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竜から妖精へ………

作者:じーくw
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第1話 出会い




~X778年 11月~



――物語の舞台は フィオーレ王国。

 人口1700万の永世中立国であり、そこは魔法の世界。 魔法と言うモノは、普通に売買され、人々の生活に欠かせるものでなく、根付いていた。そして、その魔法を駆使して生業とする者共がいる。

 人々は、彼らを魔導師と呼んだ。

 魔導師達は、様々な魔導師ギルド、即ち組織に所属し その 依頼に応じて仕事をする、と言う職業である。そのギルドは国内に多数存在する。


 そして、とある街に、とある魔導師ギルドがある。

 かつて、いや 後々に至るまで 数々の伝説を残したギルド。その名は。




――妖精の尻尾(フェアリーテイル)














 この場所は、フィオーレ王国・マグノリアの街の外れにある渓谷。

 荒地となっている場所で、人が暮らせる様な場所ではなく、満足な移動も出来ない。まだまだ、開拓されていない土地。かつて、この場所はギルドが管轄していた場所らしいのだが、本当であるかどうか、定かではない。

「ふぃ~……やっぱり歩きづれぇな……。やれやれ、靴がボロボロになっちまうよ」

 整備しているわけでもない自然の道。普通に考えてこの場所にいる理由が見当たらないのだ。

「何でまたんな場所に拘ってんのかね……そのガキ(・・)って 奴は……」

 右手で、頭をぼりぼりと掻きむしりつつ、先へと進んでいく。

 そう、この場所に来たのには理由がある。……これは仕事なのだ。ギルドの。













~マグノリア・魔導師ギルド~



 この場所は、いつもいつも賑やかな場所。
 ギルドの外にいても、その騒がしさは昼夜問わずであり、活気づいている場所だ。街でも名物となっており、人々にも慕われている。……ただただ、元気が有り余りすぎて、色んな物を壊したりするのはやめてもらいたい、と言うのは、ギルドの()の存在の心の声。

 そんなギルドに、大きな仕事、1つを終わらせ 帰還した魔導師がいた。仕事の完了・失敗を問わず、ギルドに報告する義務があるのだ。


『おぉ~~い。ギルダーツ!』

 そう、帰ってきた魔導師の名は、ギルダーツと言う名。……ギルドNo.1と名高い魔導師である。その男を呼んだのはギルドの酒場のカウンターに腰掛けていた老人である。

『なんだ? マスター』

 その老人こそが、このギルドの長だ。
 ギルドに所属をしている魔導師達は、皆 彼の事を父親の様に慕っている。
 
『すまんが、1つ頼まれてくれんか? ちょいと面倒な事が起きた様なんじゃ。……帰ってきたばかりで 申し訳ないんじゃが』
『ん? 別に構わねぇぜ。肩透かしだったしな。今回の仕事は』

 笑いながらそう言うギルダーツ。彼がする仕事は、一流の魔導師でも成功率の低いものであり、様々なギルドに転々としてきた依頼書の1つであり、その高難易度の仕事を《S級依頼(クエスト)》と読呼んでいる。それを『肩透かし』と言ってのける程の実力がある魔導師なのである。

『そうか。悪いのぉ』
『構わねぇって。で、依頼の内容は何なんだ?』
『保護を頼みたい』
『ああ。判っ……って、保護ぉ?』

 そのマスターの言葉を訊いて、ギルダーツ目を丸くさせた。
 高難易度と呼ばれる所以の依頼は、大小問わず、大体が討伐依頼だったりする。或いは、高度魔法の解除と言ったもので、強大な力を持つ魔導師でなければ、解決不能とさえ呼ばれている物なのだ。

 だからこそ、《保護》と言う言葉に少なからず驚いた。

『なんだ? 暴れまわっているモンスターの保護、だったりすんのか?』

 勿論、例外は存在する。
 それは、絶滅危惧種に分類されるモンスター達の存在だ。凶悪モンスターの討伐依頼も当然ながら、あるのだが、その中で質の悪い事で有名なのが、捕獲の依頼だ。始末するだけでなく、五体満足の状態で捕まえなければならないから、神経を使うと言うのが一番の理由である。

『うぅ~む。言い得て妙、じゃが違う。……子供の保護じゃ。人間の、の』
『……はぁ? 子供?』
『ま、驚くのも無理ないが、聞いとくれ。ちと厄介と言った意味が判る筈じゃ』

 マスターは、ちょいちょい、と手を振って座るのを催促した。


 座って訊いてみたギルダーツ。

 
 話はこうだ。つい先日の事、マグノリアの外れの場所にて、魔法評議会が保有する《魔力感知魔水晶(ラクリマ)》が強く感知したとの事だった。誤作動の可能性があるのだが、万が一の事を考えて、直ぐに捜索隊を編成し 派遣した。

