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魔法使いへ到る道
2.友達の家に行って外で遊ぶって本末転倒だよね
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なのだ。知ったときは愕然としたね。
 嗚呼、愛しの学校給食。味付けはもっさりとしていたし、配分ミスって量がまちまちになったし、残ったパンやらデザートを取り合って野郎共とじゃんけん大会を繰り広げたりしたもんだ。懐かしきあの日々よ。
 さようなら、人気のなかったコッペパン。さようなら、ひたすらになべの底に余ったうどん。さようなら、麺が千切れまくってたスパゲティ。さようなら、アルミホイルが剥がし難かった鯖の味噌煮。さようなら、行事ごとに用意されたスペシャルデザート。みんなみんな大好きだったよ。
「……ケンジくん?どうしたの?」
 きょとんとしたすずかに呼びかけられて正気に戻る。いかんいかんちょっとトリップしてた。教科書やノートをしまい、代わりに弁当を机に広げた。
「うー、分かんなかったのがくやしいなー。今考えたらちゃんと分かるのに」
 プチトマトを食べながらなのはが言う。口に物入れて食べるのはよしなさい。
「ああいうのはそのまま解こうとするんじゃなくて、出来るだけ簡単にしてから解くんだよ」
「どうやって?」
「例えば……そうだな、両方の数字から10引くんだよ。そうすれば『11−7』で、最初よりは簡単だろ?」
『おぉー』
 感嘆の声が漏れたところで、他にも色々方法があるから自分で考えてみな、と言っておく。
 偉そうに教師ぶってはみたものの、実質中身はコイツらより歳上なので優越感なんかよりなんか虚しさの方が勝った。
 弁当の中身が日の丸弁当だったのも、もしかしたらそれに拍車をかけているのかもしれない。
 ちなみに、なのはは小さめのおにぎり。アリサはサンドイッチ。すずかは五目チャーハンだろうか。なんなんだこの格差は。



 本日最後の授業が終わり、あとはもうさっさと帰ってしまおうとした矢先、
「ケンジくん!」
 なのはを筆頭とした三人娘がパタパタとやって来る。
 机に身を乗り出して、
「これからなのはの家で遊ぶんだけど、ケンジくんも一緒に遊ばない?」
「いいよ」
 女の子からのお誘いは出来るだけ断らないようにしているんだ。なんちゃって。
 バカなことを考えながら了承を貰えたことに嬉しそうにはしゃぐなのはを、そして一緒に遊べると分かって喜んでいるアリサとすずかを眺める。まあアリサはなんてことなさそうにしているが楽しみなのが隠しきれていない。素直じゃないなぁアリサちゃんは。聞けばこの間のいざこざももとはすずかと仲良くしたかったからだとか。不器用にも程がある。
 ぞろぞろと連れ立って教室を出る。すれ違う顔見知りに挨拶を交わしながら俺たちは校舎を出た。


「ただいまー!」
「「「おじゃましまーす」」」
 校門を出てから十数分、なのはの家の玄関を潜った。聖祥は行きはバスで送ってくれるのに帰りは歩きという不親切なこと
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