ハイスクールD×D復讐と剥奪の王
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2話『復讐者とオカルト研究部』
~修弥Said~
あの堕天使達との接触から2日目。
出席日数を取るために俺は、朝から授業に出ていた。
必要な日数は午前だけだから、昼はいつものように屋上で過ごそうとしたのだが、今日は屋上に行く前に邪魔が入った。
「夜鞠君、少し付き合ってくれないかな?グレモリー先輩の使いなんだけど」
そう言って俺を呼び止めたのは、同じクラスの俺とは違う意味での有名人。
木場祐斗だった。
「知るか。邪魔だ。消えろ」
俺はそう言って屋上に向かおうとするが、教室のドアの前に木場が先回りし、再び止められる。
「わるいけど、もしもの時は力ずくでも連れてくるように言われているんだよね。だから、大人しく付いてきてくれないかな?」
「………力ずくか、ならしょうがないな」
俺がそう言うと、木場は俺が付いて行くと思ったのか歩きだした。
「なあ、木場」
「何かな、夜鞠くっ…ガッ」
ドガッ!
俺は振り向いた木場の頬を全力で殴った。
「力ずくで連れていくって言ったのはお前だ。だから、俺も少し抵抗させてもらう」
俺が木場を殴ったのが、廊下だったためか、近くの教室から色々な視線や声が聞こえてきた。
「俺を呼びにくるなら自分で来いって、グレモリーに伝えておけ」
俺はそれだけを言うと、屋上へと向かった。
その道中、兵藤とよくつるんでいる松田と元浜から感謝されたが、俺としてはどうでもよかった。
屋上へ到着した俺は、作っておいた弁当を食べながら、この前堕天使が逃げた方向にある怪しげな施設などを、スマホのマップ機能を使って確認していた。
「怪しい所は7ヵ所か………。しらみ潰しにまわるしかねぇな」
俺はそう呟きながら、何処から探すかを考えていた。
そんなことをしている間に、午後の授業が終わり、放課後にはいっていたようだ。
ガチャッ!
「やはり、ここにいましたか。夜鞠君」
屋上に入ってくるなりそう言ってきたのは生徒会長だった。
「何かようか?生徒会長」
「昼休みに同じクラスの木場くんに、暴力行為を行ったと聞いたもので」
「あれはあいつが力ずくでも連れていくって言ったからだ。そもそも俺は、お前等悪魔が嫌いなんだよ」
俺は生徒会長の前でそう言う。
「………私が悪魔であることを知っていたのですね」
「結構前から正体はわかってた。現状では、お前等が俺に危害を加えてこなかったら無視するつもりだった」
「………あなたの考えはわかりました。ですが、少しだけでもいいので、私についてきてくれませんか?」
今の生徒会長の言葉で俺は全てを理解した。
「なるほど、グレモリーは何がなんでも自分で俺のところには来ないつもりだってことか」
「リアスはああ見えて頑固なところがありますから」
「それなら、グレモリーよりかはまだ、生徒会長の方がほんの少しは信じれる」
俺は自分で言った言葉が信じられなかった。
なぜ、悪魔をほんの少しとはいえ信じられると言ったのか。
(話の流れが原因か?まあ、いい。このまま無視してれば、グレモリーがうるさいだけだしな)
俺はそう考えて返答した。
「今回限りだ、アンタについてくよ」
そう言った俺を生徒会長は旧校舎まで連れてきていた。
「オカルト研究部?悪魔がオカルトを研究って、普通違うだろ。悪魔は研究される方だろ」
旧校舎2階の奥の部屋まで連れてこられた俺は、ドアにかかれたプレートを見て、そう言っていた。
「中を見たら、たぶん呆れるでしょうね」
俺のとなりで生徒会長がそう言いながらドアを開けていた。
そして、俺はその部屋の中を見た。
部屋の所々に描かれている魔方陣らしきものや、洋館をイメージしたかのような家具一式などが置いてある部屋の内容に、俺は本当に呆れていた。
「趣味の悪い部屋だな。いかにも悪魔が好きそうなとこだ」
周りの目を気にせず、俺はそう言った。
「やっと、来たのね。夜鞠修弥君?」
そう言ってきたのはやけにキメ顔のグレモリーだった。
「べつに来たくて来たわけじゃねぇよ。お前らがうるさいから態々来てやったんだ。少しは感謝をしやがれ」
俺はそう言ってグレモリーを睨む。
「そうね。あなたが私の質問に答えてくれたら、感謝してあげるわ」
「なら、しなくていい。お前の質問に答えるつもりはないからな」
俺がそう言うと、微かにグレモリーの表情が歪んだ。
「そう。……なら、あなたには忘れてもらうしかないようね」
「………やっぱり、俺は悪魔が嫌いだ。殺したいぐらいにな!」
「しゅ、修!落ち着けって!」
睨み合う俺とグレモリーの間に割って入ったのは、兵藤だった。
「何のつもりだ、兵藤」
「いや、このまま二人が言い合ってても話が始まらないと思って…」
この場でめずらしく的確なことを言う兵藤。
「ええ、イッセーの言うとおりね。私もつい頭に血が上ってしまったわ」
そう言って、冷静になるグルモリー。
だが、そんなことはどうでもいい。
「兵藤。俺は言った筈だ。来たくて来たわけじゃあないってな。そんな俺が話しなんてするわけがないだろ。ましてや、その相手が悪魔なら話すつもりはない」
「あなたはどうしてそこまで悪魔を憎んでいるの?」
どうして俺が、悪魔を憎んでいるかだと?
