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ハイスクールD×D異伝 異なる兵士の物語

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芽生える小さなモノ

 
前書き
続きですー。今回は短めですが宜しくお願いします!






 

 



利香ちゃんを家まで送り届けたのは日も落ちた時間になってしまった、それでも彼女の家に着いた際には彼女のご両親が玄関の前に待っていてくれて笑顔の利香ちゃんを見て丁寧にお礼を言われた


「ご両親も色々と思うところあったのでしょう」

「そうですね、でも結局は俺が何かしたわけではないですし…お礼を言われる程では無かった様な気もします」


結果として最後に受け入れることが出来たのは彼女自身が強く賢かったからだろう、ひとしきり泣き終え「もう大丈夫」と言った彼女の表情は今でも離れず目に焼き付いている


「人の心を救った感想は如何かしら?」


またこの人はからかう様な表情でそういう事を言う…心を救ったかぁ、そんな実感は無いんだよな


「心を救うとかそんなんじゃないと思いますけど、それでも最後に彼女が笑ってくれて良かったと思います」

「キスのご褒美も頂けたしね?」


先輩はクスリと笑う、最後にお礼がしたいと言われて、言われるがまま屈んだ俺の頬に彼女がキスのご褒美をくれた


「ご両親の前でですからね、変な緊張感がありました…」

「あの娘はすっかり貴方のファンになっていたし、将来が楽しみじゃない?」

「何の楽しみですか…俺にそんな趣味はないですよ」


馬鹿みたいな話をしながら学園近くまで先輩を送り届ける、彼女の住居は学園から直ぐ近くにあるらしい


「此処までで良いわ、ありがとう」

「そうですか…今日は色々とありがとうございました」


元は俺の我儘みたいな物だったし、利香ちゃんのご両親に話を通してくれたし、先輩がいなければ利香ちゃんが笑顔に戻る事も無かったかもしれない


「ねぇ、幸生?」

「はい?なんでしょう?」


先輩は改まって俺に向き直り真剣な眼差しを向ける、綺麗な青色の瞳が俺を捉えていた


「貴方が今日彼女にした事は誇れる事だと思うわ」

「誇るだなんてそんな…」

「いいえ、他人の為を思い、何かしようと行動に移し、結果貴方は彼女を救ったのだもの…本当に凄い事だと思うわ」

「あ、ありがとうございます」


いまだ俺をジッと見つめたまま、先輩は真剣にそんな事を言うのだから俺は照れてしまってまともに彼女の目を見られない


「貴方の姿勢はとても素晴らしく尊敬に値する事だと思うの」

「は、はい」

「だからこそ今日の事を誇りにして、忘れないでいてほしい…そうすれば何時か…」

「先輩?」


何だか最後の方は聞き取れなかったけど、先輩が何を伝えたかったのかは汲み取れた気がする、今日の気持ちを忘れずに今後も頑張れみたいな事だろう、しかしさっきまで真っ直ぐに俺を見ていた先輩が俯いてしまった…俺何かしたかな?


「何でも無いわ、今後も誰かの為を想える貴方であって頂戴ね」

「はい!」


誰かを想うか…実際言われてみてもピンと来ないけど、もし先輩の言う通りに今日の俺の行いで利香ちゃんの心が少しでも救われていたのだとしたら嬉しい事だ


「人の心を救い、弱き者に手を差し伸べる悪魔なんて前代未聞だけれどね」

「弱き者に、手を…」

「それでは、また学園でね?」

「は、はい!お疲れ様でした!」

「お疲れ様」


先輩と別れ一人歩く、俺は彼女の言葉を思い出しながらゆっくりと家路に着いたのだった








人の心を救い、弱き者に手を差し伸べる悪魔…そんな正義の味方の様な存在に俺はなれるのだろうか














◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇














「聖母の微笑…アーシアの力があれば私は至高の存在に至れる、あの方々に愛される存在になれる…」

「レイナーレ?」

「ユリア…いつの間に入って来たの?気づかなかったわ」

「さっき、ノックもしたけれど返事は無かった」

「そう、それで?何か用?」

「うぅん…特に用は無いけれど…」

「用が無いのなら出てって頂戴、儀式の準備で忙しいのよ」

「うん…」


邪魔という事だろう、ハッキリとそう言わないのは彼女の優しさだろうか、最近のレイナーレは危機的で放っておけない


「レイナ?」

「なによ」

「聖母の微笑でレイナは本当に至高の存在に至れる?」

「今更何を言うのかと思えば…そんなの当り前じゃない、あんたにはあの力の凄さが判らないのかしら?」

「善も悪も救う力を持つ、癒しの力…力の凄さは理解している、神の思想を表したかのような神器…堕天使の力と併せ持つ事が出来れば…凄い事になる」

「判ってるじゃない」

「『力』は強くなる…でも『レイナ』は強くなれる?」

「あんた…あたしに何が言いたいわけ?」

「…何でも無い…お休みなさい…」

「…ふん」


今のレイナーレは目の前の力に心奪われ大事な物を見落としている様な気がする…時折見せる狂気の瞳は永く友である自分から見ても危うく写る


「それでも…」


彼女が力を望むのであれば、自分の全てを賭けて協力しよう、変わり者の自分を救ってくれた彼女の為…

彼女の目指す至高の存在、何を指して至高なのか自分にはハッキリと判らないがもしかしたら何れ判る事なのかもしれない


「だが…」


ここ最近の胸騒ぎは何だろうか、儀式が近いからか?


「レイナは強くなる…」


そして示してくれる筈だ、彼女の言う至高の存在とはこういう事だと、実現まであと僅か恐らく胸騒ぎも迷いから来るのかもしれない


「迷いなど無い」


今日も自分は宵闇に消える、魔力を高める為の狩りへ…この地域には悪魔が多い故に退屈はしない

心を閉ざし獲物を狩り続ければ迷いも晴れるだろう







 
 

 
後書き


はい!短いですが今回はこんな感じです!次は原作組を出そうか神器覚醒が先か迷い中です! 
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