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少年少女の戦極時代U
禁断の果実編
第86話 せかいが敵になった日
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 するとインベスの中で上級と思われる、牛角のインベスが月花たちに襲いかかってきた。

『オーバーロードかっ』
『離れてて、咲ちゃん!』

 鎧武がカチドキロックシードと極ロックシードを同時に開錠した。

《 ロック・オープン  極アームズ  大・大・大・大・大将軍 》

 数多の鎧に彩られ、現れるのはマントを棚引かせる白銀の鎧武。

 鎧武はマンゴーパニッシャーを呼び出し、武器の重量を活かして牛角のオーバーロードを叩き、ダメージを与える。

 牛角のオーバーロードが、枯山水の玉砂利を掻き乱して転がった。その隙を突いて、バロンがソニックアローを放つ。
 牛角のオーバーロードがバナナ状の檻に囚われた。

『葛葉!』
『おう!』

 すでに無双セイバーと火縄DJ大橙銃を合体させていた鎧武が、その合体刀を構えた。噴き出すは橙のオーラ。

《 極オーレ 》

 橙色のソニックブームが牛角のオーバーロードを討滅せしめる――はずだった。

 爆炎が晴れたそこにあったのは、ヘルヘイムの植物に包まれて、ダメージを負いながらも無事な牛角のオーバーロードの姿だった。

『な!?』
『なるほど。今のがデェムシュを倒した力か』

 杖槍を掲げていたのは土塀の瓦の上に器用に立つ、翠のオーバーロード。電波ジャックでレデュエと名乗った怪人だった。

『さすが、ジュグロンデョを付けてるだけはある』
『お前が邪魔した奴か!』
『困るんだよねえ。エサ集めの邪魔しないでくれよ』

 レデュエは土塀から、荒らされた庭園に飛び降りた。

(エサ、ですって?)

 攫われて行ったトモを思い出す。何のエサかは知らないが、そんなものにトモを、咲の仲間を使う気なのか。

『こんのぉ!』

 月花は玉砂利を飛び散らしながら走って行って、DFロッドでレデュエに殴りかかろうとした。
 だが、ひらりと、レデュエは躱した。

『いいのかい? ワタシなんかに構ってて。考えてもみなよ。ワタシは世界中に宣戦布告したんだよ。だったら人類の取るべき手は、一つ』
『……沢芽市ごと吹き飛ばすつもりか。ミサイルなり何なりの兵器で』

 月花は上空を見上げ、パルプアイを凝らした。
 ――視えて、しまった。遙か上空からこちらへ飛んでくるミサイル、が。

 レデュエが高い哄笑を上げた。

『すごいよねぇ、人間って。目的のためなら、平気で仲間を犠牲にするんだね』
『そ…そんなわけないだろ! だって沢芽市には、まだたくさんの人がいるんだぞ!?』
『ユグドラシルがしようとしたことをもう忘れたか!』

 バロンの指摘は厳しく、どこまでも現実を叩きつけた。

『お前たちは全世界から見捨てられたんだよ。ほうら、来たよ』

 
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