変革者
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第四話
第四話
『あー・・マイテス、マイテス・・みなさーん、朝の体操ですよぉ~。以上、雨の日でした~』
「・・・なんだ今の」
朝の6時。なんだかよく分からない目覚ましで目覚めた雄太は、昨日雨の日から渡された紙に書かれた、中庭とやらに向かう
そこにはすでにここの施設の大半の人々が集まっていた
「ふーい。じゃ、始めッぞ~」
前に立った雨の日はいまだ寝むそうで、なんの生気も感じられない
「いっちにーさんしー」
「ごー!ろっく!しーち!はーち!」
雨の日のだるそうな掛け声とは正反対の声が雄太のま後ろから聞こえた
振り返ると・・・
「か、雷さん!?」
「なんだー!新人!にー!にっ!さん!しっ!」
「い、いえ・・・」
ここに来てから、雄太は驚きとたじろぎしかしていない。しかしまぁ、ここの住人は変革者でなくても根っからの変わり者が多いから仕方ないのだが・・・
そして30分近くもの間体操を続け、そのまま食堂にて朝食を摂る
「さて、腹も膨れたし雨さんの修行とやらを受けに行きますか!」
雄太は意気揚々と紙に書かれた「射撃場」に向かうことにした
「お、きたか新人~」
大きくあくびをして半ばめんどくさそうに手を振る雨。その手にはPSPが観えた・・・。
「さて、お前の能力の使い方とやらを教えますか」
「はい!ジャンジャンお願いします!」
「あ、そんな敬語いらん。んじゃ、遠慮なくやっかな~」
「あ、わかり・・わかったよ!で、何からする!」
敬語を使わなくて良いのは雄太にとっても都合がいいのかすんなりと受け入れた
「何するって・・お前能力の使い方しらんだろ?」
「あ・・・」
やれやれと言った顔で雨の日は何かを雄太に投げつけた
「わっっとと・・・って銃!?」
受け取ってから再び落としかけた、がなんとかしっかりグリップを握る
「安心しろ。弾はない。お前の制約は多分銃の引き金を引く事だからな」
「なるほど」
「てことで、俺に向かって引き金引け」
「はい!?」
引き金を引けば能力が発動される。たった今言った言葉を忘れたのかと言いたい雄太はぐっと抑え、銃口を向けた
「ほれ、撃てや」
「い、いくぞ・・・」
ゆっくりと力を入れていき・・・そして
「うわっ!?」
鈍い音が鳴り響き、咄嗟に雄太は目を閉じてしまった
その目をゆっくりと開くと・・・
「終わりか?」
なにも無かったかのように雨の日はそこに立っていた
「あれ・・?」
「ま、引けばいいってもんじゃないしな。お前、まだ自分の力のこと知らなさすぎるしな」
軽くせき込み雨の日が話始める
「お前のちからは、銃を引く事で対象、もしくは直線状にある遮蔽物に高周波のマイクロウェーブを当てる事で分子レベルでの振動を生み、溶かす。一種の熱操作だ。だから引き金を引いたから銃口から熱が出るわけでない。これ大事」
「お、おう・・?」
「よーするに、銃を使ってるけど、銃ではないってことよ」
「なるほど・・・?」
雄太は納得した様子でじゃんじゃん引き金を引きまくる
しかしなんの効果も表れない
「とりあえず、ここは射撃場だ。的を溶かせられたら、つか能力発動出来たら次のステップだ」
「おうよ!みてろぉ!直ぐ溶かしてやる!」
自信満々に銃口を的に向け、引き金を引き絞る
が・・・
「威勢の割に不発だぞーい」
「く、くそう!!もっかいだ!」
「お、激レア素材げっちゅ~」
雄太が能力の開花に勤める最中、雨の日はのんきにゲームに没頭しているのだった
時は流れ夜・・・
「はぁ・・・はぁ・・・」
ここまで休憩をはさみつつで10時間
発動出来た回数は、いまだに4回のみだった
「さて、今日はここで終わりだな。流石にこれ以上は意味がなさそうだ」
「ち、ちきしょ・・・」
額に汗を滲ませて雄太は膝をつく
「まぁ、初日は誰しもこんなもんよ。発動した4回の感覚、忘れんなよ?んじゃ、帰るわ~」
結局ゲームばかりして特に助言も無く雨の日は帰って行った
雄太も、しかたなく自室に戻る事に
ちなみに雨の日がプレイしていたゲームは今日発売の新作モンファンと呼ばれるやりこみ系ゲームなのだが、この10時間で殆どのストーリーが終わっていたのは別のお話
「なんで発動できねぇんだっ・・・!」
自室のシャワーを浴びながら雄太は悔しみを噛みしめていた
流れるお湯が滴る
「くそっ・・・」
そして夜は更けていく・・・
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