第十二章 妖精達の休日
第三話 お友達
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から追い出そうと、した、のよ」
「そう、みたいですね」
「なのに、どうしてよ」
「えっと、学院を追い出されれそうになったのは本当に困りました」
ティファニアの視線が、学院に向けられる。
「わたしは、この学院でまだまだしたい事がたくさんありますから」
「したい、こと?」
ティファニアは視線をベアトリスへと戻し、笑った。
「お友達を作るの」
「―――っ、ぁ」
ティファニアの言葉に怯えたようにびくりと身体を震わせたベアトリスは、ティファニアの視線から逃げるように目線を地面へと落とした。
「そ、う」
「ええ、そうなの。だから、ね」
すっと、ベアトリスの視界に白い光が差した。
その正体は、眩しいほど白い手。
びくっと目を見開いたベアトリスが、指先、掌、腕とゆっくりと辿って顔を上げていくと、その先には優しく微笑みかけてくるティファニアの顔があった。
呆うけたようにティファニアの顔を見つめるベアトリスに向かって、ティファニアは笑いかけ、ゆっくりと口を開いていく。
「お友達になりましょ」
「―――あ」
ベアトリスの目から、熱い何かが零れ落ちた。
堰を切ったように溢れ出すそれは、土煙で汚れた頬を洗い流し、顎先から地面へと向かって次々と落ちていく。
「―――っ」
ベアトリスの口はパクパクと動くが、何故かそこからは言葉が形を成して出て来ない。
必死に、顔を真っ赤にさせながら口を動かすベアトリスだが、言葉が出てくることはなかった。
「っ―――ぁ―――っ」
焦り、溺れるように腕をばたつかせながら何かを言おうとするベアトリスの手を、暖かな何かが包む。
はっと顔を上げるベアトリスの目に、ティファニアの優しげな微笑みが映る。
渦を巻く感情がすっと落ち着くのをベアトリスは感じた。
胸の奥が熱くなり、全身が震え、喉が焼け付くように熱い。
それでも、ベアトリスは震える口元を必死に動かし、ティファニアへの返事を返した。
涙でぐしゃぐしゃになった酷い顔で、幼い子供のような笑顔で―――。
「――――――うん」
こくりと、頷いた。
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