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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百三十三話 フェザーン独立
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う事だろう。

「ところでヴァレンシュタイン委員長、高名な軍人でもある委員長にお尋ねしたいのですが?」
「なんでしょう」
大体想像は付く。何と言っても質問しながらマリーンドルフ伯にチラッと視線を向けたからな。マリーンドルフ伯も想像出来たのだろう、ちょっと表情が渋い。

「イゼルローン要塞で反乱が起きていますが鎮圧は可能でしょうか? あの要塞は難攻不落と聞きますが」
「……」
マリーンドルフ伯が憮然としているぞ。そんなに嫌がらせをして楽しいか? 性格が悪いな、或いはそこまで帝国に対する感情が悪いと見るべきかな。俺が黙っているとペイワードが言葉を続けた。

「フェザーンには軍事面で高い見識を持つ人間が居ないのです。今後の政治経済に大きな影響を与える事ですので委員長の御考えを是非教えていただきたいのです」
「鎮圧には半年もかからないでしょう」
「半年ですか……」
不満そうだな、ペイワード。マリーンドルフ伯は驚いてはいない、既に知っていたな。

「帝国政府から同盟政府にそのように連絡が有ったそうです。帝国政府は反乱の鎮圧に自信が有るようですね」
「……」
「楽しみです、どのようにしてあの要塞を攻略するのか」
俺が笑いかけるとペイワードも“そうですな”と言ってふてぶてしく笑った。不可能だと思っているのだろうな。マリーンドルフ伯は困ったような表情だ。作戦案を考えたのは俺だと知っているのか、それとも半年で鎮圧するという事が信じられないのか……。

「ところで今度、自由惑星同盟の高等弁務官が交代する事になりました」
「……そうですか」
「ヘンスロー高等弁務官にとっては今日の調印式への参加が最後の公務になります」
「……」
ペイワードがヘンスローに視線を向けた。ヘンスローは精彩の無いしょぼくれた表情をしている。隣にはヴィオラ准将、反対側にはモンテイユが居た。ヴィオラ准将はフェザーンでは俺と並んでもっとも危険な人物と評価されているらしい。破壊工作の専門家だそうだ。まるでオットー・スコルツェニーだな。その内、映画の主人公になるかもしれない。

「ヘンスロー高等弁務官はそちらに随分と御迷惑をおかけしたようですね。彼はその事を非常に後悔しております。そちらの厚意に不必要に甘えてしまったと」
「……」
マリーンドルフ伯がちょっと面白そうな表情を浮かべてペイワードを見ている。他人の不幸は蜜の味だよな。まして相手が嫌な奴ならなおさらだ。伯爵は人格者かもしれないが聖人君子じゃないんだから、喜んだって誰も責めたりはしないさ。

「後任のハルディーン氏にはそのような事はしないようにときつく注意して有ります。ですから主席閣下、あまり度の過ぎたお気遣いは御無用に願います。自由惑星同盟、フェザーン、両国のためになりません。御理解いただきたいと
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