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ハイスクールD×D復讐と剥奪の王

作者:夜鞠修弥
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1話『堕天使と復讐者』

~修弥Said~

家を出た俺はゆっくりと、駆王学園へと向かっていた。

周りには俺と同様に駆王学園の制服を着て、学園に向かっている生徒がたくさんいる。

「お~い、修!」

後ろから俺を呼ぶ声が聞こえる。

俺はその場に立ち止まると、後ろを振り返る。

「何のようだ、兵藤」

俺に声をかけてきたのは幼馴染みのイッセーこと、兵藤一誠だった。

「……いい加減昔みたいに俺のことをイッセーって呼んでくれよ、修」

「気が向いたらな」

俺は兵藤にそう言うと、すぐに別れて歩こうとする。

「ちょ、ちょっと待ってくれよ修!今日は修に紹介したい子がいるんだ」

「……俺に紹介したい子?」

「そうなんだよ。驚くなよ?…………実は俺に彼女ができたんだ」

「…………………………お前、頭大丈夫か?」

俺は兵藤が言った事が信じられなかった。

駆王学園で変態三人組で有名なこの兵藤に彼女ができたというのだから。

「い、いくらなんでもそれは酷いだろ」

「…………お前の今までの行動を考えながら、それが言えるか?」

俺がそう言ってると、兵藤の後ろから見慣れない制服を着た女子がこちらに走ってきた。

「あ、夕麻ちゃんだ」

「おはよう、イッセーくん」

「お、おはよう。夕麻ちゃん」

どうやら、目の前の女子が兵藤に告ったもの好きのようだ。

「紹介するよ、夕麻ちゃん。こいつは俺の幼馴染みで夜鞠修弥っていうんだ」

「修。こっちが俺の彼女の天野夕麻ちゃんだ」

「イッセーくんの彼女の天野夕麻です」

「……夜鞠修弥だ」

俺は差し出された手を取り、握手をする。

(っ!?こいつ!)

「どうしたんだ?修」

「……なんでもない。俺は先に行く」

俺はそう言って二人から、なるべく早く離れる。

二人から離れた俺は、先程天野夕麻と名のった女のことを考えていた。

(あの時、アイツに触れたときに感じた気配は間違いがない。…………堕天使、やっとだ!やっと、手掛かりを見つけた!)

俺は不適な笑みを自然と浮かべていた。

「お、おい。あれって」

「や、夜鞠!?」

「ば、バカ!?目を合わせるな!?」

俺は周りが騒がしいと思いながらも声のした方を見ると、視線が向けられているのは全て俺だった。

俺は然程気にせずに目の前の学園、駆王学園へと入っていく。

(……先程の視線にも慣れたもんだ)

先程俺に向けられた視線は仕方がないものだと俺は思う。

俺はこの学園に編入してからまともに授業を受けるのは、必要な出席日数を稼ぐためだけだからな。

そのためほとんどの授業は屋上でサボっている。

今日も俺は荷物だけを教室に置き、スマホを持って屋上に行く。

たいていの日は誰にも邪魔されずに、屋上で寝ることができる。

「………またサボりですか?夜鞠君」

どうやら今日は先客がいたようだ。

「………まあ、その通りだな。生徒会長」

屋上にいたのは、この駆王学園の生徒会長である支取蒼那だった。

「はぁ~。あなたは何度注意してもサボるのを諦める気はないんですね」

「必要最低限の授業には出席してるしな。それに、テストの方もそれなりにできてる筈だ」

「学年3位でそれなりですか。他の生徒からしてみれば羨ましいものですね」

それなりの勉強は事前にしておいたから、今の授業は受ける気がない。

正直にいえばそうなる。

「内容が簡単なだけだ」

「では、一日ぐらいちゃんと授業に出席してください」

「丁重にお断りします」

「…………では、ここではなくせめて生徒会室に来てください」

「一般生徒に生徒会の仕事を手伝えと?」

「いえ、せめてサボるのなら生徒会の監視のもとでお願いしますということです」

(生徒会長がサボりを見逃すのはどうかと思うが…………)

