ドリトル先生と悩める画家
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第六幕その十二
「古都だったね」
「よくご存知ですね」
「日本の首都も変わってきているんだよね」
その長い歴史、もっと言えば平安京まではそうでした。
「何かとね」
「そうなんです、これが」
「だから大阪に都があった時もあったね」
「飛鳥時代ですね」
「あちこち移っていたね」
「それで奈良もでした」
平城京です。
「都でした」
「あそこも素晴らしいね」
「奈良もですね」
「うん、本当にね」
「奈良も行かれてるんですね」
「歴史学と宗教学、あと芸術でもね」
様々な学問のフィールドワークの為にというのです。
「行ったよ」
「そうだったんですね」
「うん、やっぱりね」
「やっぱり?」
「そうした場所を巡ることは最高だよ」
「楽しく学ぶ為に」
「とてもいいよ、大仏殿にも行って」
東大寺の、です。
「その目で見て驚いたよ」
「大きいからですね」
「よくあれだけのものを造ったよ」
「あの大仏さんが三代目なんですよね」
「そうだね、そのこともね」
「ご存知ですね」
「うん、初代はよくね」
しみじみとした口調になってです、先生は言いました。
「あの時代にあれだけのものを築けたよ」
「そのことを考えるとですか」
「これまた凄いよ、だからまた機会があれば」
「奈良にもですね」
「行かせてもらうよ」
是非にというのです、そうしたお話をです。
先生は太田さんとしました、そしてそのお話の後で、でした。太田さんは講堂に向かいました。そしてその後で、でした。
動物の皆は研究室に残ってまた論文を書く先生に尋ねました。
「奈良の大仏さんね」
「あれ立ち上がらないわよね」
「それで動いたりとかは」
「しないよね」
「ははは、そうした造りにはなってないからね」
先生もそこは笑って否定しました。
「安心してね」
「特撮みたいなことはないんだ」
「悪いことしたら立ち上がって踏み潰してくるとかないんだね」
「今にもそんなことしそうだけれど」
「周りの四つの仏像さん達も」
「四天王だね、あの像達も動かないからね」
先生はこのこともお話しました。
「そうしたことはないから」
「いや、あの大きさ見てたら」
「今にもって思うけれど」
「それはないんだ」
「安心していいのね」
「特撮みたいなことはないって」
「そう思う人は多いかも知れないけれど」
特に子供さん達に多いかも知れないとです、先生は思うのでした。そんなことを思いつつ動物の皆にお話していきます。
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