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妖精の義兄妹の絆
ニルヴァーナ編
水竜の嵐
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みこんだ。
「眠れないの?」
「…月が綺麗だったからさ、つい見に来たんだ。」
「そうなんだ…、本当に綺麗だね。」
それからしばらく二人は沈黙を保っていた。
先に口を開いたのはタクヤだった。
「明日はきっと今までで一番つらい戦いになる…。だから、約束してくれないか?」
「約束?」
「危険になったら俺をおいて逃げてほしい。」
「!」
タクヤは続けた。
「お前の身にもしものことがあったらって思うと怖いんだ…。だから、」
「なんで、」
「え?」
「なんでそんなこと言うの!」
突然ウェンディがタクヤに怒鳴った。
「そんなこと言わないでよぉ…、お兄ちゃんをおいてなんて…できないよぉ…。」
ウェンディは大粒の涙を流しながら言った。
そのとき、

ギュッ

「!」
タクヤはウェンディを強く抱き締めた。
「…ごめんな、ウェンディ。お前の泣き顔なんて見たくなかったのに…。ごめんな。」
「…グズッ…お兄ちゃん…。」
「お前は俺が絶対に守ってやる!約束だ。」
「…うん、約束だよ?」
「あぁ。」
タクヤはウェンディの涙を拭い約束した。











翌日
タクヤたちは準備を終え、合流地点である青い天馬の別荘に向かおうとギルドの門の前にいた。
「頑張ってこいよ!」
「あんまり無茶しないようにね。」
門にはギルド全員で見送りに来ていた。
「じゃあ、マスター。いってくるよ。」
「なぶら。健闘を祈っておるぞ。」
そう言ってタクヤたちは合流地点へと向かった。
「頼んだぞ、みんな…。」
ローバウルはそう言い残しタクヤたちを見送った。






森の中
合流地点へと向かうには森を通過したほうが早い。
「7年前と変わってないな、ここも。」
「そうだね、そういえば結局ギルドに出した依頼も全然だし。」
「仕方ないわ。ドラゴンの情報なんてほとんど皆無に等しいんだから。」
「そうですね、ドラゴンの情報は大半がガセネタですし。」
ギルドに出した依頼とは
7年前タクヤが化猫の宿に自分たちの母親である水竜マリーネの捜索のことだ。
しかし、7年経った今でも所在地はおろか、目撃情報すらない状況なのだ。
「でも、今日連合軍の一つとしてくる妖精の尻尾には滅竜魔導士がいるらしい。」
「もしかしたらグランディーネやマリーネの居場所を知ってるかもね。」
「だといいんだけど。」
ウェンディたちは小さな希望を抱えて森を歩いていた。
そのとき、
「!」
まさか…
「どうしたの?」
ウェンディがタクヤに訊ねると人差し指をたて小さな声で言った。
「誰かに見られてるな…。」
「え、もしかして敵!?」
「わからねぇ、攻撃してこないとこをみると、まだ様子見をしてるかも知れねぇ。」

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