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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百三十三話 フェザーン独立
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だった。フェザーンに向かわせろと頼んだのは俺だからな。大量に買ったのはそのせいかもしれない。

レムシャイド伯とシェーンコップとバグダッシュには特別にブランデーを一本送った。帝国産のブランデーだ。貴族が道楽で造ったブランデーなんだがそれだけに上物らしい。一本三千ディナールだがあの三人にはそれなりに面倒もかけている。それにどう見てもクッキーを喜ぶような可愛げは無い。たまには贅沢も良いだろう。爺さんは懐かしい味だと泣くかもしれんな。

「これでフェザーンは独立した。そういう事ですな」
ペイワードがにこやかに話しかけてきた。こいつも嬉しそうだが独立した事が嬉しいのかは疑問だ。多分別な事で帝国と同盟に対して優越感に浸っているのだろうと思う。平たく言えばザマアミロ、そんなところだ。

最近のフェザーンのマスコミの論調を見るとイゼルローン要塞の反乱は長期化するんじゃないかというものが多い。イゼルローン回廊を使った交易は当分不可能でフェザーンの地位は安泰だというわけだ。つまりイゼルローン要塞の反乱を歓迎している。連中の見解は推測というより願望に近いがこれまでの要塞攻略戦の実情からみれば荒唐無稽というわけでもない。

「そうですね、フェザーンは独立しました。フェザーン共和国の成立、心からお祝いを申し上げます」
「有難うございます、ヴァレンシュタイン委員長」
「フェザーンは自らの力で独立に責任を持つ事になりました。大変とは思いますがペイワード国家主席なら問題無くその責務を果たされると思います。そうではありませんか、マリーンドルフ伯」
「委員長閣下の言う通りですな」

あらあら、マリーンドルフ伯の視線がちょっと冷たい。独立で浮かれるフェザーンが面憎いのかもしれない。ペイワードも察したかな、頬が微妙に引き攣っている。でもね、あまり誤解をして欲しくない。俺が言ったのは一般論だよ、一般論。安全保障は統治者の大事な仕事だ、それを忘れるなと言っているだけだ。だからイゼルローン方面で妙な事をするんじゃないぞ。

「御教示、有難うございます。心しましょう」
ペイワード国家主席が軽く頭を下げた。フェザーンはフェザーン国家主席を国家元首とする民主共和政国家、フェザーン共和国に生まれ変わった。国家主席はフェザーン市民による直接選挙によって選出される。任期は五年、再選は何度でも構わない。

フェザーンには閣僚は居ない。一人の国家主席を十人の補佐官が助ける。この辺りはかつての自治領主府に良く似ている。国家主席は極めて独裁色の強い統治者だがその国家主席の暴走を抑える役目を持つのがフェザーン共和国市民会議だ。フェザーン市民から選ばれた約四百名の代議員から構成され彼らの三分の二が賛成すれば国家主席を罷免することが出来る。要するに強い統治者は必要だが暴走は許さない、そうい
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