俺は内心、そう思いつつも考える。

「…………遠慮させてもらう。今日は一人になりたい気分なんだよ」

「何かあったんですか?」

「探してたものの手掛かりをやっと見つけたんだよ。だから、落ち着きたい。そんなことは生徒会長にだってあるだろ?」

「ええ。……そういうことなら今日は、見逃します」

「ああ、ありがとう」

俺がそう言ったのを聞くと、生徒会長は屋上から出ていった。

(………はぁ、悪魔の前じゃどうも落ち着かない。さっきもいつ、殺しにかかるかわからなかった)

俺は生徒会長が出ていったのを確認すると、そう思っていた。

俺がこの駆王学園に編入したのは、一年の二学期から。

そして、俺がこの学園の悪魔に気づいたのは一年の冬頃だった。

最初は間違いだと思っていたが、生徒会長と接触した際に間違いではないと確信した。

俺は父さんと母さんが殺されたあの日、二人を殺した悪魔と堕天使の気配のようなものを感覚が覚えてしまっていた。

だから、生徒会長が悪魔だということに気づいた。

だが、ここには生徒会長以外の悪魔も存在している。

いずれはその悪魔とも戦うことになりそうだ。

だが、全てはあの悪魔と堕天使を見つけてこの手で殺すため。

「フ、フフッ、フハハハハハハハ!やっとだ!ようやく仇を!」

(兵藤には悪いが、あの女には情報を聞き出して死んでもらう。全ては復讐のために!
)

俺は改めてその事を決意し、午前の授業を全て屋上でサボっていた。

そして、現在は昼休み。

俺はいつもと変わらないように、購買で買ったパン等を屋上で食べていた。

ガチャッ

「修、いるか~?」

屋上の扉が開いたと思うなり、兵藤が俺を呼んできた。

「何のようだ、兵藤」

俺は扉の方に向かい、そう言う。

「ああ、ちょっと修に相談したいことがあってな」

「俺に、相談?」

俺は不思議に思い、そう聞き返していた。

「夕麻ちゃんと明日デートするんだけど、どういうところに行けばいいのかとかいうアドバイスを欲しいんだけど…………」

(ちょうどいいな。兵藤が堕天使と別れるぐらいにあの堕天使を潰す)

俺はそう考え、利用するように答える。

「………わかった。あてになるかはわからないが、少しぐらいならいい店を知っている」

俺はその後、昼休みが終わるまで兵藤にオススメの店などを紹介し、時間をつぶした。

(全ては明日だ。……最後は兵藤が公園に行くと言っていたから、そこで接触する)

俺は復讐のために生きる。

これはあの日、父さんと母さんに誓った俺の心を縛るための鎖だ。

だが今ではそれは鎖ではなく、支えとしてそれは存在している。

(待っててくれ。父さん、母さん。俺は必ず悪魔と堕天使を殺すから!)

俺は心で二人にそう誓い、放課後までの時間を一人、屋上でつぶしていた。

























~イッセーSaid~

土曜日。

そう、俺が夕麻ちゃんと初めてデートする日だ。

朝から洋服の店に入ったり、ペットショップに入ったりと、デートを満喫していた。

そして、現在俺は夕麻ちゃんと修の教えてくれたカフェに来ていた。

「イッセー君はよくこのお店に来るの?」

「い、いや、俺も今日初めて来たんだ」

「へぇ~、でもこんなお店よく知ってたね?」

「ここは、俺の親友が教えてくれたんだ。ほら、この前紹介したよね。修のこと」

「へぇ~。夜鞠君って意外とこういうお店に詳しいのかな?」

「う~ん。俺もわからないけど、今度聞いてみるよ」

「ありがとう。私、こういうところ友達と行ってみたかったの。もちろん、イッセー君とはもっと素敵なところに行きたいけど」

俺はそう言った夕麻ちゃんにみとれていた。

「ん?私の顔に何かついてる?」

「い、いや、なにもついてないよ!?そ、それより、そろそろ行こうか?」

君にみとれいていた、そんな簡単な言葉なのに、俺は言うことができなかった。

そんなこともあったが、俺はなんとかデートの最終目的地である公園へとやってこれた。

「ねぇ、イッセー君。私のお願い、聞いてくれる?」

公園に夕日が射し込むのと同じくらいのタイミングで、夕麻ちゃんがそう言ってきた。

(…………このタイミングでのお願いって、やっぱりキ、キスだよな!?)

