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剣の丘に花は咲く 
第十二章 妖精達の休日
第三話 お友達
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「餓鬼共が。遊びじゃないことを教えてやる」

 肩や首を回しながら前へと進み出たギーシュたちを見て、空中装甲騎士団(ルフトパンツァーリッター)の中から一際大柄な騎士が一歩前に進み出ると、杖を振りかぶり一息に振り下ろした。

「本物の騎士と言うものを教えてやれ!」

 騎士団長と思われる男が、面頬の隙間から見える横に伸びたカイゼル髭を大きく揺らし、唾を飛ばしながら声を張り上げると、背後の騎士団から一斉に魔法が飛んだ。氷の矢や炎の玉が音を立てながらギーシュたちに向かう。迫り来る脅威を前に、ギーシュはニヤリと大きく笑みを浮かべると、取り出した薔薇の造花を軽く振るった。
 薔薇の花弁が五枚空に浮かび、そのまま地面に落ちていき、地に触れた瞬間、鼓膜を震わす爆発音が響き、土煙が辺りを覆う。
 空中装甲騎士団(ルフトパンツァーリッター)の隊長が片手を上げ、騎士団の動きを止めると、様子を伺うように目を細めた。

「ふんっ。後悔するには遅すぎ―――ごべぇっ?!」
 
 顔に掛かった土煙を鼻息で吹き散らした騎士団長が、口の端を歪め笑ったと同時に、騎士団の眼前に漂う土煙から飛び出して来たナニカが騎士団長を吹き飛ばした。
 甲冑と合わせれば優に百キロは超えるだろう重量の騎士団長の身体が、まるでボールのように跳ね飛ばされ背後に控えていた騎士団の中に突っ込んでいき、数人の団員を巻き込み新たな土煙を巻き上げた。
 
「―――っな?!」
「な、何が起こった!?」

 空中装甲騎士団(ルフトパンツァーリッター)の団員たちが慌てて辺りを見渡すが、未だ晴れない土煙のせいで周囲を確かめる事が出来ずにいた。一人の騎士が慌てて杖を振って起こした風が土煙を吹き飛ばし、視界が晴れていく。
 視界が回復する中、現れたのは一人の男。
 先程まで騎士団長が立っていた場所に、拳を突き出した格好で男が一人立っていた。
 
「な―――貴さ―――ごへぇ!?」

 姿を現した男の姿に驚愕の声を上げながらも、厳しい訓練による反射的な動作で杖を向けた騎士であったが、杖を男に向けた時には既にそこに男の姿はなく―――眼前に拳の姿があった。
 空中装甲騎士団(ルフトパンツァーリッター)の騎士を殴り飛ばした男。
 それは曰く魔法学院一タフな男―――マリコルヌであった。
 マリコルヌは一撃で仲間が吹き飛ばされるのを見て混乱している空中装甲騎士団(ルフトパンツァーリッター)に不敵な笑みを向けると、おもむろに髪をかき上げ。

「ふっ。ぼくは風―――そう“風上”のマリコルヌとはぼくのことだ!」

 そうキメ顔で言い放った。

「っ―――ふっざけんじゃっね―――ぶあっ?!」

 一瞬呆然となる空中装甲騎士団(ルフトパンツァーリッター)であったが、直ぐに気を取り直
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