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万華鏡

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第八十四話 リハーサルその四

「どうでもいいっていう気持ちになるからな」
「お世話になったからね」
「よくしてもらったからね、何かと」
「だったらね」
「是非によね」
「ああ、そうした人達だからな」
 それでだった。
「最高のライブでな」
「送らせてもらいましょう」
「最高のライブにしてね」
 全員でだ、こう話してだった。
 そのうえでだった、普段のプラネッツの五人だけではなかったが車座になってだ。手は重ね合わせな方が。
 笑顔でだ、こう言い合った。
「じゃあ明後日」
「本番頑張りましょう」
 このことを約束してだった、そうしてだった。
 リハーサルを終えて解散となった、プラネッツの五人は一緒に帰りながら今度はこうした話をした。勿論既に制服に着替えてそのうえで帰っている。
 琴乃がだ、こう四人に言った。
「いい娘達よね」
「負けん気強いけれどね、どの娘も」
「それでもね」
「負けん気が強いのは私達もだしね」
 お互い様だというのだ、このことは。
「それは」
「うん、そう言うとね」
「一緒よね」
 景子と彩夏がそうだとだ、琴乃に応える。
「負けたくないから」
「絶対に」
「うん、負けたくないけれど」
 それと共にだった、琴乃達は。
「それでも潰すんじゃなくて」
「それバンドじゃないわよね」
 里香は文化系だがそれでもだった、スポーツマンシップめいたものを出してそのうえで琴乃に対して言った。
「相手を潰すとか」
「そう、それはね」
「競うのよね、バンドは」
「お互いにね、特に今回のライブは」
「ええ、潰すんじゃなくて」
 そうではなくだった。
「競ってね」
「そうしていいライブにしないとね」
「いい音楽を歌って演奏し合うものなのよ」
 そうだというのだ、ライブは。
「だからね」
「競ってね」
「それでいいライブにしておこう」
「そうしようね」
「先輩達を送る為だからな」
 美優も言う。
「最高のライブにするか」
「これまで以上のね」
「絶対にな」
「失敗しても」
「部長さん達言ってたからな」
「失敗してもね」
「それで固まらずに、だったよな」
 美優はこのことをだ、琴乃に応えて言った。
「すぐに続けて」
「ライブに失敗は付きものだからって」
「そういえばそうだよな」
「うん、私達だってね」
 プラネッツの五人もだった、これまでのライブで何度か失敗してきている。大きな失敗も小さな失敗もどちらもだ。
「楽器落としたりとか」
「演奏ド忘れとかな」
「歌うパート間違えたりとか」
「そういうのあったからな」
「確かに失敗しないに越したことはないけれど」
「それでもな」
 失敗はある、だが問題はその時だった。美優は部長達に言われたそのことを自分の心の中で反芻しながら言った。 
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