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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百二十九話  権威
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的な見方をしている。そういう人物が大きな影響力を持って自由惑星同盟を動かしている。不安に思うのはおかしいのでしょうか?」
「……」

「彼が人間不信に陥ったのは私にも責任が有ります。いや私の所為だと言い切っても良いでしょう。私には彼の人間に対する不信感を非難する資格は無いと言われれば一言も有りません。しかし、だからかもしれませんが不安になるんです。……ホアン委員長は一緒に仕事をしていて不安を感じる事は有りませんか? 私は感じ過ぎなのでしょうか?」
ヤン提督に問われホアン委員長が“ふむ”と声を出した。コーヒーを口に運ぶ。

「ヤン提督はヴァレンシュタイン委員長が独裁者になると思っているのかな? 話し合いではその事が出たそうだが」
「いえ、そうは思いません。彼は亡命者です、独裁者になろうとはしないでしょうしなれるとも思えません。でも独裁的な影響力を持つ事は無いと言えるでしょうか? 彼の一言で全てが決まってしまう、そんな影響力。それは民主共和政国家では不健全だと思うのですが……」
「独裁的な影響力か、面白い表現だな」
冷やかしている感じではなかった。感心している、そんな感じだ。

「軍では上意下達です。その所為で余り気付きませんでした。しかし政治家になってからも大きな影響力を維持している、いえ影響力は増大している。何処か不自然な感じがするのですが……」
ヤン提督がもどかしそうにしている。上手く説明できない、そう思っているのだろう。

「独裁ではない、少なくとも法の下では同等である。そして権力者としても法を超えることは無い。しかし実質は他者を従わせる、他者の上に立つ独裁的な影響力を持つか……。或いは権威のようなものと言い換えても良いかもしれんな」
ホアン委員長がウンウンと頷いている。ホアン委員長がヤン提督に視線を向けた。

「ヤン提督、君はヴァレンシュタイン委員長がある種の権威を持ち始めたのではないか、そう考えているのかね?」
「権威ですか、そこまで明確に考えていたわけでは有りません……」
ヤン提督は首を振って言葉を濁したがアン委員長は気にした様子を見せなかった。

「もしそうだとすれば、ヴァレンシュタイン委員長が権力を求めれば危険だと言えるな」
「やはり、危険ですか」
ヤン提督の表情は暗かった。あのヴァンフリートでの一時間の事を思っているのだろうか……。

「権力と権威の融合、その融合が進めば進む程ヴァレンシュタイン委員長は危険な存在になるだろう。表向きは共和政でも内実は独裁政に近くなる可能性が有る。まるでペリクレスだな」
「……」
ヤン提督が溜息を吐いた。

ペリクレスとは何だろう? ヤン提督は分かった様だ。人の名前、おそらくは政治家の名前の様だが……。私が疑問に思っているとヤン提督が
”ペリクレスは人
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