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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百三十話  手荒い歓迎
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員会はそうでもないんですか?」
「まあウチはそれほど予算を使う事は無いからね、財政委員会も我々には無関心だよ。行政機関というよりシンクタンクのようなものだから帝国と協調する部署を作る必要もない。おそらく同盟で一番暇な委員会だろう」
「はあ」
何か意外だな、もっと忙しいのかと思っていたんだが。

「ヴァレンシュタイン委員長もフェザーンに行ってしまいましたし……」
「そうだね。……そうか、忙しくは無いだろうが大変な思いをしている委員はいるね、モンテイユ委員とか。ヴァレンシュタイン委員長と一緒だから緊張しているだろう」

姉さんが“そうですね”と言って笑った。デロリアン委員も笑っている。良いよな、笑えるんだから。俺には到底笑う事なんて出来ない。相手はヴァレンシュタイン委員長なんだから。今回は姉さんが一緒じゃなかったけど姉さんと委員長って如何なんだろう? ちょっと気になるけど訊くのは気が引けるな。

食事が運ばれてきた。目の前に皿が並べられた。なるほど、確かに美味しそうだ。チャーハンの香ばしい香りが……、しまったな、俺もチャーハンにすれば良かった。
「さあ、食べようか」
デロリアン委員の声に俺と姉さんが“いただきます”と唱和した。



宇宙歴 796年 8月 25日  フェザーン エーリッヒ・ヴァレンシュタイン



マリネッティ少将率いる六百隻の艦隊はフェザーンに到着した。俺、モンテイユ、アブドーラ・ハルディーン、そしてヴィオラ准将を含むフェザーン駐在員を無事送り届けるのが少将の仕事だ。後は俺とヘンスローをハイネセンへ連れ帰るという仕事がまだ残っている。

当初一個艦隊を動かすという話が有った。何考えてるんだよと思ったが軍としては仕事をしていると周囲に印象付けたかったようだ。しかしフェザーンを独立させるんだから軍事力を誇示してフェザーンを威圧しているととられかねないような行動は避けるべきだ。そう言って断った。その結果マリネッティ少将が俺の移送役に抜擢されたわけだ。運が悪かったな、マリネッティ。

「御苦労様でした、マリネッティ少将」
「はっ、恐れ入ります」
マリネッティ少将はガチガチに緊張している。もう軍の上官じゃないんだからそんなに緊張しなくても良いんだけど……。

「条約の締結は九月一日になります。締結後、私は直ぐにハイネセンに戻りますので準備を宜しくお願いします」
「はっ、必ずそのように致します。閣下も御身辺にお気を付け下さい。良からぬ事を考える者が居ないとも限りません」
「分かりました、気を付けます」
マリネッティがチラっとヴィオラ准将を見るのが、そして准将が頷くのが分かった。どうも俺って信用が無いな。

マリネッティの艦隊は六百隻、小勢と言って良いが武力を持たないフェザーンにとっては十分
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