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ボロボロの使い魔
『絆を繋ぎ止めるもの』
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っていた
…それが、妬ましかった
だから距離を置いた
今は只のクラスメイトにすぎない彼女
それが『香水』のモンモランシー
今、私の前に立つ少女

そんな彼女が私の使い魔の名前を叫ぶのだろうか

『タチバナ』 

…それが、あの男の名前らしい
ギーシュのゴーレムにボロボロにされ、無様をさらし続けている私の使い魔

どうして、主人の私ではなくモンモランシーがその名を叫ぶのだろうか
どうして、主人の私ではなくモンモランシーがその身を気遣いギーシュとの決闘を止めさせよう としているのだろうか
彼女がタチバナとギーシュに必死に何かを訴えかけている
恐らくは決闘を中止するよう言っているのだろう
…言葉が聞こえない距離ではないはずなのに、何故か頭にうまくはいらない
…結局、ギーシュの取り巻きに引き離され彼女の懇願は無駄に終わった
そして、再開される決闘
タチバナが、あの男が敗けを認めない限りそれは続くだろう

なのに、どうして、私はそれをただ、ぼんやりと眺めているのだろうか

「良かった…ヴァリエール!あなたも一緒に!」

どうやら私に気付いたようだ、駆け寄ってくる






結局、決闘を止めることは出来なかった
人壁により引き離され落ち込むモンモランシーの目は、ルイズの姿を認めて輝く

「良かった…!ヴァリエール…あなたも一緒に!」

安心した、やはり何だかんだでルイズも橘の事を心配していたのだ
だから、駆け寄り話し掛ける
だが、安堵の笑顔はルイズが発した言葉で凍りつく

「タチバナって…何よ」

「…え?」

「だから!私も知らないあいつの名前を…何であんたなんかが知ってるのよ!」

怒声で言われた言葉が理解できなかった

…コノコハナニヲイッテイル?

それは…彼女の性格を考えれば平民である橘にあまり良い感情を持つ事が出来ない事はあるかもしれない
だが、彼女にとって橘はサモンサーヴァントを、人生初の魔法を成功させた 証拠そのものなのだ
そんな彼の名前一つ知らないというのか?!
橘とルイズがそれぞれ今に至る経緯を、彼等のすれ違いをモンモラシーが理解する事は出来ない
それは仕方の無い事だろう

自分と橘は今日初めて出会ったのだ、彼等の事情など深くはわかるはずもない

だが、それは橘も同じだった
自分とギーシュの事などロクに知らず、義理も無かった筈なのに

それでも、橘はルイズの代わりに決闘を受けると言った 魔法も使えない平民が貴族に挑んだ所でボロボロにされるだけだと忠告した にも関わらず
それでも彼の意志は変わらなかった

「悪いやつじゃない」

橘はルイズをそう評した、自分もそう思う
…そう、思っていたの
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