暁 〜小説投稿サイト〜
IS インフィニット・ストラトス〜普通と平和を目指した果てに…………〜
number-17
[1/4]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話



 目の前で鈴がぼこぼこにされた。機体ダメージもそれなりにあって近日行われる学年別タッグトーナメントの出場も不可能そうだった。その事実が一夏に叩きつけられる。


「……――――」


 模擬戦で鈴に負けはしたもののまだエネルギーがある。一夏は両手を握りしめ、肩を震わせる。そして何か小さく呟いた。それは鈴ではなく、ラウラに向けられているものであるが、ラウラには勿論、そばにいたセシリアや箒にも聞こえない程度であった。
 鈴と何か言葉を交わした後、ISを解除して一夏たちに背を向けてアリーナから去って行こうとするラウラ。悠然と去って行こうとする彼女の背中を見て、猛烈な殺意を抱いた一夏は、大声を上げて雪片弐型を振りかぶり瞬時加速(イグニッション・ブースト)で一気に接近していく。ISを展開していない生身のラウラに向かって単一能力(ワンオフ・アビリティー)である零落白夜まで発動させて接近、いや、突進といった方が正しい。


「鈴に何してんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「駄目ですわ! 一夏さん!!」


 激情した一夏が無防備なラウラに向かって突進した後、何の躊躇いもなく彼女に向かって零落白夜を発動させた雪片弐型を振り下ろした。とっさにセシリアが制止の声を上げたが、激情してラウラしか見えていない一夏に聞こえる筈もなく、無駄に終わる。一夏を止めるためにもともとISを展開していた箒とシャルルが一夏のもとへと急ぐ。制止の声を上げていたセシリアは、もう少しといったところで一夏を止められなかった。機体のスペックの違いと遅れて飛び出した差が埋められなかった。
 振り下ろした雪片弐型でラウラは真っ二つにされるかと思いきや、アリーナの地面を深く抉る程度で済んだ。表現が可笑しい気もしなくもないが、人を殺してしまうよりは断然ましだ。一夏の目にはラウラがいきなり消えてしまったように見えていた。頭の中を疑問符が覆い尽くすが、実際は違う。


 いくらいきなり加速して接近したって、瞬時加速(イグニッション・ブースト)を使って風や音を置いてきたって、声を出されては誰だって聞こえる。そうでなくともラウラは軍にいるのだ。ISに乗り始めて僅かの素人の気配を読むことなんて簡単だ。
 自分で読んだ気配だけを頼りにサイドステップで横に避けただけにすぎないのだ。そしてすぐさま左腕の部分展開とISの装甲に使われている材質とほぼ同じ材質のロッドを展開し、一閃。ついでに蹴り飛ばして後ろから来るセシリアにぶつける。


「貴様……私の命を奪おうとしたということは、ドイツに損害を与えようとしたと同義だぞ。ましてや日本人。第二次世界大戦での敗戦国同士が戦争でもしようというのか?」
「黙れ! お前は俺の幼馴染の鈴を痛め付けた。それだけでおまえを倒す口実になる」

[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