EPISODE18 ダークマター
[1/3]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
訓練機の収納作業をしながらふと空を見上げる。アリーナの吹き抜けの天井から覗ける空は青くどこまでも澄んでいて果てしなく僕の頭上に広がっている。
でも、こんな空でさえ僕には無色に見える。
何も感じない、何もわからない。
記憶の断片はあるけれどただそれだけのことで、はっきりとしたものはいまだもってわからないまま。もうこのまま記憶が戻らなくてもいい・・・・そんな気さえしてくる。
「お疲れライ」
「ああ。今日はさいなんだったな」
「あはは・・・・」
模擬戦のあとは実習訓練で主に専用機持ちがリーダーを行い各グループに分かれてのものだったが、当然と言うべきか。シャルルの人気はかなり大きく、転校初日だというのに長蛇の列。一夏も同様でセシリアと鈴、そして箒とモニカがかなり不機嫌だった。おかげでフォローにまわるのも一苦労である。
「それはお互い様だよ。列もそうだけど、ライはすごいね。代表候補生二人相手にあそこまで動けるんだから」
「買い被りすぎだ。あれは山田先生あってこそだし、ほとんど彼女が合わせてくれていた。僕がしたのは作戦の立案だけだよ」
「それでもすごいよ。あの動きはまず普通じゃできない」
そういうものだろうか。僕でなくてもできると思うが。
「シャルル様、そろそろ」
「あ、うん。ライ、また食堂で!」
手を振りながら駆けていくシャルルに手を振りかえす。モニカがしばらく見たあとお辞儀をして後に続いたのが少し気になったが、彼女なりに僕に対しておもうことがあったんだろう。
見上げた空は、やっぱり青かった。
◇
「・・・・一夏は時々わざとじゃないかと思うときがあるんだ」
「なんのことだよ」
この状況見てわからないのかと問いただしたいところだが、それは野暮というものだろう。
いつも通りの昼食というわけでなく、今は屋上でいつものメンバーにシャルルとモニカを加えたメンバーで輪になって座っている。一夏発案のもと、転校生二人を加えてみんなで食べようという彼なりの心遣いだが、その前に箒と鈴、それにセシリアから誘われていた。だが彼女たちの心中も知らない彼は承諾するもシャルルとモニカを誘い、いまに至る。
女子3人からの視線が痛い。というかなんでセシリアは僕をにらんでいるのかがわからないんだが。
「えっと・・・・僕たちもいていいのかな?」
シャルルが申し訳なさそうに僕に言ってきた。モニカも気まずいようでこちらを見ているのと、「こいつはアホなのか」と問うているような視線を投げかけてきている。それにかんしては僕も思うことがあるがそれはもう慣れろとしか言いようがないた
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