 その魔力の発生地点へと趣いてみると……。

『そこに、ガキがいた、と』
『うむ……。そうなんじゃ。ただ、それだけなら 問題ないんじゃが……。なんというか、そのガキは 評議会の連中を、追い返したそうなんじゃ。……結構強硬手段使っての』
『……ガキが大人をか?』
『うむ。評議会のメンツや、その捜索隊のメンツもあったんじゃろうな。色々と突っかかっていった様じゃが……、尽く返り打ち。それも 手酷く、な』
『まさかだが、殺っちまった……なんて事はねぇよな?』
『なら、保護依頼でなく、討伐依頼が来るわい。それは無い。……ただ、内密に 迅速に措置を、と言われたんじゃよ。……ったく、ええ大人がガキ相手に情けないのぉ……』

 今回の依頼、仕事とは言え 受ける側も複雑、と言えばそうなのだ。
 ギルドに所属する魔導師達は、皆マスターにとっては子供の様なもの。親の気持ちはよく分かっているのだ。だからこそ、子供にヤられて返り打ちにされて、手段を選ばないやり方に、複雑、と言うより怒りが沸くと言うものだった。

『それで、引き受ける代わりに、ウチで引き取る、と言う事を快諾させたんじゃ。ま、そのガキ次第、とは思うがの』
『そりゃそうだ。まぁ そう言う事なら 任せてくれよ。マスター』

 ギルダーツは2つ返事で承諾した。

『すまんの。ギルダーツ』
『なーに。確かに内情は複雑かもしれねぇけど。ちょっとばかり、ワクワクしてきたぜ。……ウチにもガキは多いが、一味違う感じがするからな』

 ギルダーツはそう言うと立ち上がった。

『じゃあ、いってくる。マスター』
『頼んだわい』

 ギルダーツは手を上げ、立ち上がった。

 そして、ギルドの外へと出て行こうとした時だ。


『ぎるだーーーーつ!! しょーぶしろーーー!!!』

 
 1人の少年が、ギルダーツに飛びかかってきた。
 その拳には炎が宿っている。いや、炎を纏わせていた。

『おー、ナツ。悪いな。また、仕事入っちまってよ?』
『二ヶ月前もそーだっただろーー! いい加減しょーぶだ!!』

 炎の拳をギルダーツに撃ち放つが、掌で受け止められたと同時に、その炎が消失。

『大丈夫だって、今度は。仕事、終わったらな』

 そう言うと同時に、軽くナツと呼ばれた少年を手で押す。押したと同時に、あまりに力が強過ぎるのだろうか、あっと言う間にナツは吹き飛び。

「ごべぇっっ!!」

 ギルドの支柱の1つに激突して めり込んでしまっていた。


















 つまり、そう言う依頼が来たと言う事が始まりであり、ギルドに依頼がきた以上は、そして依頼を引き受けた以上は完遂しなければならないだろう。それが魔導師の誇りでもあるのだから。

 そして、何よりも ギルダーツ自身に、少なからずその《ガキ》に興味が尽きないのも事実だった。



 暫く峡谷進んでいくと、その狭い道を塞ぐ大岩が目の前にあった。

「…っとと、邪魔だな? この岩………」

 それは、まるで行く手を阻むかのような巨大な岩だ。ギルダーツは、その岩に手を付けたと同時に。大岩に光の亀裂が生まれる。そして、次の瞬間には、けたましい音を発しながら、大岩はあっという間に、細切れになった。砕けた、と言う表現が一番あてはまるだろう。


「はぁ……しっかし、これで一体何個目だ? 岩壊したのは」

 そう、今回の大岩が初めて、という訳ではない。この峡谷について 依頼内容にあった場所に向かう道中で、何度も同じ大きさの岩を次々と壊しているのだ。

 それは、ギルダーツの使用する超上級破壊魔法《クラッシュ》で。

 別に壊すのはまったく問題ないし、疲労感も全く無い。
 そもそも彼は無意識に街を壊してしまうほど使いこなしてる? からだ。使いこなしている? と言うより、暴走させている感じがするが、それはご愛嬌だ。皆周知の事だから。

 
 問題は、大岩を壊した数。それが 異常だったのだ。その配置も不自然極まりない。左右の崖が崩れ、落石した訳でもない。岩質が全く違うのだ。……運んできた、と言うのが一番しっくりとくる。


「(まさか……これ全部……、例のガキが? 1人でやった、っていうのか??)」


 そう考えるのも無理は無い。行く手を阻むかのように設置されているのだから。そして、数の多さから、彼のように破壊に長けている魔法じゃなければなかなか進む事はままらないだろう。


