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剣の丘に花は咲く 
第四章 誓約の水精霊
プロローグ  傷だらけの男

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 最近、ルイズは奇妙な夢を見る。
 どれもこれも今まで一度も見たことがないどころか、想像すらしたこともない光景が広がる夢だ。
 それは時に恐ろしく、美しく、優しく……そして、時に残酷な光景。
 共通点は唯一つ、自分の使い魔。エミヤシロウがいること。
 夢の中の士郎は、いつも傷付いていた。
 
 災害の真っ只中にいる人達を助けるため、危険を顧みることなく飛び込んでいた。
 何かに襲われている人を助けるため、剣を取り戦っていた。
 何かの事故なのか、炎の中、瓦礫に埋もれた人々を助けるため、炎に炙られながらも瓦礫を退かしていた。
 男を……女を……少女を……少年を……老人を……自身を傷付けながらも衛宮士郎は救う。
 

 そして……士郎は悔やむ……救えた人のことではなく、助けられなかった人のことを想い、悔やみ……傷付く……。
 救われた人達も、士郎を責める。
 
 ―――何故、もっと早く救ってくれなかった……

 ―――何故、娘を……息子を……救ってくれなかった……

 ―――何故、殺した……

 ―――何故、私が怪我しなければならない……

 やめて

 ―――この人殺し

 ―――化け物――

 ―――死んでしまえ

 ―――二度と来るな

 やめてっ

 ―――お前のせいだ

 ―――貴様のせいだ

 やめてっ!

 その度に……

 嫌だ……

 士郎の身体が……

 嫌だっ!

 士郎の心が……

 もう、もう……やめて……よ

 傷付き……ひび割れる……

 それでも……士郎は、人を救う……

 何で……

 褒められることも、感謝されることもなく……報われないにもかかわらず、士郎は人を救う……

 どうして……

 救った人から罵声を浴びせられ……

 見知らぬ人から石を投げられ……

 罪を押し付けられるながらも……士郎は人を救う。

 シロウは……



 たった一人で……



 人を救う……







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