暁 〜小説投稿サイト〜
dark of exorcist 〜穢れた聖職者〜
第20話「パトリック・キリシマペア 慟哭」
[1/3]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「オオォォォォォォォオオオオォオオオアアァァァァアア!!!!」


激しく激昂し、天に向かって叫ぶ“風の悪魔”がそこにいた。
風の悪魔は、両手を大きく広げ、周囲の風の流れを操作し始める。

「おいおい………ありゃ、なんだ?」

パトリックが見たものは、彼らを絶望させるのに十分なものだった。



パトリックが見たのは、灰色と赤の小型ハリケーン。


「上位悪魔ってのは、本当に何でもありだな………」

パトリックの表情は青ざめていた。
対するキリシマは、冷静さを保っていた。居合の構えのまま、小型ハリケーンを観察している。

キリシマの動体視力は、ハリケーンがどうなっているのかを見通した。

灰色に見えるのは、激しい暴風によって巻き上げられた無数の瓦礫。
小石サイズのものから、人間の頭ほどある大きな瓦礫が、フォカロルの周りを凄まじい速さで回転している。
ハリケーンからは風の音だけでなく、瓦礫同士がぶつかり合い削れる音が鳴り響く。
無数の瓦礫は互いにぶつかり合い、火打石のように火花を散らし続ける。
火花を散らす瓦礫は高温に熱され、ハリケーンを赤く変色させていく。

無数の瓦礫と高温の瓦礫で形成されたハリケーンは、まるでフォカロルの狂気を具現化させたように見えた。



「人間ゴトきが、俺ヲ殺す? ハ、ハ、ハ………」



「……………………」











「笑ワせるナ屑共がアァァあぁァァァァ!!!」


フォカロルが叫ぶと同時に、ハリケーンが動き出した。


「嘘だろおい……!!」

2人の悪魔狩りの前にあるのは、小型の天災。
ましてやそれは、上位悪魔によって無理矢理力を増幅させられたものだ。


「………………………引き下がれるか」

キリシマが小さく呟く。
妖刀・厄雲を強く握り、ハリケーンを見据える。






「…………………必ず殺す……!」










フォカロルは怒りに飲まれながらも、ハリケーンの“微調整”をしていた。
ただの風をハリケーンまでに成長させるのは、たとえ風の悪魔でも難しい。
風力、風向、気圧を細かく操作している。少しでも操作を誤ればハリケーンが崩れる。

「………………?」

フォカロルはハリケーンの異変に気がついた。
わずかに風向きにズレが生じた。

風向きにズレが生じるとしたら、可能性は一つ。

「……………………ハリケーン内部に遮蔽物?」

あり得ない。
瓦礫を巻き上げ、地面を抉る威力を持ったハリケーンを邪魔できるものなどあるはずがない。


「………………!?」

ハリケーンの隙間から信じられないものが見えた。


[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