「う、うん。俺にできることならなんでもするよ」

俺がそう言った時だった。

俺は辺りが少し静かになったように感じた。

「……死んでくれないかな」

「え?」

(今、夕麻ちゃんは何て言ったんだ?)

「そ、その、もう一度言ってくれないかな」

「死んでくれないかな」

意味不明な発言。

俺が夕麻ちゃんに「冗談キツいな~」と言おうとした瞬間ーーーー。

バッ。

夕麻ちゃんの背中から黒い翼が生えた。

(なんだよ、あれ?)

俺がそんなことを思っていると、彼女の目が今までのかわいらしいものから、冷たく怖い目つきになった。

「楽しかったわ。あなたと過ごしたわずかな日々。初々しい子供のままごとに付き合えた感じだった」

「だったら、そのまま兵藤と付き合ってたらよかったじゃねぇか」

突如、聞こえてきた第三者の声。

声が聞こえてきた方を向くと、修がこちらに向かって歩いてきた。


























~修弥Said~

「だったら、そのまま兵藤と付き合ってたらよかったじゃねぇか」

俺は堕天使が本性を現したのを確認して、そう言いながら兵藤の方へと歩いていく。

「修!?なんで、ここに!?」

「そこの草むら、太陽がいい感じにあたって寝やすいんだよ」

俺は兵藤の問いに適当に答え、堕天使の方を睨む。

「兵藤、ここから早く逃げろ。さすがにお前を庇いながらあいつの相手は無理だ」

「なっ!?親友を置いて逃げれるわけないだろ!」

「お前に心配されるほど俺は弱くねぇよ。それに、そこの生ゴミを処分したらそれで終わりだ」

「人間ごときが私を生ゴミって言ったわね」

俺の発言が頭にきたのか、堕天使がそう言ってくる。

「生ゴミごときが話を中断させるなよ」

堕天使の言葉を少しいじって返す俺。

「忠告しておいてあげる。発言には注意したほうがいいわよ?じゃないと、死ぬから」

そう言いながら光の槍を俺に向けて投げてくる堕天使。

「忠告には感謝した………くないな。まあ死ぬのはお前だ、堕天使」

俺はそう言って飛んでくる槍に向かって右手を向ける。

そして一瞬だけ力を込めて、あるものを右手に纏う。

『Devest』

光の槍が右手に触れた瞬間、そのような機械音が聞こえると、光の槍が消える。

「兵藤、見ての通りだ。俺はこの堕天使には負けない。さっさと逃げろ」

「で、でも!」

「………お前が死なずに逃げ延びたら、昔みたいに名前で呼んでやる。だから、行け」

俺がそう言うと兵藤は決心したのか、公園から急いで逃げていく。

「私が標的を逃がすと思う?」

「お前はここで死ぬ。俺がこの手で殺すからな」

「私を殺す?人間が?アハ、アハハハハハハハッ。それは不可能なことよ。見たところ神器を持ってるみたいだけど、それも所詮はただの龍の手(トゥワイスクリティカル)。私には無力よ」

「無駄話はすんだか?すんだなら、大人しく死ね」

俺はそう言って、堕天使に全速力で接近する。

「死ぬのはあなたよ!」

堕天使は再び光の槍を持って、俺に突き刺そうとするが、それよりも先に俺の右手が槍に触れる。

『Devest』

光の槍が消え去り、俺の右手はそのまま堕天使の顔へと向かっていく。

ドガッ!

