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万華鏡

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第八十四話 リハーサルその八

「けれどそれってな」
「強いわよね」
「飯作れるってな、それだけでな」
「強いわよね」
「あたしも将来は」
 美優もだ、あのバイトの怖い外見の大学生のことから言う。
「飯作れる仕事になるか」
「美優ちゃんいつもそう言ってるわよね」
 琴乃がその美優に言ってきた、やはりジャムパンを食べながら。
「そうよね」
「ああ、あたし料理得意だからさ」
「大学に進学しても」
「栄養士とか調理師の資格取ってさ」
 そのうえでだというのだ。
「やっていきたいよ」
「そうなのね」
「そっちの学部進むよ」
 いつも言っている通りに、というのだ。
「大学は」
「いいことね、私はやっぱり」
「琴乃ちゃんは経済学部よね」
 里香その琴乃に言う。
「そうよね」
「そのつもりなの」
「経済学部で何を勉強するの?」
「ううん、そこまではね」 
 考えていないとだ、琴乃は首を傾げさせながら里香に答えた。
「まだ考えてないの」
「そうなの」
「前にも言った気がするけれど文学部に行ってね」
 そして、というのだ。
「それで資格取ろうかなってね」
「先生とか図書館の」
「そう、そういうのもどうかなってね」
「前はそっちって言ってなかった?」
「そうよね、そういえば」
「だまどっちかは考えてないのね」
「そうなの」
 まだ首を傾げさせつつ言う琴乃だった。
「どうしようかしら」
「それ私もなのよね」
 彩夏も首を傾げさせて言う。
「どうしようかしら」
「大学行くにしても」
「ええ、将来のことも考えると」
「悩むわよね」
「どうしてもね」
 このことは避けられなかった、将来は何時か現実になるものだ。それと向かい合うとどうしてもだった、二人にしても。
「どうしようかしら」
「どの学部に行って何をするか」
「それよね」
「どうするかなのよ」
「何ならね」 
 景子が悩む二人に言って来た。
「宗教学部行ってね」
「それで巫女さんに?」
「そうなったらっていうのね」
「そういうのもどう?」
 これが景子の提案だった。
「お坊さん、尼さんだけれど」
「そっちの資格もなの」
「貰えるのね」
「他にもキリスト教とか天理教とか」
 こういった宗教の関係者の資格もだというのだ。、
「うちの学園の大学色々貰えるからね、そっちも」
「だからなのね」
「それで」
「そう、考えてみたら?」
 宗教関係者もだというのだ。
「そちらの道もね」
「ううん、巫女さんねえ」
「尼さんとか」
「そちらも将来よ」
 人生の選択肢としてあるというのだ。
「私はそっちに進むつもりだから」
「景子ちゃんのお家神主さんだしね」
「やっぱりそうなるわね」
「そうなの、将来は多分だけれど」
「神社の奥さんね」
「そっちよね」
「神社の奥さんも大変だけれどね」
 お寺や神社、教会は奥さんが裏方であり家事も全部取り仕切る。大変であることも当然のことである。 
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