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DQ3 そして現実へ…  (リュカ伝その2)

作者:あちゃ
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相手が悪い

<エコナバーグ>

リュカ達は劇場から退散しようとしている。
劇場内は飲食が出来る事になっているのだが、碌な食べ物も無いし飲み物は殆ど酒…
しかも有料で、値段が割り増し…
極めつけは元カノーツ&エイカーファンが、隙あらばリュカに擦り寄ってくる為、大変居心地が悪いのだ!

「客として来たのに、歌って帰るってどういう事?」
「リュカ…格好良かったわ♡」
「ええ!凄く素敵でした♡」
文句を言いながら歩くリュカの右腕にはビアンカが、左腕にはハツキが抱き付きフェロモンを過剰に分泌させている。

リュカ達が出入り口前の受付を通り過ぎようとした時、若い受付嬢が行く手を遮り話しかけてきた。
「お楽しみ頂きありがとうございます。本日の『カノーツ&エイカー 歌謡ショウ』の観賞料は50000ゴールドです。お支払いをお願いします」

「な!?か、金取るなら最初に言ってよね!何処にも何も書いて無いじゃない!」
50000ゴールドと法外な値段に、アルルが驚き激怒する。
「書いて無くても決まりです。ショウを観たら、料金を払うのが当然でしょう!お支払い頂けないのであれば、此方としても実力行使に出ざるを得ませんが…」

アルルを始め、皆が実力行使に実力行使で対抗するつもりであったのだが…
「あはははははは!払ってやろうよアルル。ただ見は良くない!正当な言い分だ!」
「そちらの紳士様はご理解しておいでの様で…」
「リュ、リュカさん!?」
リュカの言葉に皆が驚く…ビアンカ以外が。

「そう…ただ見はダメだ!僕も先程、ステージで歌を披露したんだよね…」
「は…はぁ…」
受付嬢は不思議そうにリュカを見る。
「まぁ、3曲だけだから、オマケしても良いよ。…500000000ゴールドに!」
「ご、5億!!!?」
法外という言葉がアホくさくなる金額を提示するリュカ…

「払えよ!あのチンケなショウに50000払ってやるから、僕の『超イケメン歌手 リュー君オンステージ』に500000000ゴールド!払わないと実力行使に出るぞ!」
「な、何をふざけた事を…勝手に歌っただけでしょう!」
「『ショウを観たら、料金を払うのが当然でしょう!』って事だよね。払えよコラ!」
先程まで笑顔だったリュカの顔から笑顔が消え、無表情だった受付嬢の顔から恐怖が滲み出てきた。
「オ、オーナー!オーナー!!」
受付嬢は慌てて奥に向けて叫ぶ。


奥からはオーナーらしき小柄で目つきの悪い男が、大柄で筋肉質な男を4人従え現れた。
「おやおや…どうしましたか?トラブルのようですねぇ…」
「そ、その…此方のお客様が…」
受付嬢はオーナーに近付き、小声で状況を説明する。

話を聞いたオーナーは、顔を青くしリュカへと向き直る。
「非常識な…そんな子供の理屈が通じると思ってるのですか!?」
「ゴチャゴチャうるせーな!さっさと実力行使に出れば良いだろ!」
問答する事すら面倒になったリュカは、大柄な男4人を嗾ける様に促した!
それを聞いた1人が、勢い良くリュカに突進する……………が、見た目軽く平手打ちをしただけで、出入り口のドアを突き破り、外へと大きく吹き飛ばされた!
それを見た残り3人が一斉に襲いかかるが……………

「イオ」
誰も居ない壁に向けてマリーがイオを唱え、壁を天井ごと吹き飛ばし脅しをかけた。
「お!マリー…手加減が上手くなったね!」
「日々精進してますから!それにこんな所でイオナズンを唱えたら、私まで怪我しちゃうし!」
吹き飛んでしまった壁 (が有った場所)を見て、固まるオーナー達。
「おいコラ!さっさと払え!今すぐ払え!全額揃えて払え!」
今までボッタクりに対し、文句を言い渋る客は居ても、逆にボッタクろうとする客は居なかった…

オーナーは流石に相手が悪かったと判断し、被害を最小限に抑える事に転じる。
「た、大変申し訳ございませんでした。確かにお客様方に対しては、料金のご説明をしてませんでした。これは当方のミスでございます。従って今回は無料という事で…」
「え!?良いの?50000ゴールド払わなくて良いの?」
「はい!」
「アルル、良かったね…無料だってさ!」
リュカの顔に笑顔が戻る…
それを見たオーナーの顔にも危機が去った事への安堵が見える…

「じゃぁ、僕の歌を聴いた料金を払え!500000000ゴールドだ、払え!!」
危機は去っていなかった!
満面の笑みでオーナーに近付くと、肩を抱き支払いを要求するリュカ。
「な、何を…当方は譲歩したではないですか!」
「それはそっちの勝手だろ!?こっちは請求を止める気は無い!払え!」
リュカが交渉に応じる気の無い事を悟るオーナー…
「ぐっ…しょ、少々お待ち下さい」
オーナーは従えた男達に目で合図を送ると、彼等は急ぎ劇場から出て行った。



「一体何事や!急にウチを呼び付けて…」
先程慌てて出て行った男に連れてこられたのはエコナだった!
エコナはリュカの姿を見るなり、バツが悪そうに顔を顰め目を逸らす。
「お忙しいところ申し訳ございません!実はこの方達がとんでもない言い掛かりを付ける故、エコナ様のお力を頼らせてもらう次第です」

「………何があったんや………?」
可能な限り関わりたくない…
そう思うも、この町の長として問題事から逃げるわけにもいかず、渋々劇場オーナーの話を聞く事に…
よりによって相手はリュカだ!
エコナも劇場側に原因があるだろうとは思っている…
だが問題を大きくしたのは、間違いなくリュカである事も見当が付いている…
リュカは手加減しないだろう…例え相手がエコナでも…


 
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