暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
SAO
〜絶望と悲哀の小夜曲〜
希望と絶望
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「ほ、ホント!?」

そのビーストテイマー(だった?)おねーさんは驚いたように叫んだ。

その目には、先程まであった虚無感はなく、光が戻っている。

どーでもいいけど、話の途中で割り込まないで欲しい。

だが──

「……四十七層………」

そう呟いて再び肩を落とす。

まぁ、無理もない。今いる三十五層からは遥か十二も上のフロアだ。

先刻の戦闘を見た限り、そんなところに行くのは自殺行為に等しい。

「ん〜」

レンは困って頭をガリガリと掻きながら言った。

「実費と、報酬を貰えれば僕が行ってきてもいいんだけど。使い魔を亡く

したビーストテイマー本人が行かないと、肝心のアイテムが手に入らない

らしいんだよ」

レンの困った声に、おねーさんはちょっと微笑む。

「ううん。情報だけでもありがとう。頑張ってレベル上げすれば、いつか

は……」

予想していた答えだが、それに答えるのはかなり辛い。

だが、ここで教えとかないと後々もっと困る。

「それがそうもいかないんだ。使い魔を蘇生できるのは、死んでから三

日だけらしいんだよ。それを過ぎると、アイテム名の《心》が《形見》

に変化して………」

「そんな……!」

また遮られた。

このゲーム、SAOが異常なデスゲームとなってしまった現在、安全マージ

ンは、その層の数字から約十の上積みが必要となる。

つまり、四十七層に行こうと思ったら、最低でもレベル55に達っさなくて

はならないのだが、先刻の戦闘を見た限り、目の前で肩を落とすおねーさ

んのレベルは、多目に見積もっても四十後半だろう。

再び絶望に捕らわれたように、おねーさんは項垂れる。

地面から、先ほど死んだ使い魔の忘れ形見を摘まみ上げ、両手でそっと胸

に抱く。

その両肩が震え始めるのを見ながら、レンは先刻、地面に叩きつけられた

おねーさんの使い魔を思い出していた。

守ろうとして、主人の前に飛び込んだ小さな小さな背中に、どうしても重

なるものがあった。

「………っ!」

気が付くと、レンは右手を真下に振り、メニューウィンドウを呼び出し

て、その左半分に列をなす、コマンドボタンの中からアイテムのボタンを

クリックしていた。










少年が立ち上がる気配がした。

立ち去るのだろうと思い、もう一度お礼を言わなければと考えるが、口を

開く気力も残っていない。

と、不意に、目の前に半透明に光るシステム窓が表示された。

トレードウィンドウだ。

見上げると、少年が手許で同じウィンドウを操作している。トレード欄に

次々と
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