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万華鏡

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第八十四話 リハーサルその五

「失敗したらな」
「その時はね」
「しまった、で終わらせて」
「すぐに再開ね」
「ああ、生だとな」
 どうしてもだった、そうした場でだと。
「あるからな、失敗」
「どうしてもね」
「けれどな」
 失敗はあってもだった。
「負けずにやるか」
「心がね」
「あと二日、リハーサルも終わったし」
「後はね」
「泣いても笑っても本番だしな」
「後は気合入れて演奏するだけね」
「やるだけだな」
 失敗はどうしても気になる、しかしだった。
「それだけだよ」
「そういうことね。それじゃあ」
 美優とここまで話してだ、そしてだった。
 琴乃は四人にだ、こうも言った。
「これからね」
「何か食べに行く?」
「お家に帰るまでに」
「何食べる?」
 まさにこれだった、琴乃が今言うことは。
「それで」
「私達こうした時は牛丼が多いわよね」
「何故かね」
「じゃあ今回もね」
「牛丼?」
「そうする?それとも他の何か食べる?」
「うどんどう?」
 里香が提案したのはこれだった。
「立ち食いのね」
「あっ、駅前の」
「あそこね」
「流石に女子高生は入らないかしら」
 言ったすぐ傍でだ、里香は苦笑いになってこうも言った。
「そうしたお店は」
「まあね、普通のおうどん屋さんならともかくね」
「立ち食いはね」
「男の子ならともかくね」
「女の子はな」
 四人も微妙な顔になって里香に答える。
「ちょっとね」
「女の子はね」
「やっぱりね」
「ああしたお店はさ」
「そうよね。じゃあな」
 里香もだ、四人の話を受けてこう返した。
「パンにしましょう」
「そっちね」
「軽くなのね」
「ええ、立ち食いのおうどんじゃなくて」
 それならというのだ。
「パンにしよう」
「パンを買ってね」
「それで食べながらね」
「お家に帰るのね」
「そうしましょう」
 こう提案するのだった。
「あれなら軽いしね」
「サンドイッチとかでもね」
「手に持って歩きながらでもいいし」
「それじゃあね」
「それな」
「丁渡ね」
 里香が右手を見るとだ、そこにだった。
 パン屋があった、それで四人に言った。
「あそこよくない?」
「ああ、あそこのお店さ」
 美優が笑顔でその里香に答えた。 
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