 ましてや……、この先には何も無いのだ。地図にも記載されていない。殆ど未開の地なのだから。


「へぇ……やっぱおもしれぇな……久しくなかったぜ? こんな感じがすんのはよ……」


 ギルダーツは、含み笑いをしていた。岩の数も異常、そして大きさもかなりの物であり、評議会が派遣した者達が、ボコボコにされてから、そんなに時間は経っていないのだ。

 そして、依頼書には、場所にこんなに岩があるなんて記載されてなかった。もしもある、と言うのなら、その派遣された連中がどかしている事だろう。

 つまり、以上の状況から、最近作ったと考えられる。



 その後も、ギルダーツが岩を破壊する音が絶えることは無かった。



















~????????~






 その場所は、渓谷の最奥。これまでの通路の狭さを考えたら、かなり広い場所だ。その場所にある、平べったい岩に、座っている者がいた。ゆっくりと顔を上げた。

「……ほんとにしつこい…… オレは ここから動かないっていって言ってるのに……」

 そう、大きな音が峡谷に響き渡る。その発生源、そして その数を考えたらよく判る。何が起きているのかが。だからこそ、ため息が出てしまうのだ。


 だが、それ以上に思う事はあった。


「……今回の相手、かなりやばそうだ。……尋常じゃない魔力を感じる。それに、この音。回数」




“キィィィィィィィィィン………ズガァァァァァン!!”




 さっきからこの場所に届いてる破裂している様な音。そう、大岩破壊している音だと言う事は直ぐに判った。


「……もう15回、ああ、16回目も。 はぁ……しまった……。あの岩がそのままこの場所への道しるべになってしまうよ……」

 この場所にまでの、進入を阻むように設置したのだが、まさかこんなに早く来るともこられるとも思っていない。あの規模の大きな岩をここまで早くに壊せるとは思えないだろう。

 だからこそ、この場所に近づいてきている者は、只者じゃない。


――……間違いなく、これまで来た連中より格段に。


 彼はゆっくりと立ち上がった。

「それでも……オレはこの場から動きたくないんだ……」


 そういうと同時に、『ひょっとしたら……ここで殺られるかもしれない』と、頭の中で考えていた。それでも、そう考えてしまっても尚。

『この場所から離れる』
『この場所から逃げる』
 
 それらの選択肢は……、彼には一切無かったようだ。


 そして、ゆっくりと視線を奥へと向けた。もう、破壊する音は聞こえない。……設置した数の分だけ、鳴り終えていたから。



「………誰?」



 奥に気配も感じた。だからこそ、彼は身構えながら、そう言っていた。

 そう、もう来ていた。……ギルドNo,1の魔導師が。











 














 岩を次々と破壊をしていたギルダーツだったが、幾ら破壊の魔法を得意としているギルダーツでも、いい加減岩はもう鬱陶しい。そろそろうんざりだ。と考えていた時だ。



「…………誰?」



 奥から、子供のものと思われる声が聞こえてきた。どうやら、道は合っていたようだ。


「よぉ……」

 
 ギルダーツが視線を向けた先。自然で出来た岩のアーチを潜った先。その場所は結構開けた場所だった。そこには、依頼の内容通り子供がいた。

 ギルドのガキと同じくらい、目算出来る年齢だ。

 正面から、子供を見据えたギルダーツは、ゆっくりと歩き、足を止めた。

「……お前さんに会いにきたんだ」

 ギルダーツはそう聞いた。

「……なんで?」

 子供は、聞き返した。この場所にくる理由が知りたかったから。……詳しく。だが、考えられる理由は決して多くはない。

「……オレが追い返した連中の差し金?」

 この場所を知っている者であり、それは追い返してきた連中が呼んできた。その理由が 高確率で、当たっているだろうと思える。

「ははっ……察しがいいな。まあ、否定はしないさ。ただ……」

 ギルダーツは、その言葉を訊いて笑っていた。頭の回転の速さにも驚いた様子だった。

「オレ自身が、お前さんに興味が沸いた……。ってのもあるんだぜ?」
「……そう、でも、オレはアンタに興味ない。悪いけど帰ってもらえる? 何を言われても、オレはこの場所から動くつもりないから……、帰って その連中にも伝えてよ。無駄だって」

