって行った。
お陰で、俺とミザールは手を繋いで無いと歩けなかった。オバケには、散々苦い思い出があるからな。
暫くすると、暖かな光が洩れる通路が目に入った。
「あっ、安全地帯よ!」
「奥にプレイヤーが一人いる。グリーンだ」
「シンカー!」
するとユリエールが叫び、走り出した。右に湾曲した通路を数秒間走ると、大きな十字路と、その先の小部屋が目にはいる。その入り口には一人のプレイヤーが。
「ユリエール!!」
「シンカー!!」
ユリエールが走り出すと同時に、俺の索敵スキルに反応が出る。部屋の手前数メートル、俺達のいる通路と直角に交わっている道の右側死角に、黄色いカーソルが出現していた。
表示名は<Tne Fatal-scythe>ーー運命の鎌と言う固有名を持つモンスター。間違い無くボスだが………。知らない、俺はこんなモンスターを配置した覚えは無いぞ!?
「くそっ!!」
俺は敏捷値を最大にして駆けると、ユリエールの体を抱き抱え、そのまま安全エリア前に移動する。そこでユリエールを降ろし、カーソルを確認すると、向きを変え、キリト達へ突進しようとしていた。だが、キリト達はすぐに気付き、安全エリアに来る。
「お前ら、今すぐ脱出しろ」
「何でだ?」
「識別スキルでもデータが見えない。恐らく、90層クラスのボスだ」
「……!?」
アスナが息をのんで体を強張らせる。
「俺が時間を稼ぐ。その内に脱出しろ」
「ならライトも一緒に………」
「後でいく。だから先に脱出しててくれ、ミザール」
俺は王牙刀を抜き放つと、死神に駆ける。
「システムコマンド!アタックブースト、ディフェンスブースト!!」
すると、俺の周りにウインドウが展開し、HPバーに攻撃力・防御力上昇のアイコンが出る。
その時、鎌を振り被った死神が、ローブから黒い物を撒き散らしながら恐ろしい勢いで突進してくる。
「舐めんなァ!!」
俺は大きく跳躍すると、太刀を鎌にぶつける。火花が散り、俺は大きく後ろに後退、死神は少し下がっただけだった。
「システム有りでこれじゃ、あれのプログラムがチートって事かよ………」
呟くと同時に死神が再び突進してくる。
「突進しか能のねぇ奴が!!」
俺は太刀を垂直に前に出すと、走り、あのモーションを起こす。
「ぜりゃあ!!」
俺の放ったウォーパルブレイクは、死神のHPバーに大ダメージを与えたものの、ゲージは未だ健在していた。
「チッ………。!?」
舌打ちし、離れようとしたとき、死神の鎌が俺に振られた。下からの攻撃を回避出来る訳もなく、俺は太刀を納刀し、鞘ごと鎌をガードするが、大鎌は俺を吹き飛ばし、壁にぶつかった。
意識が朦朧とするなか、HPバーを確認する。
「………はっ、一撃でこれかよ。笑えねぇぜ…………」
ディフェンスブーストのお陰か、HPはレッド、しかも死の手前1ドットだった。
そこに、鎌を振り被った死神が俺に近付いてくる。俺に止めを刺すためだ。
俺は太刀を掴もうとしたが、その太刀は消えていた。何故なら、太刀は既に、折れてしまっていたのだから。
「ちくしょ…………俺はここで終わるのかよ……………」
俺は死を覚悟し、目を閉じる。最後の時を迎える……………その時だった。

「大丈夫、私が付いてますよ、マスター」

何処からかそんな声がして、俺は目を開けた。そこには、ユイが俺の前に立っていた。
「ユ…………イ………?」
「マスターは、私が守ります」
そこに、大鎌が振り下ろされる。だが、不死属性を持つユイに鎌の刃が届く事は無かった。
更に、ユイの右手には紅蓮の大剣が存在していた。間違い無く、俺が設定したオブジェクトイレイザーだ。
それをぶん、と一振りすると死神を切り裂いた。
黒い死神は轟音と共に砕け散り、そこに残ったのは、黒い太刀だけだった。
「ユイ………お前、記憶が………」
「はい、マスター。説明は、パパ達のいるエリアで」
すると、キリト、アスナ、ミザールが慌てて安全エリアからこちらに来るのが見える。
「………一つだけ、良いか?」
「何でしょう?」
「………ユイ、お前はどうする?」
「………どうする、ですか?」
ユイは俺の顔を見て、言う。
「全てを、皆さんに説明します。何故ここにいるかを。だから、マスターも説明してあげてください。パパ達に、全てを」
「………」
俺は肯定はせずに、ハイポーションを開け、飲み始めた。 
 

 
後書き
それでは、GPシステムの説明を!!

GPシステム
茅場晶彦の持つGMシステムと対となすシステム。使用者はライト。
随分前から持っている様な台詞や説明が作中でも出ている事から、ゲーム開始時、あるいは低層攻略時には既に持っていたとされる。
対モンスター用システム<オブジェクトイレイザー>、対プレイヤー用システム<ジャッチメント>、能力強化システム<ブースト>、等ゲーム内に関係するありとあらゆるシステムの権限を持つ。但し、GMシステムも同様のシステムがあるため、違いはゲーム内で接触を禁じられているメンタルヘルス・カウンセリング・プログラムとの接触したり、管理をすることの違い。これはGMシステムでも、GPシステムでもあるが、本元はGPシステムなので、分離化が可能。従って、現在メンタルヘルス・カウンセリング・プログラムの管理は、ライト自身が行っている。現在確認されているのは、ユイとストレアの二人のみ。
また、ライトはGPシステムを危険な時にしか使わないため、現在までGMの影と言うことは誰にも知られては居ない。

こんな感じです!!チートだな、これ。てなわけで次回もよろしく!! 
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