暁 〜小説投稿サイト〜
Element Magic Trinity
天秤宮の憎悪
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で俯いてんの。今回はアンタの魔法が役に立つんだから、張り切っていくよ!」
「うぅ〜・・・」
「全く・・・このネガティブ思考は誰譲り?母親?それとも父親?」

ぐいぐいとクラッベがポワソンを引っ張るが、ポワソンは動こうとしない。
本格的に呆れ始めたフレシュが溜息をつく。
その光景を見つめるジョーカーは薄く微笑んだ。

「それじゃあ、行こうか」













氷の槍が飛んだ。
桃色の髪を揺らし、パラゴーネはそれを軽く避ける。

「アイスメイク “大槌兵(ハンマー)”!」
「・・・グラビティメイク “(シールド)”」

グレイの手から生み出された氷のハンマーが、パラゴーネの頭上に現れる。
それを見上げたパラゴーネは両手を天井に向けて伸ばし、重力の盾を生み出し、ハンマーを防いだ。

「グレイ・フルバスター。氷の造形魔導士で、静のアイスメイクの使い手。リオン・バスティアの弟弟子、ウル・ミルコビッチの・・・弟子」

淡々と呟きながら、両腕を下げる。
紅蓮の瞳が、真っ直ぐにグレイを見つめる。

「さっきからゴチャゴチャうっせーよ!アイスメイク “槍騎兵(ランス)”!」
「重力操作、右へ」

放たれた氷。
それに向かってパラゴーネは右手を向け、くいっと右に手を動かす。
すると、氷の槍は突如軌道を変え、右の壁に当たって砕け散った。

「チッ」
「造形スピードは他に比べ速い・・・私と同じくらいか。脱ぎ癖あり、しかも無意識。脱いでからが本気。じゃあ、今は本気じゃない」
「もっと別の判断基準ねーのかよ!?」

呟き、1人納得したように頷くパラゴーネにツッコむグレイ。

「“厄災の悪魔”デリオラに故郷を滅ぼされ、家族を失う。生き残っていた所をウルに助けられ造形魔法の修行に明け暮れ・・・ブラーゴにてデリオラに挑む無茶をする。そして、目の前で師匠を失う」
「っ・・・」

淡々と語られる己の過去に、無意識のうちに表情が歪む。
紅蓮の炎にゆっくりと追い詰められて逃げ場を失っていくような、そんな錯覚を覚える。

「兄弟子に恨まれ、ウルの言葉に従い東へ向かい、妖精の尻尾(フェアリーテイル)に加入。ガルナ島にて兄弟子と再会、デリオラの崩壊を間近で見る・・・か」

ふぅ、と短く息を吐き、腕を組む。
紅蓮の瞳が遠くを見つめ、少し細められた。
吹く風がパタパタとパラゴーネのマントを揺らす。

「ウル・ミルコビッチ・・・生きていれば聖十大魔道になったであろう、私の尊敬する造形魔導士。死ぬには早すぎた」
「・・・テメェも、オレがウルを殺したって言いてえのか?だったら聞かれる前に答えてやるよ」

溜息をつくパラゴーネを、グレイが睨む。
似た瞳の男をグレイは知っていた
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