 その言葉を訊いたギルダーツは、笑うのを止めた。真剣な表情へと変わる。

「……はい判った。とは言えないんだ。オレも一応は依頼された身だからな。……悪いが、簡単には帰れねぇんだ」

 そう言うと同時に、身に宿している魔力を、外気へと開放した。強大な魔力は大地に振動を与える。まるで 地震が起きているかの様に、震える。

 それを見た少年も、変わった。
 表情こそ、変わらないが、明らかに臨戦態勢に入ったのは判る。

「……そう。アンタも、あの連中と同じなんだ。あの連中と………」

 そういうと同時に、少年も魔力を解放させた。それを見たギルダーツも思わず目を疑った。
 一回りも二回り小さい子供が、でかくなった、と感じたからだ。




 そして、話に沈黙が広がり、それに比例して魔力も力強くなっていく。


 あまりのプレッシャー故に、周囲の崖が耐えられなくなり、崩れ落ちた、次の瞬間だ。

 凄まじい衝撃音が周囲に迸ったのだ。


 それは、少年の拳とギルダーツの掌が激突したからだ。間合いは互いに3~4m程離れていたと言うのに、ものの一瞬で互いが間合いを詰めて、攻撃をした様だ。


 そのあまりにも強大なその衝撃は、辺りの地面、面している大地を捲り上げた。



「っ……!!」


 初めて、驚愕の表情をした。驚いているのは少年の方だった。
 何故なら……。

「へぇ……やっぱつええな… 聞いてたとおりだわ。すげぇすげぇ」

 渾身の力を込めて放った右拳を、笑顔で……、笑顔で拳を受け止めているのだから。

「ッ! こっのッ!!」

 今度は、蹴りを放った。ガラ空きの脇腹に向かって矢の様な蹴りを放つ。その風圧で、ギルダーツの後ろの岩が吹き飛ぶのだが、受け止めたギルダーツは吹き飛ばなかった。

 止めていた手とは反対の手で、少年の蹴りを受け止めていた。


「ふうっ…………。今のは結構痛かったぜぇ……? あー、手がいてぇ。さっきのパンチもそうだがな。うちのギルドの連中でもこれほどの奴はいねぇって思うよ。なぁ!」


 ギルダーツは、受け止めた拳に、クラッシュの魔法を放った。強大な魔力が拳を伝わり、少年の身体の中に撃ち放たれる。


「ぐっ!!」


 そのクラッシュの衝撃で、吹き飛ばされてしまった。
 崖に激突をしてしまったが、何とか受身を取る事はできた。


「(腕、が……)」


 クラッシュを受けた事で、完全に腕が痺れてしまい、その感覚が全く無くならなかった。つまり、暫くは使い物にならない。


「へぇ……。やっぱしすげぇな? 大人気なく魔法使っちまった……。って 思ったんだけどな……。食らっておいて、ぴんぴんしてる奴なんざ、初めて見たよ」

 ギルダーツは本当に驚いていた。

 最上級魔法である魔法(クラッシュ)を受けてあの程度。吹き飛ばされても ちゃんと受身を取り、且つ、萎える事などなく、こちらを睨み返している。

 全く衰えない闘争心。それも年端も行かない子供がだ。


「くくくく……」


 笑いが止まらなかった。伸びしろの塊だと思えたからだ。……末恐ろしいとも同時に思えた。

 笑っている間に、攻撃されたら、片腕しか使えない少年は絶体絶命だった。だが、相手は笑うだけで攻撃をしてこない。……恐らくだけど、腕が回復するまで待ってくれているんだろう、と言う事は判った。

 つまり、完全に舐められている、と言う事が判った。


「アンタ……これまでの大人とはまったくレベルが違うみたいだ」


 少年は、軽く腕を振りながらそう言った。待ってくれたお陰で、複雑だが、腕の感覚は戻ってきたのだ。

 例え大人が相手だとしても、自分よりも大きく、強い相手であろうとも、情けをかけられるのは好まない。

 だからこそ、少年は解放させた。右手と左手、その両の手を合わせて。



「……《オーバー・ドライブ》」



 少年が言った途端にだ。空間が歪んで見えた。否、強大な魔力が可視化され その影響で空間が歪んで見えたのだ。強く上昇していく魔力は、全てを巻き込む。魔力に重さが宿ったかの様に、届く範囲の重力が変わったのか? と思える程だ。

 ギルダーツも思わず身構えてしまった。

「へぇ………ってマジかよ………」

 これまで、驚いていた、とは言っても まだまだ十分すぎる程余裕を残していたギルダーツ。
 当然、大人が子供の相手をするのだから、ある程度は抑えていた、涼しい表情をしていたのだ。
 
 そんなギルダーツの額に汗を吹き出していた。その種類は冷たい汗と熱い汗の2種類。


「(まだ全力じゃねえって思ったが………。これほどとは、思わなかった。……コイツ、本当にガキか?)」


 先ほどの攻防。
 受け止めた手も、それなりに痛かったし、突き抜けた衝撃もかなり残っている。

 そして、今少年の周囲に迸っている、内包している力は、明らかに先ほどの非じゃない。先ほどの心構えで受け止めたら、彼方にまで吹き飛ばされてしまうだろう事は判った。



「アンタが只者じゃないってことは…初めからわかっていた。だから……、もう次は無いし、後の事は考えない。……ほんとの本気を出す。…オレはここを離れる訳にはいかない。……ここを、離れたくないんだ!」



 怒号の様な声が、周囲に響き 共に魔力も解き放たれる。

 今、第2ラウンドが始まろうとしていた。


 
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