そんなこと、決まってる!
「お前ら悪魔が俺のっ!」
俺はそこで言いきるのを、堪えた。
それに、俺が突然声を荒げたのに驚いたのか、悪魔達が固まっている。
なぜ、俺がこいつらに言わなくてはならない。
俺の家族を殺したからだと。
第一にこいつらに俺の過去を知る権利なんてない。
「………俺の邪魔をするな。そして、これ以上俺に関わるな」
俺はそれだけを言い残し、オカルト研究部から出ていった。
旧校舎から出た俺は、改めて自分の目的を認識した。
いずれは、兵藤達とも戦うことになる。
もちろん、生徒会長とも戦う時はくる。
覚悟はもうできている。
あの時、目の前で父さんとかあさんが殺されたときに。
ーーーーーなのに、なんなんだ。
この少しだけ感じる違和感は。
俺はなにも間違っていない!
全てを復讐に捧げ、二人の仇を取る。
「…………そうだ、俺は間違ってない。復讐のためなら、俺はなんだってする。例え、俺が死ぬことになったとしても」
俺はそう呟き、昼に探していた堕天使のいそうな場所の一つへと向かった。
~一誠Said~
「お前ら悪魔が俺のっ!」
俺は修が部室から出ていった後、修が声を荒げたことを思い返していた。
修は今まで一度も、あんな風に怒ったことがなかった。
なのに、さっきの修は初めて見るけど、完全に怒っていた。
修、いったいお前は悪魔に何をされたんだよ?
俺はそんなことを考えながら、修の出ていった後を見ていた。
「ごめんなさいね、ソーナ。せっかく、呼んできてもらったのに」
「大丈夫ですよ、リアス。それにしてもリアスがあそこまで、夜鞠君と言い合うなんて珍しいですね」
俺が意識を切り替えると、部長と支取先輩がそんな話をしていた。
「彼とは相性が悪いのかしらね?私が最も苦手なタイプなのかもしれないわ。気づいたら、喧嘩腰な態度になってしまっていたし」
少し悲しげな表情の部長。
「確かにリアスも悪ふざけがすぎたけど、夜鞠君もあそこまで言う必要は無いはずです」
「そういうことは、私達よりもイッセーの方が詳しいんじゃない?」
二人の話に聞き入っていた俺は、急に話を振られて少し驚いた。
「いや、俺と修は確かに幼馴染みですけど、小学三年で修は引っ越してしまいましたし。それに修がこっちに戻ってきたのに気づいたのは、ここに来て三学期になった時だったので……」
「それでも、どこか変わったところとかはわからないの?」
「……変わったところって、そんなもの全部ですよ。修が引っ越すまで、今日みたいな態度は取らなかったし、もっと素直なやつでした。それがこっちで再会したら、あんな態度だし、俺のことも名前で呼んでくれないしで……」
俺は改めて修の事を知った気でいたことを痛感した。
「………そう。なら、悪魔と何かあったのはその引っ越し先と考えた方がいいわね。この件に関しては家で調査を頼んでみるわ」
そう言った部長は修のことを本気で知ろうとしているのが、伝わってきた。
本当に、お前はどうしちまったんだよ。
………………修。
後書き
次回、3話『復讐者とはぐれ悪魔』
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