『Devest』

堕天使の顔に右手が触れた瞬間、再び機械音が聞こえる。

そしてーーーーー。

「うっ、なんだ、この感覚…………体が重い」

「あなた、私に何をーーーー」

堕天使が何かを言おうとした時、俺の頭に何かが流れ込んできた。

それは目の前の堕天使の記憶らしきもの。

所々にノイズのようなものが入り、曖昧なものだったが、俺は見逃さなかった。

俺が探していたあの男のーーーー堕天使の男がこの堕天使に接触したという事実を。

「おい、堕天使。お前に聞きたいことがある」

「くっ、フフフッ。あなたが逃がしたイッセー君、残念だったわね」

ドサッ!

背後から何かが倒れる音が聞こえ、俺は振り替える。

そこには血だらけの兵藤が倒れていた。

「兵………藤?」

倒れている兵藤からは、返事がない。

「ご無事ですか、レイナーレ様」

俺の前にいた堕天使の隣には、男の堕天使がいつまにかいた。

(またか………また、俺に関わった奴が死んだ。…殺された)

「……す。…ろす!殺す!お前ら纏めて殺してやる!」

俺は父さんと母さんが殺された時と、今の現状が重なってキレていた。

「ドーナシーク、一旦引くわよ。あの人間は何時でも殺せる。それに元々の目的は果たせたわ」

「了解です。命拾いしたな人間」

そう言って飛び立とうとする二人の堕天使。

「待てよ、くそガラス!待てって言ってるだろ!」

そんな言葉で待つ奴はそうとうなバカだ。

実際、堕天使は飛び去っていった。

その場に残ったのは、俺と兵藤だけだった。

「兵藤………お前の仇は必ず取る。お前はこんな俺に昔のように接してくれた。だから、必ずあの堕天使を殺して見せる。待っててくれ、兵ーーーー親友」

俺がそう言って公園からでようとした時、後ろから紅い光が発せられているのに気づいた。

「……ろい………そ…いの………わた…………生きなさい」

俺が振り返ると、そこには兵藤の死体の前に座り込んでいる紅い髪の女がいた。

「……お前、なにやってんだ」

「っ!もしかして、あなたがこの子を殺したの?」

「ふざけるな。それは、お前ら悪魔が!人外がいえるもんじゃないだろ」

俺の目の前にいるのは、駆王学園で有名な女子生徒のリアス・グレモリーだった。

そして、そのリアス・グレモリーは悪魔だ。

「なぜ、あなたは私が悪魔だっていうことを知っているのかしら?」

「………兵藤に何をしたかを答えろ」

俺は相手の質問に答える気は全く無い。

「彼には悪魔として蘇ってもらうのよ」

俺はその言葉を聞くと、先程の怒りが再び戻ってくるのを感じた。

「………やっぱり、気に入らねぇ。お前ら悪魔も!堕天使も!全て俺が殺す!」

「発言には注意した方がいいと思うわよ?もし相手が堕天使ならあなた、殺されてるわ」

「フフッ、フハハハハハッ、堕天使が俺を殺す?違うな、その考えは間違ってるぞ、リアス・グレモリー。堕天使が俺を殺すのではなく、俺が堕天使を殺すんだよ!」

俺はリアス・グレモリーの言葉にそう訂正をいれると、リアス・グレモリーを睨んだ。

「もし、お前が兵藤を見捨てるようなことをすれば、俺はお前ら悪魔を片っ端から消しとばす!それを覚えておけ!」

俺はそれだけを伝えると、帰り道を目指して歩き出す。

「待ちなさい!貴方にはまだ聞かないといけないことがあるの!…………月曜日の昼休み、私の使いを送るわ。絶対に来なさいよ!」

「……来るなら、自分でこいよ」

俺はリアス・グレモリーに、聞こえないくらいの声でそう呟きながら家へと帰った。
 
 

 
後書き
次回、2話『復讐者とオカルト研究部』

今週から、週一(予定)を目処に投稿していきたいと思っています。 
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