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東方攻勢録
第二話
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は容易いかもしれないが、これだけ大きな基地だ。内部にも複数の敵がいて気付かれる可能性も高い。となると鈴仙一人では力不足になるだろう。
 もちろん俊司もこうなることは分かっていたはずだ。だからこそ、あの時文にある事を依頼したのかもしれない。
「いたよお姉ちゃん」
「えっ!?」
 急に声が聞こえたかと思うと、鈴仙の肩にそっと手が乗せられた。警戒心を最大にしていた鈴仙は、敵が来たと思いすぐさま手を払いのけて戦闘態勢を取る。
 しかしそこにいたのは敵ではなく、見覚えのある二人のしまいだった。
「あっ……あなた達は!」
「すいません。少し驚かせてしまったようですね」
「古明地さとりに……古明地こいし……」
 第三の目を持つ少女と閉じたままの第三の目を持つ少女。さとりとこいしは静かに笑みを返していた。
「どうして……もしやあなた達が俊司さんの行っていた助っ人の方ですか?」
「そうです。おととい急に天狗の方が現れたかと思いきや、最終決戦を始めるだなんて言われたものですから……大急ぎで準備してきたわけですよ。それで、私達二人はあなた方をサポートするように言われてます」
「なるほど……俊司も先に言ってくれればよかったのに」
「それもそうだねー。さて! そろそろ始めよっか」
「でもどうやって……」
 鈴仙が尋ねてみると、こいしはなぜか笑みを返してくれた。
 その頃ゲートを守っていた警備兵の一人は、よっぽど暇なのか欠伸をしながら頭をかいていた。
「……暇だな」
 溜息を漏らしてから静かに呟く。すると
「そうだな。警備体制がきつくなってから二日は経っているが……誰も来ないしな」
 上層部からの命令により、本拠地の警備は厳重になっていた。もちろん最終決戦に備えての話だ。しかしこの二日間何事も起きておらず、最初は気合いを入れていた警備兵達も徐々に怠け始めていた。
「ところであいつらが攻めてきたところで、俺達が倒せると思うか?」
「いやー無理だろ!」
 冗談なのかほんとにそう思っているのかは分からないが、変なことを言いながら笑いあう二人。だがすでに最終決戦が始まっていることを、まだ彼らは気付いていない。
「おい!」
 笑い話をしていると、突然背後からどなり声が聞こえてきた。
「はっはい!」
「ゲートが開いてるだろうが! 何をしている!」
「……へっ?」
 あわててゲートを確認すると、鉄製の重い扉はきれいに開いていた。手元を見てみると、開閉用のボタンに手が触れており、無意識にボタンを押してしまったのだろう。
 警備兵はあわててボタンを押し直し、ゲートを元通りに戻す。
「全く……もっと気を引き締めろ!」
 ゲート付近ではしばらく怒鳴り声が響くのであった。
「説教もいいけど……あいつも私達に気付けていないんだから言えたものじゃな
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