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ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
魔人‐ファウスト‐part1/災いを呼ぶ少女
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ウエストウッド村。
盗賊に誘拐されたティファニアを、シュウが救出して以来、村の子供たちのシュウへの反応は変わりつつあった。エマは未だシュウの無言のオーラに緊張しながらも、初めて彼を見た時と比べて積極的に話しかけるようになった。彼女から筆頭してシュウのことを『シュウ兄』と呼ぶようになり、それが少しずつ村の子供たちからの彼への呼称となっていった。
「シュウ兄、何かお話して?」
「…話?」
もしかして、何か童話でも聞かせたらいいのか?シュウは基本的に少々無口で言いたいこと以外はあまり口に出さない。子供たちが喜ぶような話をしたことなどほとんどなかった。参ったな…と彼は悩む。地球にいた頃、憐が迷子センターの子供に昔話を聞かせて元気づけようとした姿は幾度か見たことがある。が…自分があいつほど人懐こい性格じゃないからうまく伝えられるか考え物だ。
「……」
「えっと…」
やっぱり無理だったのかな…と不安になるエマ。彼はアルビオン人じゃないから、きっと自分たちの知らない話をいくつも持っていると思っていたが、よくよく考えたら彼はあまりしゃべりたがる性格じゃないのを忘れていた。やっぱり無理をさせたかと思うと、シュウが口を開いてきた。
「…何の話を聞かせればいい?」
してほしい話の話題を尋ねてきたのだ。断るのも悪いとでも思ったのだろうか。
それを振られたエマは戸惑い、自分が具体的にどんな話を求めたか明確にしていないことに気づく。
「んっと…えっと…じゃあ、シュウ兄が知ってる昔話!」
「俺が知ってる昔話?」
結局本当に童話とかそのあたりの話だったようだ。自分が知ってる昔話…。シュウはあまり童話とかを読んだ経験がないからよく覚えていない。
「……」
シュウを腕を組んで、考え込む。我ながら不思議なものだと思っていた。子供は正直苦手なタチの自分が、子供のために話をしてあげるというシチュが増えたのは。
(憐の影響か…?いや…)
だとしても、俺に本来こんな時間を与えられるのは許されることじゃないはずだ。それなのに…地球だろうがどこだろうが、こんな平凡な日々に甘んじてる自分がいる。
情けないな…俺にはもう……。
(幸せを掴む権利なんて、ないのにな…)
「シュウ兄?」
「…なんだ?」
気付くと、エマがシュウの顔を覗き込んでいた。
「お顔、ちょっと怖かった…」
…顔に出ていたのか?結構ポーカーフェイスとか言われていたが、なぜか自分は無表情以外で浮かべる顔は不機嫌な顔だけ。遊園地でバイトをする以上そんなことではいけません!と憐から指摘されたのを思い出した。
「えっと…無理…かな?」
「いや、待て。そうだな…」
話を振って来たならちゃんと言わせてほしい。腕を組んで悩むと、パッと浮かんだのはたった一つ。
(…桃太郎とかそのあたりしかないな。覚えている
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