暁 〜小説投稿サイト〜
魔法使いの知らないソラ
第一章 日常と非日常
第三話
[2/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
たからだ。

そんなことをするのは、ただ一人――――――ルチア=ダルクだ。


「てめぇぇッ!!」


恨めしそうな声をルチアに向けて放つが、ルチアは無関心の表情で翔に言う。


「トドメを刺して。 相良君」

「ああッ!」


翔は遠い間合いから、狼男のもとへ走ると刀身が白く光りだす。

そして光を纏った刀を、翔を面の構えから振り下ろす。


「せいッ!!!」


気合一閃、翔は狼男の懐に飛び込むと、魔力の溜まった刀を横薙ぎに繰り出す。

 繰り出された刀からは、白い光の残影が残る。

それほどの速度で放たれた一閃は、狼男の防御を抜けて一気に切り裂く。

 光り輝く裁きの一閃――――――『|天星光りし明星の一閃(レディアント・シュトラール)』


「ぐ‥‥‥ぁ‥‥‥」


切り裂かれた狼男はその場で、力なく倒れた。

翔は男から背を向けると、刀は光の粒子となって消えていった。

そしてルチアのもとに歩み寄る。


「ルチア、大丈夫か?」

「大丈夫よ。問題な‥‥‥ッ」


ルチアは、先ほど狼に噛まれた部分の痛みで表情を歪める。

そして激痛のあまり、その場で膝をつく。


「‥‥‥少し、じっとしててくれ」

「え‥‥‥?」


翔は静かにそう言うと、両手に意識を集中させる。

呼吸を静かに、ゆっくりと行ない、集中力を高める。

ここからは難易度の高い業をするからこそ、油断は許されない。

脳に流れる膨大な|魔法文字(ルーン)を複雑に組み合わせ、新たな魔法を発現させる。


「湖より求めよ、癒しの光!」


そう言うと、翔の両手は水色の魔力光に包まれる。

そして両手で、ルチアの両腕の傷口を抑える。


「ッ!?」


すると不思議なことに、全ての傷がシュウウ!と音を立てて塞がっていく。

 湖が与える救済の加護にして、治癒や修復能力を持つ高等魔法――――――『|水星癒す聖なる(ハイルミッテル)

みるみるうちに癒えていく傷口に、ルチアは驚きが隠せなかった。


「相良君‥‥‥どうして‥‥‥」

「え?」


魔法を知るルチアには、翔の発現させた力はあまりにも異常だった。

 魔法使いは一人一つの魔法を使う。

武器を使うか使わないか、攻撃か防御か癒しかなど、それは一つのみだ。

だが相良翔は攻撃と、回復までもを使う魔法使いだった。


「なんで、治癒魔法を使えるの?」

「なんでって言われても‥‥‥なんか頭の中に傷を癒す方法があったから、戦いが終わったら使おうかなって思っててさ」

「‥‥‥」


本人にも分からない、異能の力。

それを初
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