暁 〜小説投稿サイト〜
SAO 〜冷厳なる槍使い〜
第二章  曇天の霹靂
9.離別
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を守れる力を手に入れるためなら、睡眠が一時間だとて問題は無い!

「噴……!」

 そうしてレベリングを続けていたある日の深夜、敵PTの最後の一匹を倒したと同時。



【※条件達成】

【スキルを取得しました】



 と、目の前にシステムメッセージが表示された。

「……?」

 突如、俺のもとに顕れたスキル。
 それを確認していくうちに、俺は目を見開いた。

 ――これは……!

 それは俺の中で一番の弱点――――《ソードスキルを苦手とする》ことに対しての光明に思えた。







 それからというもの、俺はレベリングと同時に、そのスキルの練習を始めた。
 最初は思った通りに発動することが困難だったが、それでもソードスキルに感じる違和感ほどではない。数日練習すればある程度思い通りに発動することができた。

「ハアアアアア!!」

《穂先に纏う光》が、幾度となく虚空に軌跡を作り、敵の体を穿つ。
 消えゆくモンスターをに残心を解く。

 ――今のは良かった。

 しっかりとこのスキルは機能している。
 俺に足りなかったものを補ってくれている。

 ――俺は、強くなっている。

 不安材料が一つ消えて、俺は自然と笑みを浮かべていた。
 彼女たちを守れる自信を、ひとつ手に入れたからだ。

 その時だった。

「………………なんで」
「!」

 この場所で。
 最前線である三十五層の迷宮区で。
 0時を超えたくらいの深夜に。
 聞こえるはずのない声が、聞こえた。

「――なんでですか? ……キリュウさんッ」

 守りたいと思っている者の、悲痛な声だった。



   ◆



 一目見た時から、この人は他の人とは違うって思ってた。
 はじまりの街で最初に感じた印象は《神秘的な人》だった。
 阿鼻叫喚の中をただ一人悠然と歩く様は、どこか神聖な何かを感じた。
 でも、実際に話してみると、外見の印象とはまったく性格が違うということが解った。

 すごく、すごく――――《純粋》だった。

 思考は常に冷静にして論理的。視点はいつも客観的。
 なのに、誰よりも優しい。誰よりも他人のことを気にかけている。

 どうしたら全員にとって一番良いのか。

 それをずっと考えているように見える。
 だから、常に難しい表情をしているんだ。
 そんな――答えの出ない難しい問題を考えているから。
 あたしはそう思っている。

 そんなキリュウさんに、戦いなんてまったくの素人のあたしたちが一緒にSAOを攻略していくなんて、実は最初けっこう気後れしていた。
 大丈夫かな? 足手纏いと思われないかな? 呆れられないかな?
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